14.グーちゃんとグリちゃんの小さな魔法、大きな魔法

「う~ん、でも、いまシャンプーしてるの。おみずいるんだよ」


『グギャア、グッギャア』


 あ、今のは分かったかも。良いからさ置けって言ったんだよね。僕はどうして下に置くのかよく分からないまま、その場に木のバケツを置きます。そうしたらグーちゃんが魔法を使いますのポーズをしました。


 僕は急いで泥の方へ。子タート達もグーちゃんの魔法を見ようとして、泥がなくなるスレスレに1列で並びました。僕もその隣に並んだよ。


「なんのまほかなぁ?」


『ボッ!!』


『ボボッ!!』


『ボー……』


「うん、グーちゃんのまほうじゃ、きのバケツ、こわれちゃうよねぇ」


 今みんなが言ったのはたぶん、凄い魔法!! いつも凄い魔法だもん!! でもバケツ壊れるよって。ねぇ、グーちゃん達の魔法は、いつも凄い魔法ばっかりだもんね。木のバケツ壊れちゃうよ。僕の木のバケツ、壊れたらパパが直してくれるかなぁ。


 グーちゃんが僕達が離れたのをちゃんと見てから、また片足を上げました。それからバケツに向かって爪をひょいって。そうしたら爪の少し先に、小さな水の塊が現れて、その塊からチロチロ水が伸びてきたんだ。


 それが木のバケツに向かって行って、そのままチロチロ木のバケツの中に入って行って、ちょうど満杯のところで止まりました。


「ふおぉぉぉっ!!」


『『『ボーッ!!』』』


 僕は拍手。子タート達も手足をバタバタしれ拍手。


「グーちゃん、ピッタリ!!」


『ボッ!!』


『ボボボッ!!』


 たぶん今のは、凄い!! 少しも溢れてない!! だと思うよ。ね、凄いね!! 僕達が拍手すると、グーちゃんはニヤリ顔。それからフンッ! って胸を張りました。でもその横でグリちゃんはちょっと嫌な顔をしてたよ。なんでだろう? 凄いのにね。


 僕、グーちゃんは凄く大きな魔法しかできないと思っていました。だって魔獣さん達をサッ!! っとやっつけちゃう魔法だもん。

 パパが用意したぐちゃん達の大きなご飯も、シュシュシュシュシュッ!! って簡単に切り分けちゃうし。他にもさっき作ってもらった、広い広い泥もそうだし。


 こう大きな魔法でサッ!! っと全部終わらせちゃうって思っていたの。でも、こんな小さな木のバケツにピッタリお水を入れるくらい、小さな魔法もできたんだね。


 少しの間、みんなで拍手をした後に、グーちゃんに用意してもらったお水で、早速最初の子タートの背中を流してあげます。と、その時グーちゃん達の方から、バシッ! みたいな、ドシッ! みたいな音が聞こえて。


 見てみたら、なんかグーちゃんとグリちゃんが、足で蹴り合いをしていました。なんで急に喧嘩? 僕は子タートの背中を綺麗にしながら2匹を注意します。


「ケンカ、ダメよ! ママにおこられちゃうよ!」


 魔獣さん達が少し喧嘩するならママは怒りません。でもあんまり長く喧嘩していたり、大きな魔獣さん達が喧嘩すると。ちょっとも喧嘩でも、何かが壊れちゃうかもしれないからって、ママが喧嘩をやめなさいって、とっても怒るんだ。


 グーちゃんとグリちゃんは大きいから、すぐに怒られちゃうの。今はママがいないから大丈夫だけど、ママが戻ってきて、怒られちゃったら嫌でしょう?


『グギャア!』


『グワワ……』


 グーちゃんはニヤニヤしたまま、グリちゃんはブスッとしたまま、蹴り合いをやめました。もう、何で喧嘩してるのか分からないけど。ママが側に居ない時に喧嘩しないとダメだよ。


 最初の子タートを綺麗にし終わって、次の子をすぐにゴシゴシシャンプーしました。それで3匹目の子を洗った後、お水がなくなっちゃって、グーちゃんにまた頼もうとしたら。グーちゃんを押してどかして、今度はグリちゃんがお水を入れてくれたんだ。


 グーちゃんだけじゃなくて、グリちゃんも小さい魔法ができたの。僕達はまたまた拍手です。でもせっかく拍手したのに、またグーちゃんとグリちゃんが蹴り合いを始めちゃったんだよ。どうして拍手したのに喧嘩するの?


「もう! ケンカだめ!! ママよんじゃうよ!! ごはん、なしになっちゃうよ!!」


 僕がそう言ったら、喧嘩をやめた2匹。ママは凄く怒ると、ご飯なし!! って。前にグーちゃん達、ご飯なしになったでしょう? 僕とパパが、後でこっそりもってきたんだよ。またご飯なしになったら大変。


 2匹はお互いをジロッと見たまま。でも喧嘩はやめてくれたから、僕はすぐに残りの子タート達を綺麗にシャンプーしてあげました。そうして綺麗なしたタート達は、みんな甲羅がキラキラ光って、とっても綺麗に。


 今回はみんな綺麗なままがいいみたいで、全員が籠に入りました。僕は最後に、遊んだ甲羅を綺麗にします。それからまた汚しちゃわないように、頭に甲羅を乗っけてタートの小屋まで運んで。壁にかけたら終わり!!


 もうすぐママは戻ってくるはず。ママが戻ってくるまで何しようかなぁ。僕は泥の周りを行ったり来たり。もう綺麗にしちゃったから、泥はちょっとぉ。でも何もしないのは。


『グギャア、グギャ』


『グワァ、グワワ』


「あのね、どろは、みんなきれいになったから、おわりなの。でもせっかくグーちゃんたちがつくってくれたどろだから、このままおかたずけ、もったいないの。それに、ママがもどってくるまで、なにしてあそぶか、かんがえてるの」


 グーちゃん達は、どうしたんだ? もう終わりか? 何で行ったり来たりしてるんだ、って言ったと思うんだ。だから僕はそうお話ししたの。


『グギャア、グギャギャ』


『グワワ、グワァ』


 今のは、また作ってやるぞ。それに残しておきたいなら、囲んでしまえば良いだろ、って言ったのかな? 囲む? どういう事?

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