第12話 宰相との密談
王都まで歩くと14~5日、歩みの遅い女連れなら20日はかかるが移動専用馬車は良い、僅か3日と旅が非常に速く快適だった。
王都門は私が馬車からゴールドタグを見せるだけで、何事も無く通過できた。
流石に王宮門ではゴールドタグを見せても、用向きの尋問を受けた。
「宰相様にこの書簡を見て頂きたく、サンタナ町から参りました」
「ゴールドランク冒険者と言えど、宰相様が会われるとは限らんぞ」
「ならば、この書簡をお届けして貰えませんか?門前で我々は待って居ります!」
「宰相様に届けて見るが、期待はするな!お前達は予約無しの訪問で有るからな!」
門番は呑気に言ってるが、宰相様があの書簡を読まれたら飛んで来るはず。
何と言っても、国王様が任命したサンタナ士爵(一代限りの騎士爵と違い相続権の有る爵位、主に町長市長に叙せられる)の不始末を訴えた書簡だから。
書簡はちゃんと届き、宰相は直ぐに読んだようだ、暫くすると汗を拭きながらジイサンが急ぎ足でやって来た。
門番に「開門せよ!!」開いた門から出てきて。
「ふぅ・・・英雄ウノフどの話がある入ってくれ」
宰相が慌ててやって来たので、態度を変えた門番が俺に言いやがる。
「英雄なら名乗れば・・・」
空かさず言ってやった。
「英雄なんて自称するものでは無いだろう!」
宰相が馬車に入って来て案内してくれた。
王宮馬車停めに居る馬番に馬車を預け、宰相の後に続いた。
通された部屋は扉を4人の近衛兵に守られた、窓の無い装備品が全く皆無の密談室だった。
「この部屋は防音処置されていて、大声で何を話しても外には漏れん、ウノフどの事情を詳しく聞こう!」
「13年前の盗賊襲撃は宰相様もご存じと思います、その時の盗賊が砦を築住み着いた所を盗賊の森・・・・・・」
今回の盗賊の不自然な動き、サンタナ町の門番に盗賊の協力者が居たこと、登用したのがサンタナ町長だった事など順を追って説明した。
「ウノフどの、その話は巡回隊長とギルドマスターの書簡に書かれて居る、サンタナ士爵の捕縛も今ごろは終わって居るで有ろう。
儂が詳しく聞きたいのは、お主達の働きだ!」
「宰相様!ウノフ自身の働きは、控え目なこいつでは伝わらないと思います、子供の頃からの相棒の自分から説明させて頂きます」
ここからジェフの大袈裟紛らわしい、話盛りもりが続いた、ジェフの話の途中セレンが効果的にどこの英雄譚だ?って話を入れ、だめ押しにエレナがどこの白馬の王子様?って表現を入れた。
最後にサンタナ町を取り囲む盗賊殲滅の場面、3人が互いの活躍を語り、全員声を揃え私の戦闘を讃え捲る話で終った。
こっぱずかしくて聞いてて疲れたよ、こんな出鱈目な話、宰相様信じる訳が無い。
「書簡に書かれた事より控え目では有ったが、英雄行為非常に天晴れで有った!!」
信じるんかい!!
こんなホラ話で控え目とは、書簡にはどんな事が盛られて居たのか、凄く気になるぞ。
この後は王様に謁見とか不安だ。
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