16.怒られちゃったグーちゃんとグリちゃん 泥の小屋はそのままね

「そこに座りなさい!!」


 ママに言われて、その場の座るグーちゃんとグリちゃん。ママ、とっても怒っています。グーちゃんもグリちゃんも、悪いことしていないのに。

 さっきちょっと喧嘩をしたけど、今はしていなかったし、それに大きな魔法を使って、物を壊したりもしていないのに。


 何でそんなにママは怒ってるの? 僕はママの側に行って、ママにお話しします。子タート達もグーちゃんとグリちゃんが心配で、一緒にママにお話しするって、多分そう言ったから。カゴをズルズル引っ張って、一緒のママの所に。


「ママ、どうしておこってるの? グーちゃんもグリちゃんも、けんかしてないよ」


『ボーボボ!』


『ボボボ!!』


「うん、そうだよね。おおきなまほうで、まわりのものもこわしてないよ」

 

 子タート達も、僕と同じことを考えていたみたい。周りを壊してないって、たぶんそう言っています。


「アルフ、喧嘩をしていなくても、物を壊していなくても、怒られることは他にもあるのよ。勝手に物を作るのもいけないし、ああやって大人がいない所で、魔法で遊ぶのもダメなのよ」


 でも、いつも僕がみんなの所に遊びにくると、みんな魔法で遊んでくれるよ? ママ達がちょっと向こうにいる時も、魔獣さん達は遊んでるでしょう? どうしてグーちゃんとグリちゃんが魔法で遊ぶのはダメなの?


 う~ん、でも、勝手に泥の小屋はダメダメだったかも? 僕がお家で何か作るときは、小さいのは良いけど、大きいものはちゃんとママに言いなさいって。これはごめんなさい?


「確かに少しの魔法なら良いのだけれど、魔法を使っている魔獣が問題よ。頭のいい子達だから、絶対にそんなことはないと思うけど、それでもママは心配なのよ。それに、こんな大きな物を作っちゃって。……でも、ここにアルフ達がいたら話しが進まないわね」


 ママはブツブツ何かを言った後、ブルーノおじいちゃんと子タートの小屋へ行きなさいって。みんなを小屋に帰してあげてって言いました。


「ママ、どろのこや、ごめんなさい。ぼくもみんなも、うれしかったの。だからいっしょにごめんなさい」


『『『ボボー』』』


 僕がごめんなさいってしたら、子タート達もペコって頭を下げました。みんなもごめんなさいって。


「そうね、勝手に作ってもらって、喜んだのはごめんなさいね。分かったわ。ちゃんとごめんなさいできたから、それはもう良いわよ。でもママ、グーとグリと話しがあるから、ブルーノと、子タート達の小屋へ行っていてね」


 ママ、良いって。良かったぁ。もうグーちゃんもグリちゃんも怒られないよね。魔法のことでママが怒ったら、僕達がいつも魔法で遊んでるって、ママにもう1回言ってあげるからね。


「さぁ、坊っちゃま行きましょう。タート達は私が」


 ブルーノおじいちゃんが、子タート達の入っているカゴを持ってくれました。そのまま僕達は子タートの小屋へ。ママ、グーちゃんとグリちゃん、怒らないでね。


 それからママとグーちゃん達のお話しが終わったのは、けっこう時間が経ってからでした。あんまりお話ししていて、パパのお迎えが来ちゃったんだ。


「何だ何だ、何かあったのか? それにこの山は何だ?」


「あなた、お疲れ様。もう聞いてよ。グーとグリが……」


 ママがパパの、ささっとグーちゃん達のお話しをします。それから泥の小屋のお話しも。


「あ~、また、やらかしたのか。アフルがここへ来ると、何かしらあるな」


「本当よ。普通に遊べないのかしら。それでその話しをしていたら、時間がかかっちゃったのよ」


「それにしても、ずいぶんしっかりとした物を作ったな。俺達が建てた小屋と、変わりないんじゃないか? これなら雨風は完全に凌げるし、地面にもしっかりと設置させているじゃないか」


「そうなのよ。これはこれでしっかりと作られているから、残そうと思って。でもこれ以上は何も作らないように言っておいたわ。どこまで分かってくれているか分からないけれど」


「大丈夫だろう、グリフォンだからな。今までだって、ほら魔法を使うときはってのも、しっかり分かってくれて、ちゃんと知らせてくれるだろう? 他にも色々と話しをきちんと聞いて、実行してくれているじゃないか」


「それでアルフ達にあの魔法?」


「はは、こればっかりは、その時その時で注意するしかないだろう」


「もう、笑い事じゃないのよ。怪我をしたらどうするのよ」


「まぁ、今回はそれぐらいにしてやれ。2匹とも分かったよな」


『グギャア……』


『グワァ……』


 ん? グーちゃん達、今分かったって言ったよね? でも、なんかお顔がニヤニヤしているような?


 その後パパとママがお話しをして、泥の小屋はそのままで良いって決まりました。だから今度からここへ来たら、すぐに泥で遊べます。それを聞いて僕も子タート達も拍手。良かったぁ、片付けなさいって言われなくて。


「またね!! またとんどゴシゴシ!!」


 子タート達にバイバイをして小屋から出たら、次はグーちゃんとグリちゃんの所へ行きます。


「グーちゃん、グリちゃん、どろとまほ、ありがと!! バイバイ!!」


 僕がグーちゃんとグリちゃんにバイバイをしたら、2匹とも翼をバサバサ、バイバイをしてくれました。


「ブルーノ、仕事を中断させて悪かったな」


「いえいえ、後少しで終わる所でしたから、明日やれば大丈夫です」


「そうか。明日は俺も手伝おう」


「ブルーノおじいちゃん、さようなら!!」


「はい、さようなら」


 ブルーノおじいちゃんとバイバイして、みんなにもう1回バイバイして、パパがローバーに指示をして荷馬車を動かします。


 今日はとっても楽しかったなぁ。初めてのお掃除と、初めての餌やりと、泥遊びとシャンプーと。魔法もいっぱい楽しかった。明日はどの魔獣さんの所に行くのかなぁ。

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