第8話 盗賊討伐【2】

 サンタナ町の近くに森があるのは一緒だが、森の規模が違い過ぎ、これは人を寄せ付けない密林だ。

「盗賊とはいえこんな所に住めるもんか?」


「この獣道を1㎞ほど行った所に開けた場所があって、砦を築いて盗賊が住み着いてる、13年前町を襲った盗賊が住み着いたらしい」


⦅ウノフ、盗賊らしき一団がこっちに来る⦆

 セレンが小声で呟いてくれた。

「私に任せろ」


 105年の人生の殆どを費やして鍛えた商談術、有りそうな無難な会話から入り情報を奪い取る、商人は誠実だけでは駄目だしたたかでないと大成しない。


 5人の汚い男達がやって来た。

「よぅ!偵察か?」

「ん?お前達は何者だ!」

「俺達は町の担当だ、打ち合わせにボスに会いに来た」

「あぁ、成る程今夜門を開ける係りか、小綺麗な格好して普通の冒険者に見えるぞ」

「ボスの所に案内してくれ」


 上手く行った、この調子。


「俺達も丁度町に行って、お前達に会う予定だった!ボスが予定通り門を開けろと言ってる」

「そうか、手間が省けた、ぞ!」

 長剣を抜いて先頭の男を切り裂いた、返す剣で後ろの男を串刺しにし、やっと反応した3人目の顔を目掛け左手で殴り付けた。

 打ち合わせして無いがセレンが槍で一人の喉を突き、ジェフも剣を抜き最後の男を切り殺した。


「ジェフ、セレン!金を漁って死体は森に蹴り込め!」

 殴った盗賊を縛りながら指示を出した。

「ウノフ、結構金を持ってたぞ」

「こっちの男達も金貨持ってたよ」

 町に入ったついでに、買い物でも頼まれて居たのか結構な金が手に入った。


「おいお前、町の門開け担当と合流する相手の見分け方教えろ!素直に教えれば命は助けてやる」

「・・・・・・」

「門を守ればお前は不要!死ね!」

 強引に問答無用!剣を首に押し付けると、慌てて話始めた。

「ま、待ってくれ!教える、右手中指を立てて居れば、門開け担当が集まる」


 汚いコートを被せ、縛って居るのを誤魔化して門を通った。

 捕虜も奪った物か、ウッド級のタグを首に掛けて居たので、問題なく門を通れた。


 まさかと思いながら、門番の前で右手中指を立ててみた。

「おぅ、ボスからの指示か?」

 門番二人を問答無用で殴って拘束した。

「おい!ウノフ?何の狼藉だ?」

 この男は知ってる、門番長のグンドだ。

「グンドさん、この二人は盗賊の仲間だ!今夜盗賊が攻めて来るタイミングで門を開ける担当だぞ!この捕虜から聞いた!」


「・・・そうか、全く気付かんかった、その二人は町長の紹介で・・・町長も盗賊の関係者か?」


 町長の紹介だと?力押しでは終らんか。


「グンド隊長、一緒にギルドに来て説明してくれ!」

「あぁ、危ない所だった!感謝する!ギルドに行くぞ」



 ギルドマスターに説明して、対策を練ってるところだ。

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