第4話 魔王に包まれて
「時間だ。お前たち、殺してはおらんだろうな?」
今日何度目、何十回目の陵辱の後、魔王は牢に現れた。
牢に来ていたオークは何巡も勇者を犯しており、満足感からか少しまったりした空気が流れていた。しかし魔王がやってくると弛緩した空気は一変、オークたちは立ち上がり教範どおりの敬礼を行う。魔王軍最強を自負する近衛師団のオークは淫欲と暴力に満ちた牢の中ですら規律を失わない。
「今日は終いだ。お前たち下がっておれ。」
「「はっ!了解いたしました!」」
オークたちは声を揃え自分の衣類をひったくるように掴み牢を出ていった。
オークたちが去った牢には勇者と魔王だけが残された。
勇者は見るも無残な姿だった。
両手両足を切り落とされ、芋虫のようになって地面に打ち捨てられていた。股からは精液が溢れ出て床にシミを作っている。体中は火傷の跡だらけで、片目も火で炙られ潰されていた。乳房には無数の噛み跡があり、血がにじみ出ている。
「こひゅぅ…こひゅぅ…」
叫びすぎて喉が潰れてしまったのか、勇者は隙間風のような音を出しながら呼吸をするだけになっていた。目は虚空を見つめ、涎が垂れる口を閉じる様子もない。
「これで死なぬのは、幸か不幸か分からんな。」
感心したように魔王は言う。もっとも勇者を痛めつけて犯すのを思いついたのは魔王なのであるが。
魔王は勇者の前にひざまずく。そして赤子を抱き上げるように優しく勇者を持ち上げ、そして自分の胸の中で抱きしめた。涎が魔王の服に垂れる。股下は精液でベトベトになっておりズボンに染みを作るが気にする様子もない。
魔王の手が淡く光る。勇者は温かい湯船に包まれたような気持ちになる。昔、転生する前の日本での記憶を思い出す。赤ちゃんはお母さんのお腹の中で体温を感じながら生まれるのを待っている。もしかするときっとこんな感じなのかもしれない。
「はぅ…」
勇者の心の中が温かい気持ちと安心感で満たされる。潰された片目に光が戻った。切られて焼かれた腕と足がにょきにょきと生えていく。体中でヒリヒリと痛みを訴えていた火傷はすでに完治して、綺麗で湿度を含んだ肌に戻っていた。
「さあ、もう大丈夫だぞ。」
両手両足が元に戻り、勇者はお姫様抱っこの形で魔王に身を寄せていた。魔王の大きな手と腕に包まれ、囚われていてから感じたことのない安らぎを感じる。いつまでもこうしていたい。そう思った瞬間、勇者はハッとして魔王から飛び退いた。
(なにを考えてるの私は!!!!)
心の中で自分を叱る。あれは回復魔法による錯覚。そう自分に言い聞かせる。決して魔王に気を許した訳ではない。陵辱の終わりに必ずやってくる魔王の姿を見て安心したりしない。魔族におもちゃのように犯されてボロボロになった体を毎回癒やされたとして決して…
「やれやれ、腕の中で寝ていても構わなかったが。元気そうで何より。」
そんな勇者の心を見透かすように、ニヤニヤとした魔王は語りかける。
かぁっと頬が熱くなる。こんなやつに一瞬でも気を許してしまう自分が情けない。
「また来る。今日のところは休むが良い。」
魔王はそう言うと勇者に背を向け牢から出ていった。
勇者は背中を見ていることしかできない。徒手なのもあるが魔王との実力差を認識してしまった今では中途半端な奇襲を試みるこたすら出来なくなっていた。
(私1人では無理でも、みんながいれば…!)
勇者は希望を捨てていない。救出の日を夢見て心の支えにしている。
魔王が去ると肩の力が抜ける。これまでの陵辱の疲れが一気に襲ってきて、勇者の瞼を鉛のように重たく閉じさせた。
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