13.タート達の背中を洗おう!!
グーちゃんとグリちゃんが泥を作ってくれて、いつもより広い泥に、みんなであっちに行ったり、そっちに行ったり。
タート達はいつも歩くのが遅いのに、泥の上だととっても速くて。それから甲羅で泥の上を滑ったりもするから。さらに速く進んで。時々僕を追い抜いていきます。
そうだ!! 僕もタートの甲羅で遊ぼう!! タートはね大きくなると古い甲羅から新しい大きな甲羅に、甲羅を交換するんだよ。えと、自分で甲羅を作るんだ。
魔法でね、少しずつ綺麗な砂や貝殻を固めて、自分の体に合わせて、甲羅を自分で作るの。貝殻は色々な貝殻を使うから、その中にキラキラ光る貝殻が入っていると、太陽の光でキラキラ光って、とっても綺麗なんだ。
それからとってもカラフルで、好きな模様を作るタートもいるの。丸とか三角とかお星様とか波線みたいなのとか、色々です。
タートが古くなっていらなくなった甲羅はとっても綺麗だから、お店で売っているんだ。僕のお家にはいつもタートがいるから、いっぱいタートの甲羅があるんだよ。
もし泥がついても洗えば元通り綺麗になるから、時々泥の上に置いて、甲羅に乗って、パパやママに引っ張ってもらって遊ぶんだ。今はパパはいないしママはお話しだから、足で漕いで乗ります。
うんと、今日はどうの甲羅に乗ろうかな? 僕は泥から上がって、甲羅が置いてある所に。タートの小屋に5個置いてあるんだ。他はお家に飾ってあったり、物置小屋に入れてあるの。
「う~ん、どれがいいかな?」
僕が考えていたら、タートがみんな集まってきて、みんなバラバラの甲羅を顔で押します。あのね、5個のうち3つは、今ここにいるタート達の甲羅なんだ。
えと全体的に赤色でキラキラしている甲羅と。水みたいに綺麗な色で、ふんわりふわふわって揺れているように見える、不思議な甲羅。黄色で星のマークに見える模様がある甲羅です。
「う~ん、きょは、ほしのこら!!」
僕が星の甲羅を選んだら、星の甲羅のタートが『ボー!!』って大きな声で鳴いて、しっぽをフリフリ、とっても嬉しそうです。他のみんなは残念そう。また今度ね!
急いで甲羅を持って戻ったら、子タート達が待ってくれていました。あっ、甲羅はなかなか割れないくらい凄く硬いけど。でもとっても軽いから、僕でも引っ張れば運べます。
「うんしょ、ちょとまって」
甲羅を泥の上に置いて、その上に乗っかって、足で進み始めます。泥の上だから滑りやすくてスイスイ。でも途中から、子タート達がみんなで押してくれて、もっとスイスイ。
いっぱい泥の上をスイスイ滑った僕達。最後に競走をすることにしました。この後みんなの甲羅を洗ってあげるの。
「よい、どん!!」
わぁ!! とみんなが泥の上を滑り始めます。時々滑りすぎて、転がることも。僕もくるんと1回転。背中お尻も全部、泥だらけになっちゃったよ。でもゴールまでしっかりと。
ゴール!! 僕が1番ビリだったよ、残念! 次は頑張ろう!!
競争が終わったら、甲羅を横に置いて、今度はブラシを持ってきました。小さいブラシで、このブラシで、みんなの甲羅を泥で洗ってあげるんだ。
「みんな、ならんで!! いっぴきずつ!!」
僕がそう言ったら、他の魔獣さん達みたいに、みんなちゃんと並んでくれました。何でパパの時は、みんな並んでくれないのかな? ママは並んだり並ばなかったり。
「はじめます!!」
僕はこれから、美容師さんの真似。髪じゃないけど、甲羅を綺麗にしてあげるでしょう? シャンプーみたいだから、美容師さんの真似。
僕はブラシをしっかり持ってそっとそっと、先頭の子タートの背中をゴシゴシします。最初はそっと。その後は子タートに聞いて強くゴシゴシしたり、弱くゴシゴシしたり。みんな違うからちゃんと聞かなくちゃダメなんだよ。
「どですか? きもちいいですか!」
『ぼー……、ぼぼ!!』
「わかりました! ちよくします!!」
今にはもう少し強くって言ったんだよ。たぶん? ちょっと強くゴシゴシ。
「どうですかぁ」
『ボッ!!』
うん、ちょうど良いみたい。このままゴシゴシ、ゴシゴシ。
「かゆいとこないですかぁ」
『ボー……ボッ!!』
うん、痒いところもなし。そのまま最初の子タートの背中をゴシゴシ続けます。背中もお腹も全部ゴシゴシするんだよ。
そうしてゴシゴシが終わったら、お水で1回洗うの。汚いのを流してから、新しい泥を付けたり、そのまま泥の中に潜ったり。綺麗なままがいい子は、そのままここに連れて来た籠の中に入っててもらうんだ。
「はい! ゴシゴシおわり。えと、おみずは……」
失敗、お水を用意するの忘れてました。急いで木のバケツを持って、お水のでている場所まで行こうとします。
えと、お水は川から運んできたり、井戸でお水を汲んだり。その辺から湧き出ているお水を木で囲って、そこからお水を持ってくる時も。色々だよ。タートの小屋の近くにも湧き水があるから、そこからお水を持って来ます。
僕用の小さな木のバケツだから、あんまりお水は入れられないの。だから何回もお水を汲みにいかないといけなくて、ちょっと大変です。
『グギャア!!』
『グワァ!!』
僕がお水を汲みに行こうとした時でした。グーちゃんとグリちゃんが鳴いて、僕を呼びました。今の声は僕のことを呼ぶ時の鳴き声だよ。パパもママもいつも、鳴き声はほとんど変わらないって言うんだけど。やっぱり違うよ。
「どしたのぉ?」
『グギャア、グギャアァァァ、グギャア』
『グワワ、グワワァ、グワアァァァ』
これは何て言っているのか、あんまり分かりませんでした。でもそっちに行かなくても良い? って言った気が。
「ぼく、おみずだよ」
『グギャア』
そうしたらグーちゃんが足を上げて、木のバケツに向かって爪をちょいちょいってしました。下に降ろせって言ったの。たぶん。
「バケツ、したにおくの?」
グーちゃんが大きく頷きました。
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