19話 忙しい日常と留学

大会が終わりデートも終わり俺たちはまた普段の学校生活へ戻っていた。一般的な授業に加え、魔法史、魔法研究、戦術学、実戦などとほかの学校では習えないものもならっているわけだからはたから見たら一般的じゃ無くね?って思うかもしれないが俺たちからしたらこれが日常なわけだからしょうがない。


そして生徒会が本格的に始動した。

最初にやるのは学校行事の日程の確認、予算の確認、生徒総会に向けての資料作成などなどさまざまだ。そんなわけで各自分担で作業を進めているわけなのだが...


「忙しい~」


「しゃべっている暇があるなら手を動かしてください」


「へいへい」


これがまあ忙しい。なんせ生徒総会がゴールデンウイーク前にあるわけでそれまでに予算だったりをすべて終わらせないといけないわけだ。

まあ忙しいのも頷けるよね。


「部活の予算の確認取れました」


「じゃあそれを間宮君に共有して」


「はい」


「あとそのあとに文化祭に使う特別予算の確認もよろしく」


「わかりました」


「間宮君、生徒総会用のパワポはどのくらい進んでる?」


「半分ぐらい終わってる。今日明日に完成する予定」


「はーい」


「じゃあ私はすでに決まってる部活の大会エントリーをやってるから分からないことがあったら呼んでね」


「了解です」


とまあかなり忙しい。4月の間は生徒会室に近づくなと言われているぐらいだ。ちなみになんでそういわれているかというと近づいたものは強制的に生徒会の手伝いをさせられるから。まあこっち側に意見としては普通に猫の手も借りたいレベルで手伝いが欲しい。とはいっても予算なんかは生徒会じゃない人間に任せるわけにもいかないし正直手伝ってほしいといっても手伝わせるものが存在しない。


「間宮先輩、何見てるんですか?」


「予算のリスト」


「部活動の予算は私のほうで確認しましたよ」


「念のためダブルチェックしてる」


「なるほど」


生徒会室は今は俺と安藤サクラの2人だけ。生徒会長は部活の大会のエントリーの確認のために顧問に確認を取っているため今ここにはいない。


「オッケー、間違いはなかったよ」


「良かったです」


「あと特別予算の確認は済んでる?」


「もう終わりました。共有もしましたよ」


「ほんとだ。ありがと」


彼女が確認した予算のリストをパワポに張り付けてさらに見やすくなるように調節したりグラフを書いて整える。


「こんな感じでいいか」


「完成しました?」


「あとは会長に現状確定している部活の大会を書き込まないといけないからそれが終わったら完成かな」


「じゃあチルタイムですね」


お互いにやることが終わり唐突なチルタイムに突入した。こういったときどうすればいいか。答えは簡単、お茶会だ。


「何探してるんですか?」


「見てからのお楽しみ」


「?」


生徒会室は基本的に先生が入ってこない。つまり生徒からしたらオアシスといっても過言ではない。それはいままでの先輩たちも同じ考えのようだ。


「あったあった。これこれ」


「なんで生徒会室に湯沸かし器があるんですか...」


「昔の先輩たちが残したまま卒業してるからずっとこういうのが溜まってるんだよね。ほらティーポットもある」


「意味が分からないです」


「正直俺も同意見」


水道にまで忍び足で湯沸し器を持っていき水を入れて生徒会室に戻ってくる。そしてスイッチオン。


「紅茶の葉っぱは...あったあった」


「なんで紅茶の茶葉があるんですか...」


「俺の春休みのお土産、あとそこの戸棚にあるクッキーも出してくれる?」


「ちなみにクッキーは...」


「会長のお土産だね」


こうして放課後の学校でひっそりとお茶会が開催された。





「お湯沸きましたよ」


「オッケー、紅茶入れれる?」


「過去に何度かやったことがあります」


「じゃあ頼むわ。俺一回寮に戻ってバームクーヘン取ってくる」


「もう驚きません」


というわけで爆速で寮まで戻った後に自室にあるお菓子をとった後にまた爆速で生徒会室まで走っていった。ちなみにそんな速度で走ってバームクーヘンとかお菓子が崩れてしまうんじゃないかという疑問もあるだろうがそこは問題ない。

ちゃんとお菓子には揺れがいかないように腕でいろいろ調節してるからね。


「バームクーヘン取ってきた」


「お茶も用意できました。ついでに会長も帰ってきました」


「私も参加する~」


というわけで生徒会室で始まった3人による放課後お茶会。とはいってもここは生徒会なわけなので


「生徒総会いつでしたっけ」


「4月29日だったはずです」


「じゃあもう大丈夫ですね」


当然のごとくお茶会中も業務を続けている。まあその後も業務の話をしながら紅茶をすする。


「この紅茶おいしいですね」


「イギリスのお土産だからね」


「春休みイギリス言っていたんですか?」


「そうそう、楽しかったよ」


「いいなぁ。私も海外行きたいです」


「行けばいいじゃん。うちの学校留学制度あるよ?」


「そういえばそんなのもありましたね。ちなみに今年って何人ぐらい留学するんですか?」


「13人だったはずよ」


「ちなみにその13人の中の1人が俺っすね」


「「え?」」


あれ?この人たちに留学するって伝えてなかったっけ?

まあ安藤には伝えていないのは当然として俺生徒会長には伝えたはずなんだけどなぁ。


「会長には伝えたと思うんですけど...」


「いやいや、君はそんな柄じゃないだろう。普通に冗談だと思っていたよ」


「そうですよ。先輩が留学するのが想像つきません」


俺ってそんなイメージの?っていうか留学するのが想像つかない人間って逆にどんな人間だよ。頭がちょんまげとか?


「なんで留学するんですか?というかどこに行くんですか?」


「バチカンに1か月」


「あなたはバチカンには似合わないわよ」


「ひどいなぁ」


「ちなみに何留学なの?」


「魔法留学っすね。回復魔法を学びに行くんすよ。あとついでにイタリアのコロッセオに挑んでこようって思ってます」


「確かに回復魔法は学びさえすれば誰でも扱えるけど難しいわよ?」


「難しいほど燃えるってもんでしょ」


「あとコロッセオに出るって何?私それは聞いてないんだけど」


「なんか日程的に良さそうだったからついでに挑んでこようかなって」


「本音は?」


「欧州の大会を搔き乱してこようかなって」


「やっぱり...」


「でも先輩、留学中にある国内の大会はどうするんですか?」


「大会はぶっちゃけ辞退すればいいし、別に当日に一回日本に戻ってくれば問題ないでしょ」


「お金めっちゃかかりますよ?」


「プライベートジェット持ってるから」


今までの中で一番いやな顔された。やっぱり金持ち自慢はやっちゃだめだね...

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