第14話 何が起こった?
サンタナ士爵は一族で王都に避難していた事が、我々には幸いして全員捕らえられ罪状尋問を受けているそうだ。
盗賊と手を組んで居た事実は明白なので、無罪放免は有り得ない、尋問は一族のどこまで処刑するか決めるための物のようだ。
私に今後関わらない事なので、どうでも良いしっかり処罰してくれ。
問題は男爵になった私だ。
幸い商才のあるセレンが仲間になってくれている、以前と言っても私が105年生きた世界での話だが、サンタナ町は自由貿易で発展していた。
そこでセレンと相談して手始めとして、サンタナ町に入る物品に税を掛けるのを止めた。
持ち込み品に税が掛からない事が商人間にあっという間に広まり、商売人が溢れる町になった。
旧支配者のサンタナ士爵は、町の特産品や農業に見向きもしない支配者だったため、自由貿易の弊害、自領地の産業の競争負けなど気にしないで実施できた。
10年の月日があっと言う間に流れ、ウノフ町の発展は目覚ましく二万人以上に膨らんだ人口の関係から都市に昇格した。
特産品として開発した蒸留酒を含む酒類の評判も良く、特に果実酒蒸留のウノフブランディーは他に競争相手の居ない独占販売状態が続いている。
今日は長く待たせたセレンとの婚礼の日だ。
貴族らしくなったジェフに酒造の責任者で頑張ってくれているエレナも祝ってくれている。
異例な事に、見事な統治を喜ぶ国王様の代理が婚礼に参加してくれて、祝辞をのべている。
横を見ると、幸せそうに微笑むセレン。
私も念願がかない嬉しいが、ふと思った。
⦅思い通りに夢は叶ったが、ついにミスリルランクには成れんかった・・・⦆
瞬間辺りを、目を開けていられない
「ウノフ、朝飯出来たぞ!起きろ!」
目を開けると、10代に若返ったジェフの顔のアップが目に入った。
「ウノフ珍しく寝坊ね」
声の方を向くと幼くさえ見えるセレンが笑ってる。
「ウノフさん、今朝のスープは私が作ったのよ!」
エレナがオタマを持って胸を張ってた。
「・・・何が起こった?ここは何処だ?なぜ皆若い?」
「ウノフ?寝ぼけるな!シルバー昇格の依頼、山賊団の討伐に行く所だぞ!シャキッとしてくれ!」
(いつか見た、峠の頂上のようだ)
相棒のジェフが居るのは分かる、セレンもパーティー仲間として居るのは何とか理解出来るが、エレナが冒険者仲間としてなぜいる?
エレナは戦う輸送隊の仲間・・・違った酒造の責任者のはず、冒険者仲間の活動は無いぞ!
夢の途中 犬時保志 @ysxyz
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