第3話 殺陣

お題 ①繋がり ②十人十色 ③刀


片足を引き、腰を低くして構える。抜刀。振りかぶる。前へ……

「えい!」と大声を出し、刀を振り下ろしながら、すり足で前に一歩進む。そのまま、反対の足を引いて半回転。また「やー!」と声を上げ、振りかぶって左上から右下に斬る。

「ひゅう~。恰好良いなあ」と口笛の音と声がした。パチパチと手を叩いているのは、幼馴染のリョウだった。

「ありがとう。でも、あたしなんて、まだまだよ」

あたしは、ひらひらと手を振る。でもリョウは駆け寄ってきて「いや、すげえもんはすげえんだって!」と目を輝かせた。

あたしは『殺陣たて』をやっている。中学のころから地元の劇団で演劇をやり始めて、その中で武士の役になったときから殺陣も練習するようになった。その時代物の舞台のとき、武士役の人は何人もいた。その中で、殺陣ができるのは3分の1くらいの人だけだった。まあ、3分の1でもすごいと思うんだけどね。大人も多い劇団だったし、色んな役を経験してきたベテランさんもいたから。

舞台の先生の繋がりで、個人で殺陣教室をやっている方がいて。ずっと、その先生に教えてもらっている。『カタ』ってやつが、難しかったなあ。最初のころは、動きに一生懸命だから、動きの順番が判らなくなっちゃって。動きの名前を覚えるのも大変だった。今は、先生のおかげで暗記できている。動きも、そこそこ上達して前よりキレがあると良いな。


頼もしい劇団の先生と殺陣の先生。老若男女、十人十色。色んな個性の団員たち。今は、メンバーもだいぶ変わっちゃったけど、楽しくやれている。感謝感謝!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る