第6話 快適な家
「ウノフ?心配で探してた、ここはお前が親父さんと住んでた所だな」
「家が無い・・・」
「無くて当然、焼失して10年以上だろ?」
「火事?」
「俺達がガキのころ、盗賊の襲撃で多くの家が燃えた、防壁は盗賊対策で建てられた・・・お前も知ってるだろ!俺の親父にお袋もその時盗賊に殺られた」
知らんぞ!いつそんな事が有った?
ジェフの両親と、私の父は流行り病で亡くなったはず、盗賊に襲われたなんて聞いた事が無いぞ!
傷薬や回復薬の調合師の技術がその後飛躍的に進歩した、セレンの調合技術は優れていてシルバーランクに苦労する事なくなれたと聞いた。
謎の話は兎も角、ジェフのお陰で無事住まいに着いた。
(この辺り一帯は『戦う輸送隊』の本拠地だったはずだ)
今日の買い取り金額から推測すると、シルバーランクになるまで、ギルドに売った私達の儲けは結構有った事だろう、ジェフと住んでいると言ってる馴染みの無い屋敷は結構な邸宅だった。
「お帰りなさい!」
あれ?セレンがなぜいる?
「ギルド退職すると、職員宿舎出ないとダメでしょ、ジェフが「パーティー仲間になったなら家に来い」って言ってくれたので来ちゃった」
来ちゃったって、未婚の男女が同居しては外聞が悪いだろ!
とか、言いたかったがそれも良いかと、何も言わず「歓迎する」と一言照れ隠しで言って置いた。
ジェフが勝手知ったるって感じで夕飯の準備を始めた。
使い慣れた厨房なのだろう、手際が良い。
「お待たせ!ビッグボアのアバラクズ肉大量に貰ったので、芋と煮込んでみた」
芋と煮込んだ肉煮込みと、野菜と肉の炒め物が大量に盛ったものが、テーブルに置かれていた。
「それと、セレンの歓迎に高級ブドウ酒を買っておいた、ウノフカンパイのおんどを!」
流に任すか。
「セレンのパーティー入りを歓迎する!カンパイ!」
旨い!ジェフの料理、肉が上等だから無茶苦茶旨い!
「明日はセレンの武器に防具を購入、他に必要な物があれば全て購入する」
「ありがとう!役に立てるよう努力するわ」
我が家のはずが、勝手が分からん!
拘りの無い私と違い、ジェフが拘って建てたのだろう・・・私の部屋と言われた所で眠る事にしたが・・・夜中に小便がはずんだが便所が分からん、庭に出て立ちションして寝た。
こう言う事には勘が働かん。
歳を取ると早く目覚める、食堂で昨夜の残り、ブドウ酒をチビチビ飲んでいるとジェフが降りて来た。
「ウノフお早う・・・なんだ?朝から飲んでるのか?」
言いながら、便所らしき所に入って、出てきて隣のドアを開けて入って行った。
便所と洗面所の位置は分かった。
ジェフがなかなか出てこん、かなり時間が過ぎ、ブドウ酒のビンも空になったころ、ジェフが出てきて言った。
「ウノフ、風呂の準備が出来た!入ってスッキリして来い」
ジェフは料理だけで無く、家事全般に優秀でいつも助かっていた。
「ありがとう、それも良いがそろそろセレンが起きて来るだろ、セレンに先に入らせる」
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