21.僕の妹、ちーちゃんはどこ!?(お兄ちゃんモルー視点)
『みんな、ちゃんと俺に着いてこいよ!』
『わぁ、僕達だけのお出かけ、ドキドキするね!!』
『ねぇねぇ、本当に大丈夫かな?』
『大丈夫だって!』
本当に大丈夫かな? 僕達はまだ1回も、僕達だけで外に出たことないなんだよ? ママやパパは時々外に出て行く許可を貰って、でも決まった場所に行って帰ってくるだけで。勝手には出ていかないでしょう?
僕、とっても心配だよ。それに1番小さい子も一緒なんだよ。この前生まれたばっかりの、僕のことお兄ちゃんお兄ちゃんって、いっぱい呼んでくれる、とっても可愛い女の子。パパとママは違うけど、僕の大切な妹なんだよ。
『よし、このまま真っ直ぐ進むぞ!! 必ず前のやつの尻尾を噛んで付いてくること。それとチビは真ん中で、その後ろがお前な』
僕達小さい子の中で、1番お兄ちゃんのモルーが、みんなにそう言ったよ。チビって言ったのは妹のこと。
妹は1番小さいからみんなで守れるように、迷子にならないように真ん中。その後ろは1番妹が懐いてくれてる僕ね。僕の後ろにも3匹のモルーがくっついたよ。
小屋の下の部分に穴が空いていて、そこから出たのは僕と妹を含めて全部で8匹。みんなでバラバラにならないように、前のモルーの尻尾に噛みついて、1列で進むんだ。
あのねガブッ!! っれ強く噛んでないから痛くないよ。こう、しっかりかりと、だけどそっと噛んでいるから痛くないの。あっ、でも妹の前のモルーはちょっと痛いって。妹は今噛む練習中だから、もしかしたら強く噛んじゃってるかも。
『ごめんなしゃい』
『大丈夫、大丈夫。この前より上手くなってるよ』
『よし!! そのまま直進。途中で横にズレるなよ!!』
みんなでどんどん進んでいきます。目指すは僕達のおもちゃや、他の魔獣の色々な荷物が置いてある小さな小屋。いつもアルフが僕達の所へ来てくれた時に使うおもちゃがしまってあるんだ。
『後半分くらいだ! 問題ないな?』
1番お兄ちゃんが一旦止まって、僕達の方を振り返って、僕達はしっぽを噛んでいて話せないから、手をあげてお返事。今のところ問題なし。
『よし!! あと半分だ!!』
またスタート。その後も僕達は問題なく進む事ができて、ついに小屋に到着しました。
『ほらな、ちゃんと来られただろう!!』
『本当に僕達だけで来れちゃった!!』
『ねぇねぇ、どこから小屋の中に入る?』
『確かこっちに隙間があったような……。おっ、あったあった。みんなこっちだ!』
1番お兄ちゃんについて、ドアの隙間から小屋の中へ入ります。もちろん僕と妹は離れずにずっと一緒に行動してるよ。
『う~ん、暗いな。でもまぁ、俺達は少し暗くても平気で見られるから大丈夫だろう。みんな今から自由行動だ。でもこのおもちゃ箱の周りからは離れるなよ。少し経ったら呼ぶから、そうしたら小屋に帰るからな』
『『『は~い!!』』』
『おにいちゃ、あたち、あっちみちゃい!』
『良いよ。一緒に行こうね』
2匹でおもちゃ箱の横の方へ移動して、僕は妹に待っているように言って、おもちゃ箱を登ると、小さなボールをとってあげます。それで遊び始める妹。
それでね、妹が遊んでいる時、他のモルーが話しかけてきたんだ。それでちょっとだけ妹から目を離しちゃった僕。すぐに話しは終わって、妹はボールでちゃんと遊べているかな? って後ろを振り返ったら……。
『……ちーちゃん?』
僕は妹のことをちーちゃんって呼んでいるんだ。チビのちーちゃん。でも僕がちーちゃんを呼んでも返事はなくて。それに後ろに居たはずのちーちゃんの姿がありませんでした。
『ちーちゃん!! どこ!?』
僕の声に、今話しをしていたモルーがどうしたのって。だからすぐにちーちゃんがいないって伝えて、慌てて2匹でちーちゃんを探し始めました。
おもちゃ箱の周りを2回周って、でもちーちゃんはいなくて。次はちょっとだけおもちゃ箱から離れてちーちゃんを探して。でもぜんぜんちーちゃんの姿がありません。返事もしてくれないの。
『ちーちゃん!! ちーちゃんどこ!?』
『大変だ! 僕、1番お兄ちゃんを呼んでくる!!』
一緒に探していたモルーが、1番お兄ちゃんんを呼びに行ってくれて。すぐに1番お兄ちゃんが来てくれました。それに他のモルー達にも声をかけて、全員で来てくれたよ。
『どうした!? 何があった!?』
『僕、ボールを取って上げて、ちーちゃんはそのボールで遊んでいたんだ。そうしたら6番目のお兄ちゃんモルーが種を見つけてね。なんの種だろうって聞いてきたの。それでその種のお話が終わって振り返ったら、後ろで遊んでいたはずのちーちゃんがいなくなってたの!』
『大変だ!! おもちゃ箱の周りは探したか?』
『うん、ちょっと離れた場所も探したけど、ぜんぜん姿が見えないし、呼んでも返事してくれない』
『まずいぞ、早く探さないと。でもバラバラに探すと、今度は別の誰かが迷子になるかもしれないからな。みんな1列にしっぽを噛んで並べ!! それで1列でチビを探すぞ! 探すだけじゃなくて、途中途中で全員で止まって、チビを呼んでみよう!』
すぐに小屋へ来た時みたいに、しっぽを噛んで1列に並びます。
『良いか、ゆっくりしっかり探しながら、でもなるべく早く移動するからな。もし何かあった場合は。前のモルーのお尻を叩いて知らせろ。絶対の離れるなよ!』
1番お兄ちゃんについて、ちーちゃんを探しながらどんどん進み始めます。
ちーちゃんどこに行っちゃったの? どうして僕の側から離れちゃったの? ううん、違う。どうして僕はちーちゃんから目を離しちゃったんだろう。話しをする時もちーちゃんを見ながらお話しすれば良かったのに。どうして僕は……。
必ず見つけるからね。ちーちゃん待っててね!!
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