第10話 昼休み

お題 ①現代文 ②ブロッコリー ③黒板クリーナー


キュッキュッという音がしている。

キュッキュッ、キュー、キュー

「……あー、うるさいっ!」

俺は、食べようと箸で摘まんでいたブロッコリーを弁当箱の中に落とした。

「おい、ヒロキ! さっきから、うるせえ!」

俺が大声を出すと、クラスの何人かの視線が刺さった。

「ていうか、飯の時に黒板消すなよ。チョークの粉舞うだろ」

俺がまた言うと、ヒロキが「じゃあ、お前がやれよ」と口をとがらせる。

「お前が日直なのに、昼休み前に消さなかったのが悪いんだろ? 俺、今日当番じゃないし」

ヒロキは、黒板クリーナーを置いて「うわ、眼鏡に粉ついた」とか言っている。四角い眼鏡の、ザ・学級委員長さまなヒロキが、俺のところに来た。

「なんだよ」

文句でも言われると思った俺は、ちょっと身構える。

「次」

「あ?」

「次の現代文の後は、ちゃんとお前がやれよ」

淡々とそれだけ言って、ヒロキは自分の席に戻っていった。俺は、またブロッコリーを箸で摘まんだ。

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