15.新しい泥の小屋? グーちゃんとグリちゃんの中ぐらいの魔法

 グーちゃんが足を上げて、今度は泥の方を指します。それから顔でくいくいして。僕に泥から離れろって。だから僕は急いで、子タート達が入っている籠を引っ張りながら移動します。

 それからみんなが籠に寄りかかりながら首を伸ばして、1番小さい子は僕が抱っこ。僕達の準備はバッチリです。


 グーちゃんが魔法を使う前の格好をして、グリちゃんも魔法を使う前の格好をしたよ。2匹で魔法を使うみたい。僕もみんなも楽しみで、前に乗り出しそうに。そうしたらグーちゃんに注意されちゃいました。失敗失敗。


 最初の魔法はグーちゃんでした。グーちゃんの顔の前に、大きな大きな白い丸が。光が消えるとそこには大きな岩が浮かんでいました。

 その岩をそのまま泥の所まで、浮かせたまま移送させたグーちゃん。魔法だから大きな岩だって、空中をスイスイです。岩は泥の真ん中で止まったよ。


 次はどうするのかな? って思っていたら。フンッ!! と力を入れたグーちゃん。その瞬間岩がバシュシュシュシュ!! って細かく砕けました。僕も子タートもみんなビックリ。


 わぁ、割れた岩が飛んできちゃう!!あ、あれ? 飛んでこない? 割れた岩は泥の上をシュルシュル渦みたいに回っていました。


『グギャア、グギャギャ!』


『グワワ!!』


 グリちゃんに次はお前だって言ったグーちゃん。グリちゃんがニヤッと笑って、水魔法と草魔法を使います。あ、あの草、とってもベトベトする草だ!


 あのね、グリちゃんは草の魔法がとっても得意なんだよ。ツルを出して、敵をぐるぐる巻きにしちゃったり、鋭い葉っぱで、シュシュシュッ!! って切る攻撃をしたり。

 今出した草は、とってもベトベトしている草で、あれがが体にくっ付くと、体が上手く動かせなくなるんだ。それで敵を止めるんだよ。


 草と水が泥の方へ飛んでいって、シュルシュル回っている岩と混ざると、一緒にシュルシュル回り始めました。でも少しすると、回るのが遅くなってきて。


 またまた今度はグーちゃんとグリちゃんが、同時に風魔法を使いました。ビョオォォォ! って今日1番強い魔法。僕は子タート達が入っている籠に、子タート達もカゴの縁に掴まって、気をつけながら風魔法を見ます。


 風魔法がさっきの岩とベトベト草と水にぶつかると、回るのが止まって、今度はウネウネ動き始めました。なんかね、粘土をこねこねしてる時みたい。それで綺麗な大きな大きなお団子ができました。


 でもそれで止まりません。今度はそれが平らになってきて、でも平らなんだけど形は山型なの。それで泥が全部隠れるくらい広がったら、その山型の泥岩とベトベト草と水でできた粘土が、泥の上に乗っかりました。


 おおお!! 僕達は拍手です。でもね、まだ終わりじゃなかったんだ。グーちゃんとグリちゃんが僕の顔くらいの長さの、ちょっと細長い尖っている岩を魔法で出して。それを山型の端っこの所に沢山刺したんだ。そしてその刺した所に魔法の泥をくっつけて。


『グギャア!!』


『グワァッ!!』


 今のはたぶん、これで出来上がりだ、中に入って見ろって。僕は子タートの入っている籠をずるずる引っ張りながら、山型の穴が空いている所へ。砂のお山を作ってトンネルを作った時みたいに、片方だけ穴が空いてるんだよ。


 その穴から中を除きます。あれ~、暗くて見にくい。


「なか、くらいぃ~」


『『『ボー』』』


 みんなもくらいって。そうしたら、しまったって言っているようなグーちゃんの声が聞こえて、僕達の後ろから小さい小さい光の玉が何個か飛んできて、山の中に入りました。


「おおお~!! どろのこや!!」


『ボー!!』


『ボボー!!』


 これならいつでも遊べるね。でも泥が乾いてただの土になっちゃわない? 僕がそう言ったらグリちゃんが、いるでも遊べるように、泥が乾かないようにしてくれるって。たぶんそう言ったから、僕も子タート達もまたまた拍手です。


『グギャア、グギャアァァァ』


『グワワ、グワアァァァ』


 ん? 今度はどうしたの? まだまだ楽しいことがあるぞって、僕のママはまだ戻ってこないから、それで遊んでれば良いって。そう言ったと思った僕は、子タートの籠をまたズルズル引っ張ってグーちゃん達の方へ。


 足で指された場所に立つ僕達。魔法を使う格好をしてから、そよそよそよって僕達に向かって魔法の風が吹いたと思ったら、僕と子タート達が籠から出て、ふわふわ浮かび上がりました。


「ひょおぉぉぉ!!」


『『『ボーッ!!』』』


 僕のお尻の下で、それから子タート達の体の下で、さっきみたいな渦の風が吹いていて、僕達は空中をふわふわ浮いていました。


「ひょおぉぉぉ!!」


『『『ボーッ!!』』』


 しかも浮いただけじゃなかったんだ。そのままあっちの行ったりそっちに行ったり、グーちゃんとグリちゃんが風を動かして移動させてくれたの!!


「あっち!! あっちいって!!」


『ボー!!』


『ボボボ!!』


 これ、とっても楽しい!! 魔法ってこんな事もできるんだね! 僕が魔法を使えるようになったら、こういう魔法もできるようになるのかな? 楽しみだなぁ。


 と、みんなで遊んでいる時でした。


「これは何なの!! あなた達、何をやっているの!!」


 突然ママの大きな声が。声が聞こえた方を振り向くと、ママが驚いた顔をして立っていて、それから。


「おやおや、これは」


 って、ブルーノおじいちゃんも立っていました。あれ? ブルーノおじいちゃん、バイバイしたのに何でいるの?


「おじいちゃん、おしごとおわり?」


「ちょっと道具を取りにきたのですよ」


「今はそんなこと良いのよ! 今すぐに降りなさい!!」


 え~、楽しいのに。僕達はちょっと文句を言いながら、グーちゃん達に降ろしてもらいました。

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