第4話 知らない町だ

 街道を通らず、獣道や農道を利用または道なき道を掻き分け、最短と思われる方向に進んだお陰で、私達が本拠地にしているサンタナ町に帰るまで、僅か10日の野営だった。

 ジェフの料理は記憶通り凄かった、食材はウッドウルフの肉だけだが、各種野草を利用してだろう、毎食違った料理を食べる事が出来た。


「ウノフの勘は相変わらず凄い、行きは20日かかったのに急いでの帰りは半分の10日とは!」

 ジェフが何か言ってるが、それ所じゃない見知らぬ町が目の前に有る、これがサンタナ町?


「ジェフ、サンライト王国、サンタナ町で間違い無いな?」

「ウノフ?まだ調子が戻らんか?俺達が生まれ育ったサンタナ町だぞ!どこも変わった所は無いだろ!!」

 私が住んでた自由貿易町サンタナは、こんないかめしい防護壁に囲まれて居なかった。

 それに、こんな小さな町じゃ無かった!王都から離れては居たが、王都にも負けない人でにぎわう町だった・・・違う!私が寿命で死ぬ頃のサンタナ町だったか?しかし、こんないかめしい防護壁はいつの時代にもサンタナ町には無かった。


「ウノフ、町をぼんやり見てないでギルドに行くぞ」


 強固な門を門番にギルドカードを見せて通過、しばらく進み見慣れた冒険者ギルドに到着した。

(安心した、ギルドは変わって居ない)


「ウノフさん!返って来てくれたの?」

「なんと言うか、今の私達はまだ力不足ゴールドランク昇級まで、サンタナギルドを拠点に活動するつもりだ」

「ウノフパーティーメンバー増員しては?」

「それも良いかも、セレンさんお勧めの冒険者居るか?」

「・・・私じゃダメ?」


 言うだろうと思った、人気受付嬢セレン私が冒険者を引退した時、声を掛けられ商人として転職した。

『闘う輸送隊』の考案者でもある、頼りになる人生のパートナーだった。

 後に結婚する相手が、この受付嬢のセレンだ、仕事仲間としても男女としても相性は最高に良かった。


「おいウノフ?セレンさんをパーティーに入れる気か?」

「良いと思わないか?槍が使えて、傷薬の調合師商才まである!こんな才能溢れる女性が一受付嬢では勿体無いといつも思ってた」


「ウノフが良いと思うなら、俺も賛成する!セレンさん実はこいつが凄い獲物を討伐したんだ!驚くなよ!ビッグボアを一人で倒しやがった!!」

「ビッグボアを?買い取りカウンターに行きましょう!!」

 と言うと、奥に居る受付主任のビルドの席にセレンは書類を置いた。

 常に用意していると教えてくれた、退職届の書類だと思う、私の嫁セレンの事なら何でも知ってる。


 セレンに引っ張られて行った買い取りカウンター、買い取り主任のボブと言う男を私は知らない、初めて合う者だった。

(ギルドも違う所がある)

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