12.グーちゃんとグリちゃんのかっこいい魔法

 グリフォンのグーちゃんがニヤッと笑った後、足を上げてちょいちょいって僕にやりました。たぶんあれは後ろに下がれって言っているのかな? 僕はグーちゃんに言われた通り、タート達が入っている籠を引っ張りながら後ろに下がります。


 5歩くらい下がってぐーちゃんを見たら、うんうん頷いたグーちゃん。やっぱり下がれであっていたみたい。


『グギャア?』


『グワァ、グワアァァァ、グワワ』


 何かをグーちゃんに聞いたグリちゃん。足を動かしながら何かを説明するグーちゃん。それからまた、今度は2匹でニヤッと笑ったと思ったら、2匹が一緒に翼をバサッ!! と広げて。


 あっ!! 合図だ!! これ、パパとママが言っていた合図だよね。僕はお腹を出してグテっとしていた子タート達に急いで声をかけます。


「みんな、おきて!! グーちゃんたちのまほ、みれる!!」


 僕の言葉を聞いた瞬間、子タート達が急いで魔法を使って、いつも通りの格好に戻ります。それからいつもはゆっくりゆっくり歩くのに、サササッと歩いて籠の端っこに。

 そうしたらまた魔法を使って立ち上がると、籠に寄りかかるように立ち上がりました。それで首を思い切り伸ばして。


 1番小さい子タートは。、それでもカゴから顔が出なかったから、僕が持ってあげたよ。1匹ならしっかり持てるからね。


 なんで僕がグリフォンが魔法を使うって分かったのか。それは何回かパパとママに、グリフォンの魔法の事を聞いていたからです。


 前に街の上を、ドラゴンが通って。この世界にはドラゴンも居るんだよ。ドラゴンの中のワイバーンって言うドラゴンが通ったんだ。

 ワイバーンもとっても怖い魔獣で、グリフォンは半分くらいのグリフォンが攻撃しないけど、ワイバーンは攻撃してくるワイバーンばっかり。その時もワイバーンは街を攻撃してきました。


 それでみんながワイバーンを倒そうとしたんだけど、なかなか倒すことができなくて。ワイバーンを倒せないでいたら、僕のお家にワイバーンが来ちゃったんだよ。それでパパ達はワイバーン戦って。


 その時でした。パパ達が戦った場所は、今僕達が居る場所で、グーちゃんとグリちゃんが手伝ってくれて。なかなか倒せなかったワイバーンを、すぐに倒してくれたんだ。


 みんなはちゃんとグーちゃんとグリちゃんにお礼をしました。でも……。グリフォンの攻撃はとっても強いでしょう? 近くにいたパパの頭の上を、グーちゃん達の魔法が通っていって。パパの髪の毛はチリチリに。もうちょっと下を魔法が飛んでいったら、パパが大怪我してたかも。


 だからパパはグーちゃん達に言ったんだ。助けてくれて、手伝ってくれてありがとう。だけどもし、今度攻撃するような時が来たら。その時は最初だけでも良いから、何か合図をしてくれって。

 そうすればすぐに退いて、自分達も危なくないし、グーちゃん達も思い切り魔法がつかえるだろうからって。


 その時はすぐにきました。2日後。倒してもらったワイバーンの仲間? のワイバーンが攻撃をしてきて。その時グーちゃん達が翼をバサッ!! と広げてね。

 それが合図だって気づいたパパ達は、すぐにその場から退いて。グーちゃん達はおもいきり魔法が使えたんだよ。


 パパはしっかりとグリフォンが分かってくれたって。だから僕にも、ワイバーンは翼を広げてポーズをしたら、魔法を使う合図だからなって教えてくれたんだ。時々翼を広げることはあるけれど、攻撃の時は思い切り翼を広げるから、ちゃんと分かるって。


「グーちゃん、グリちゃんのまほ!!」


『『『ボッ!!』』』


 次の瞬間、グーちゃんが水魔法を、グリちゃんが土魔法を使いました。どっちもビュビュビュビュビュッ!! バシャシャシャシャシャッ!! って、ママが作った柵の中に、水と土が飛んでいって。すぐに魔法は止まっちゃったけど、柵に中には……。


 ママが作ってくれるはずだった泥が、ちょうど柵ギリギリまでできていたよ。僕は拍手したくて子タートを急いで籠に戻して拍手。子タート達も手を振ったり、しっぽを振ったり。みんな喜んでいます。


 でも僕達が喜んでいたら、ママが走ってきてどうしたの!? って。


「ママ、おしごと。なかなかおわらないねって、タートとおはなししてたら、グーちゃんとグリちゃんが、つくってくれた!!」


「作ってくれたって……、何かが攻撃してきたわけじゃないのね?」


 攻撃? 違うよ。泥を作ってくれたんだよ。


「はぁ、久しぶりにあなた達が、魔法を使ったからビックリしたわよ」


 ママがそう言いながらグーちゃん達を見ます。僕も一緒に見たら、グーちゃんとグリちゃんが、今度は片方の翼をだけ上げて、綺麗にできたぞって、かっこつけてました。


「攻撃に使うような魔法を使わなくても、あなた達ならその場にちょっと水と土を出すくらい簡単でしょう。泥を作るだけなのに、アルフ達に見せるからって、格好つけちゃって」


 グーちゃん達の魔法凄かったよね。凄い勢いだったのに、ちゃんと柵の中にピッタリ泥を作ったんだよ。


「ねぇ、ママ。もう遊んで良い?」


「ええ、良いわよ。ママはもう少しお話ししてくるから、勝手にどこにも行っちゃダメよ。どこかに行きたくなったら、ちゃんとママを呼んで」


 グーちゃんとグリちゃんのおかげで、やっと泥遊びができます。遊び道具を持って僕は泥の中へ。子タート達はママに籠から泥の中に出してもらって。みんながバシャバシャ泥の中へ入ります。


 あれ? いつもの泥と違うような? 僕はピタッと止まりました。僕だけじゃないよ。子タート達も止まって。みんなでみんなの顔を見ます。なんかいつもよりも泥がふわっとしているような? ママはもう向こうへ行っちゃったから、後で聞いてみようかな?


「いつもよりもふわふわ?」


『『『ボッ!』』』


 みんなもそう思ったみたい。


「あとで、ママにきく?」


『『『ボッ!!』』』

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