20話 回復魔法と部活と研究
「というかなんで回復魔法なんて会得しようとしてるのよ。あなた後方支援よりも最前線にいるタイプでしょ」
「あ~、さらに強くなるため?」
「すでに最強じゃない」
「別に最強だったとしてもさらに強くなる権利ぐらい俺にもあるでしょ」
留学の目的は本場で回復魔法を勉強してくるため。あとついでにEUの大会を荒らすため。とはいっても回復魔法はだれでも習得できるとはいえセンスの問題でもあるし何なら回復魔法よりも聖魔法のほうが汎用性が高くてなおかつ効果が強い。
「でも俺には聖魔法の適性がないからなぁ」
「何ならあなたが適正ある魔法って何よ」
「無属性魔法?」
「無属性って便宜上は属性っぽい名前で言われているけど実際はただ魔力を相手にぶつけるだけど脳筋技だからね?」
「ついでに自身の身体強化もできるけどね」
「それもほかの属性魔法で補えるでしょ。何なら無属性魔法の身体強化は体への負担が...」
「だから回復魔法勉強しに行くんだよ」
「解決策が脳筋すぎる...」
魔法の才能がない俺からしたら誰でも使える回復魔法なんて喉から手が出るほど欲しいしな。何なら戦闘中に回復できるというアドバンテージはかなりでかい。多少の身体への損傷を気にせず戦えるわけだからね。
「で、いつ留学するの?」
「5月の半ばから6月の半ばまで」
「もうすぐじゃん。というかその間の部活は大丈夫なの?あなた部長よね?」
「副部長に丸投げしようかなって」
「それならいいか...」
「そういえば間宮先輩ってどこの部活に所属してるんですか?」
「魔法研究部、またの名をお貴族様クラブ」
「あぁ、あそこですか」
「そんな顔しなくてもよくない?」
「ちなみにそこにA組以外も入れるんですか?」
「入れるにゃ入れるけど敷居高くね?って感じでみんなから避けられてる」
「というかなんて会長はこんな部活の活動許可出したんですか...」
「あ~、一応因果関係が逆でもともとあった魔法研究部がいつの間にかA組のたまり場になっちゃった感じなんだよね。それに華族のたまり場って言っても一応活動自体はやってるみたいだし、何なら成果もちゃんと出してるから」
「というか逆に間宮先輩たちはいいんですか?お貴族様クラブなんて言われて」
「あぁ、それ言い始めたの俺たちの先輩だからだから全然」
「もう意味わかんない...」
◆
「というわけで来月あたりから留学するからそこんとこよろしく」
「「「「「「ちょっと待て」」」」」」
あの後、会長に留学する旨を部員に伝えなさいと言われたので今日、部員を集めたのだがちょっと待てと言われてしまった。
「ちょっと待てって言われてもさ、もう申し込んじゃってるわけだし...」
「そういうことじゃないって、てかなんで今までそれを言わなかったんだよ」
「別に誰からも聞かれてないし」
「こういうのは自己申告するもんでしょ」
「まあ、お前らなら何とかなるでしょ」
「まあ何とかはなるんですけど...」
「じゃあいいじゃん」
「というか先輩どこ行くんですか?」
「バチカン」
「うっわ似合わねぇ」
俺ってそんなバチカンが合わないかね。というか逆にバチカンが似合う人間って何?あ~でも雫とかはスカプラリオ似合いそうな気がする...
というかそんなに俺がバチカンっぽくないならバチカンに留学するときにスカプラリオ着て写真撮ろうかな。ネタにもできるし、そうしよう。
「まあ俺の留学の話は置いといて今日何やる?俺は普通に研究の続きをやる予定なんだけど」
「じゃあ俺も実験やろっかな」
「俺たちは次の研究の計画立てるか」
「俺今日疲れたからサボろっかな」
「俺もサボろ~」
と各々今日の部活でやりたいことをやり始める。この部活は一応顧問はいるものの顧問曰く
「勝手にやってて。君たちも縛られるの嫌いでしょ?」
というわけで緩ーく部活を俺たちはやっている。
「じゃあ実験しますか」
というわけで俺も自分の実験を始める。俺の研究内容は他人の魔法を無効化する方法を探る、つまり他人の魔力を使って強制的に魔法を発動させることができる魔方陣の作成が俺の今の研究内容だ。
だけどこれがまあ難しい。ただでさえ人間は11人ごとに魔力が若干違うためこの研究を完成させるには、他人の魔法を解析する魔法陣、他人の魔法を解除し魔力に戻す魔法陣、そして解析した魔力に合う魔方陣に変形させる魔法陣、攻撃性のない魔法の魔法陣と主に4つの魔方陣を組み合わせないといけない。
今のところ他人の魔法を解析する魔法と魔法陣と、他人の魔法を解除し魔力に戻す魔法と魔法陣は完成した。だけどその解析した魔力に合う魔方陣に変形させる魔法と魔法陣で今躓いている。
「むっずいなぁ」
そもそも魔法陣を変形させるという考えが非現実的なんだよね。魔法を解析する魔法と魔法を解除し魔力に戻す魔法陣、あと攻撃性のない魔法の魔法陣は完成しているんだけどね~。
「どう?」
「全然、難しすぎる」
「でしょうね」
「あーあ、こんなにむずいんだったらもっと早く始めとけばよかったなぁ」
「去年ふざけて実際に変身できる仮面ライダーのベルトを作るなんて無駄なことをやったから...」
「あれはあれで戦闘面でも使えるから別に無駄じゃないだろ」
「でも大会じゃ一度も使ってないじゃん」
「恥ずかしいから使えるわけねえだろ。なんで大観衆の中で『変身!』って叫ばないといけないんだよ」
「草」
まあ仮面ライダーのベルトを作った件に関しては成功といってもいいんだけど、作ったはいいものの使う機会がないってことで今は部活の倉庫に保管してある。いつかあれを使う日はくるのだろうか。おそらく来ないだろう。そう信じたい。
「あーあ、なんか天啓でも降りてこないかな」
「それこそ今度留学で本場に行ってくるんだからその時に祈ってみたら?天啓降りてくるかもよ」
「そうする」
できれば今年度中に今やっている研究を完成させたい。そんな風に思いながら研究を続ける。だけど今やっている実験もおそらくは失敗するだろう。
「いったいいつになったら成功するのやら」
とはいっても今は黙々と回数をこなすしかない。
それが研究の1番の近道なのだから。
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