3.ニワトリ魔獣のコケコ、何でパパはご挨拶しないの?

「いいか。まずパパが中に入るから、アルフは外で待っているんだぞ。今日はちょっと危ない方のコケコの小屋だからな」


「パパ、またこげきされた?」


「そうなんだ。いつもこっちのコケコ達は攻撃してくるんだよな。散々パパを攻撃してから、ようやく小屋の掃除をさせてくれるが。その後もいつもパパを睨んでくるからな。もしパパがダメだと思ったら、外で待っていてくれ」


 今日はお家の裏の方へ来ていて、ローバーに荷馬車を引いてもらって15分くらい。まずはコケコの小屋に到着です。


 コケコはニワトリににている魔獣さんで、大きさは地球の学校にいるニワトリの大きさから、大きい子で2倍くらい。鳴き声はコケッコーで、地球のニワトリよりも、手足の爪がちょっと鋭いかも。


 あと今日の朝ごはんに出ていた、美味しい目玉焼き。あれはこのコケコの卵をもらってます。コケコが時々小屋の中の置いてある籠に、卵を産んでおいてくれるんだ。それは僕達が食べても良いやつ。それ以外のコケコが温めている卵は貰っちゃダメ。


 卵をもらう時は、ちゃんとありがとうをしてから貰ってるよ。卵、とっても美味しいんだ。僕は目玉焼きも好きだけど、1番はママが作ってくれる、コケコの卵のプリン!! 硬めのプリンで、卵!! って感じのプリンなの。

 お店で売っているプリンよりも、僕のおうちのコケコの卵で、ママが作ってくれるプリンの方が、ぜんぜん美味しんだ。


 それからコケコは、挨拶をしっかりする魔獣さんです。コケコの中で順番が決まっていて、朝起きた時は順番に、コケコ達の親分にご挨拶をすることから始まって。その後は順番に並んでご飯。ご飯は色々な種とお野菜です。


 ご飯の後は自分の散らかしたご飯を翼で片付けて、後は自由にしているけど。何かがあって親分コケコがみんなを呼べば、何をしていてもすぐに集合。それで作戦会議? をして全員で問題を解決するんだよ。


 他のご飯の時間も朝と同じで、夜寝る時も順番に親分コケコにご挨拶。それからゆっくり眠ります。たぶん。

 あのね、図鑑に書いてあるコケコの説明と、僕のお家のコケコはぜんぜん違うんだ。


 僕はまだ文字があんまり読めないから、ママに図鑑を読んでもらって。読んでもらってから僕は、僕の部屋から見える方のコケコ達の小屋も確認したし。こっちのコケコ達も確認したんだけど。


 図鑑には、コケコはぜんぜん怖くない、人をほとんど攻撃してこない、大人しい魔獣って書いてありました。

 それからいつでも自由に動いていて。餌は散らかすから、それを片付けるのが大変とか、朝も昼も夜も関係なく、突然鳴き始めてなかなか止まらないから、ちょっと煩いとか。


 でも僕のお家のコケコはぜんぜんそうじゃありません。ご飯を食べた後は、ささっと綺麗にしてくれるし。鳴くのは僕が起きる少し前と、お昼頃に少し、後は夕方に少しと、僕が寝る時間にちょっとだけ。だから僕は、コケコが達が煩いなんて思わないの。


 それにね、さっきパパはいつも攻撃されるって。僕も何回もパパが攻撃されているのを見たし、他の人達の攻撃されて。ちゃんとコケコ達は攻撃するんだよ。

 攻撃されるのはパパがダメダメだからだけど。他の襲われた人達も、パパと同じダメな事をしている?


 パパはコケコの小屋に入ると、いつもコケコ達に攻撃されます。まず下のコケコ達から。攻撃って言っても、軽く引っ掻かれたり、翼で叩かれたりで、大きな怪我をするような攻撃じゃありません。


 でも最後は親分コケコが出てきて攻撃されます。それは結構痛いみたい。バシッ!! って音が聞こえて、パパのほっぺたが赤くなっちゃうから。それを何回かやられるの。それに時々強めの蹴りが。


 その親分コケコの攻撃が終わると、みんな静かになってくれて、パパは小屋のお掃除と、ご飯の用意をさせてもらえるんだけど。

 パパのお掃除とご飯には、みんながちゃんと、ぺこってご挨拶してくれます。ありがとうって。睨まれたままだけど。

 

 じゃあ何でパパは攻撃されるか。それは親分コケコにご挨拶しないで、ズカズカ小屋の中に入って行って、掃除を始めようとするから。その勢いでコケコ達がちゃんとまとめておいてくれたゴミも飛ばしちゃって。


 ほら、コケコはご挨拶を大切にしているでしょう。だから親分コケコに、ちゃんとおはようございますをしないのはダメダメだし。バタバタするから、みんなが怒って攻撃してくるんだよ。


「さて、今日も俺を襲ってくるかな。今日は木の盾を持ってきているから、お前達の攻撃も問題はないぞ!!」


 パパが荷馬車から木の板を取り出しました。この大きな板何かな? って思っていたら盾がわりの板だったよ。だからパパ、たpご挨拶すれば大丈夫だよ。


「今日はアルフがいるから、いつもよりも気をつけないと。いいか、アルフはそこから見ているんだぞ」


「……うん」


 パパが入口の鍵を外して扉を開けました。それからそっとそっと中に入って。少し中に入った所で止まったパパ。コケコ達も止まって。

 パパが掃除用具を動かそうとした時でした。コケコの目がキランッ!! って光って、一斉にパパを攻撃してきたよ。


「くっ! ぱっぱり攻撃してきたか! 今日はやられん!!」


 攻撃されているのに、ちょっと楽しそうなパパ。コケコ達の攻撃を板で防ぎます。でもどんどん押されて、結局小屋の中から出されちゃったよ。


「今日はいつもよりも攻撃が強くないか? 仕方がない、もう1度やってダメそうなら、ご飯だけ先にやって掃除は後だな。ご飯の間にアルフをウササの方へ連れて行こう」


 え~、大丈夫だよ。ん? あれ? 親分コケコが僕を見てる? ねぇねぇ、僕がご挨拶したら、攻撃しないで掃除させてくれる?

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