5.コケコの小屋をお掃除!! パパにお掃除を教えるのは大変
「ね、パパ。も、おそじできる!」
「いやいや、待ってくれ。何でこんな事になったんだ? アルフ、何で最初にあのコケコに挨拶したんだ?」
僕は親分コケコのこと、次に強いコケコ達のこと、それからご挨拶の事をパパに教えてあげました。パパ、本当に知らなかったみたい。パパはずっと魔獣さん達のお世話してるのに、何で知らないんだろう?
「あのね、あのコケコは、1ばんつよい」
「強い?」
「うん!! 1ばんつよくて、みんなをまもってくれる。みんなもあのコケコが1ばんっておもってる」
「このコケコの中のボスってことか?」
「だからみんな、あさおきたとき、1ばんつよいコケコにごあいさつ。それからいろいろやる。えとぼくとパパは、ここはコケコのおうちだから、1ばんつよいコケコに、ごあいさつしないとだめなの。それからおそうじ。」
「あぁ、そういうことか。群れのボスに挨拶しないで、勝手なことするなって感じなのか。でもコケコはそんな魔獣だったか? みんな好き勝手に生きてる魔獣なはずだが……」
パパがご挨拶しないで、掃除用具を手に持って、ちょっとだけ動きました。そうしたら、周りのコケコが寄ってこようとして。
「本当に? 本当にアルフの言う通りなのか? だが、確かに今アフルがやったことで、みんな大人しくなったしな。試しにやってみるか?」
パパが掃除用具を置いて、親分コケコと他の強いコケコが集まっている所へ歩いていきます。それでご挨拶しようとしたんだけど。
「パパ、ちがう! 1ばんつよいコケコはそち!」
「そうなのか? アルフはさっき、こっちのコケコに最初挨拶しなかったか?」
「ちがう。1ばんつよいコケコのあたまは、みんなのなかで、1ばんあかがかっこいい」
「かっこいい? じゃあこっちか?」
「ちがう!! そち!!」
もう、パパは何回も違うコケコに挨拶しようとして。親分コケコが変な顔しちゃったよ。なんか目は細くなって、目の間の所にしわしわができちゃって。
パパはよくママにしっかりしてって言われているけど。その時のママみたいに、しっかりしろよって言っているみたいな顔を、親分コケコはしてました。
ぜんぜん違いのにね。リーダーコケコの頭の所、確かパパはとさかって言ってた。そのとかさが、1番カッコよくて、1番濃い赤色をしているのが、リーダーコケコなんだよ。他のコケコ達と、ぜんぜん違うんだから。
「はぁ。このコケコで合ってるか?」
「うん!! パパ、しっかりごあいさつ!!」
ふぅ、やっとパパが親分コケコの所へ。あ~あ、他のコケコ達も変な顔になっちゃった。
「本当にこれで大丈夫なのか? アルフのことを信じていないわけじゃないが。何かあれば、すぐに動けるようにしておかないと……」
パパ、何を言っているの? ブツブツ言ってるから分からないよ。それに今はブツブツよりもご挨拶!!
「おはようございます! 掃除をしても良いだろうか?」
小屋の中が静まり返りました。それから少しして親分コケコが、ヘッとため息を吐いて、大きな声で鳴いてくれたよ。まぁ良いだろうって感じの鳴き声。それと掃除しても良いって。
「パパ、つぎ。ごあいさつ」
「あ、ああ」
パパは変な顔をしながら、僕が教えてあげた順番に、どんどん挨拶をして行って、やっと全員にご挨拶が終わりました。
最初はパパだけで、順番にご挨拶しようとしたんだけど。親分コケコみたいにぜんぜん分からなくて。時間がかかっちゃうから僕が教えてあげたの。
そして挨拶が終わったら、さっきの僕の時みたいに、みんな壁の方へ寄ってくれました。
「おい、本当なのか? これ、もしかして他の子屋もそうなのか?」
「うん!! でもほかのこやのコケコよりも、ここのコケコが、1ばんつよい」
「アルフ、お前、どうやって分かったんだ?」
ほらパパ、お話ししてないでは早くお掃除しなくちゃ。僕ね、特別のお掃除道具を持ってきてるんだ。早く使いたかったの。
僕は急いで荷馬車に戻って、荷馬車に置いてある道具を取ろうとします。でも全然手が届かなくて。パパもブツブツ言いながら荷馬車の所に。自分の掃除道具を取ってから、僕の掃除道具を取ってくれました。
あのね、僕のお掃除用具は、僕だけが使えるお掃除道具なんだよ。僕にぴったりの箒と、僕にぴったりの塵取り。それから僕にぴったりの、ゴミを挟んで取る道具。後は僕にぴったりの木のバケツと雑巾。全部ママが作ってくれたんだ!!
僕はそれを持って小屋に。最初はまず、みんなが綺麗に片付けて置いてくれた所から。コケコの小屋のゴミは小さな物が多いけど、野菜の芯なんかは大きいゴミとして、みんなが集めてくれてるの。後はボロボロの藁を、集めてくれてたり。
だから僕はまず、野菜のゴミを拾おうとしました。そうしたらパパがいきなり、みんなが集めてくれてたゴミを、箒でブンッてして、逆にゴミを広げちゃって。あ~あ~、コケコ達が怒って寄ってきちゃった。
「パパだめ! これはコケコがあつめてくれたの!! だからこのままごみばこ!!」
「ん? そういえば。ここにやたら野菜のゴミが集まってるな。……もしかしてみんなが集めてくれたのか?」
だからそう言ったでしょう! もう、本当パパはダメダメなんだから。僕がパパを止めたら、コケコ達が壁の方へ戻っていきました。そして僕はそのまま野菜のゴミ拾って。パパは……。
パパ、ぜんぜんダメでした。小屋の外から見ていた時と同じ。どこかを掃除しようとすると、すぐにみんなが怒ってパパの所に集まってくるんだ。だからそのたんびに、僕がパパに教えてあげて。そうするとみんなが戻って行って。
僕ね、途中でちょっとだけ疲れちゃいました。この後のウササの小屋のお掃除があるのに、ちゃんとできるかな?
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