10.タートと泥遊び準備

「さぁ、俺はこれから、ウシシの方へ行ってくる」


「分かったわ」


「どうする? 迎えに行こうか? タートの所か? それとも別の所で遊ぶのか?」


「そうね。迎えに来てくれるなら、タートの小屋の近くの、花壇の所で遊ばせようかしら」


「分かった。今日はライアンとオルドールが手伝いに来てくれてるから、いつもよりも早く上がれる。夕方前には迎えに行けるだろう」


「ええ、じゃあその頃に」


「パパ、いってらしゃい!!」


 パパはまだまだお仕事がいっぱい。さっきパパを呼びに来た人がいて、本当はパパとタートの達の所へ行くはずだったけど、ママと行くことになったんだ。パパはこれからウシシの所に行って、その後も色々な魔獣さん達の所へ行くんだって。


 ウシシは牛に似ている魔獣で、いつもの美味しいミルクは、このウシシ達のミルクなんだよ。とっても優しい魔獣で、いつもまったりしています。でも怒ると怖いんだって。僕は怒っているところ見たことないけど。


 パパが荷馬車に乗って、ウシシの所へ出発。僕とママは別の荷馬車でタートの所へ出発です。


「坊ちゃん、初めての魔獣小屋の掃除はどうでしたか? 綺麗に掃除できましたかな」


「うん!! えと、コケコのこやは……」


 僕のお家では、いっぱい人が働いています。とっても広い魔獣園。パパとママだけじゃ、魔獣さん達全部のお世話はできません。


 もし端っこにいる魔獣さんの小屋をお掃除して、反対側の端っこの、魔獣さん達の小屋を掃除できるのはいつ? もしもずっとお掃除ができなかったら? 魔獣さん達は汚い小屋で過ごすことになっちゃうでしょう?


 そうしたら怪我を治している魔獣さん達の怪我が、もっと酷くなっちゃうかも。それに他の治ってきている魔獣達や、迷子の子達も、病気になっちゃうかも。そうならないように、ちゃんと小屋をお掃除しなくちゃ。


 それにご飯も。食べるものがなかったら大変。みんなお腹いっぱいご飯を食べて、いつでも元気じゃなきゃダメだもんね。


 だから僕のお家では、いっぱい人が働いてくれています。みんなどの魔獣さんのお世話をするかは、その時その時でパパが決めていて。みんなが色々な魔獣さんと関われるようにしてくれているんだ。みんなと仲良くなれるようにって。


 それでね、みんな移動が大変でしょう? だからみんな荷馬車で移動していて、今はこれからタートの方へ向かう荷馬車に乗せてもらってるんだ。ママが後で連れて行ってって、お願いしておいてくれたの。


 タートの小屋がある場所までは、荷馬車に乗って15分くらい。その間連れて行ってくれたブルーノおじいちゃんに、今日のお掃除のことを話しました。


「ほほほ、それはよかったですね。初めてでそんなにできたのなら、魔獣達は皆喜んでいるでしょう。さぁ、着きましたよ。帰りはどうしますか?」


「帰りは迎えにきてもらえるから大丈夫よ。ありがとう」


「では」


 ママの荷物を下ろすとブルーノおじいちゃんはすぐに出発。もう少し先の魔獣さんのお世話をしに行ったんだ。


 僕はこれから、子タート達と一緒に泥遊びです。タートは亀ににている魔獣で、大きさは小さい子から大きい子まで色々。今お家にいるタートで1番大きいのは、普通の自動車の半分くらいの大きさ。1番小さい子は、僕の手のひらサイズ。


 それでね、タートは泥が大好きで、太陽で甲羅を乾かしている時以外は、いつも泥に乗っかっていたり、泥に完全に潜っていたり。

 なんかね、泥の中に入って体に泥をつけると、病気になりにくくなるんだって。タート達は自然とそのことを学んでいて、だからいつも泥の周りに。


 でもね、大きな大人タートと小さな子タートが、一緒に泥に入ると危ないんだ。自然の森や林にある、大きな沼なら問題はないけど。お家じゃそんな大きな沼は作れないでしょう? それでみんなで泥の入ったら?


 大きなタートに小さなタートが潰されちゃって、泥の中に沈められることに。タートはいくら泥の潜っていても、顔だけは泥から出していて息をするんだ。だから小さい子が泥に沈められちゃったら、息ができなくて大変な事に。


 だから普段は大人と柵で分けて、小さい沼を作ってあげてその中に。でも時々僕と一緒に、どろんこ遊びするんだよ。広い場所で遊ばせてあげるの。いつもはビニールプールくらい。でも僕と遊ぶ時は、ビニールプールの3倍くらい。


 遊んだ後は、ママがささっと魔法で泥を乾かして、元通りの地面に直すから大丈夫。僕もタートもゆっくり遊べてちょうど良いって、いつもパパ達が言っています。


「さぁ、ママは最初の準備をするから、アルフはみんなを籠の中に入れておいてくれる? ちゃんと扉を閉めてからやるのよ」


「うん!!」


 ママはこれから泥を作る前に、土魔法で柵を作ります。みんながどこかに行っちゃわないように。僕はその間、これから一緒に遊ぶ子タートを運ぶために、みんなを籠に入れます。


「こんにちわ!!」


 ドアを閉めてから、みんなに挨拶。それから小屋に置いてある籠を僕の隣に置きます。そうするとウササみたいに、みんなが寄ってきてくれて、1匹ずつ落とさないように籠の中へ。ママはいつも逃げちゃうって言うけど、みんな寄ってきてくれるのにね。

 

 子タートは今、全部で6匹。今いる子は迷子じゃありません。隣に親タートがいて、親タートが怪我をしてここへ来たから、みんなも一緒に来たんだよ。


「ママ! みんなかごはいった!!」


「籠もてる?」


「ひっぱる!!」


「引っ張るって、それじゃダメよ」


 ママがすぐに柵を作り終えて小屋の中へ。それで籠を持って、みんなで小屋を出ました。


「今から泥を作るから待っていて。アルフはちゃんと靴を脱ぐのよ」


「うん!!」


 ママが魔法で泥を作ろうとします、その時向こうからブルーノおじいちゃんじゃなくて、別の働いている人がお母さんの所に。お母さんに聞きたいことがあるみたいで、ママは泥を作るのを中止。僕はその間に靴を脱ぎ終わって、子タート達とママを待つ事になりました。

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