第3話 収納袋って何だ?

 調理用の鍋や、野営道具を一切持たずに歩いている事に今更気付いた。

「ジェフ?野営道具はどうした?」

「ん?どうしたって?いつもの様に収納袋に入れたぞ、ウッドウルフの毛皮や牙と一緒に入ってる」

「収納袋?それは何の事だ?」

「シルバーランクに昇級した祝い、買って良いと言ったのはお前だぞ、それにお前も容量少な目の収納袋買っただろ」


 ジェフが言ってる収納袋とは何の事だ?そんな物便利な物が有れば、闘う輸送隊もっと商品輸送はかどったはずだ!


 ・・・これは死の間際の夢か、なら何でもありって事だ、不思議道具も当たり前?しかし、実在感のある夢だな。



⦅ウノフ・・・ビッグボアだ、こっちに気付いて居ない、隠れてやり過ごすぞ!⦆

 小声でジェフが注意して来た。


 ビッグボアは鋭い牙で相手を刺し殺す、体長3㍍の狂暴なイノシシだが、闘う輸送隊の隊長現役時代に一撃で倒していた。

「ビッグボアは肉や毛皮、牙も高価買い取りしてくれる、おいしい獲物だ!」

 私は無意識に袋から長剣を取り出し、ビッグボアに向かって駆け出した。

「ウノフ!むちゃだ!よせ!!」


 ビッグボアの突進は鋭いが、巨体が災いして小回りが利かん、さっと横に飛び退いて長剣を振り切る!ビッグボアの首が飛んだ。

 首無しビッグボアは、血を盛大に吹き出しながら勢い惰性で30㍍ほど走ってドット倒れた。


「・・・お前、ウノフだよな?」

「ジェフ?私がウノフ以外に見えるか?」

「いや・・・ウノフに違い無いとは思うが・・・ビッグボアはゴールドランクが3人掛かってやっと倒せる化け物だぞ!シルバー成り立ての俺達には無理なはず・・・分からん、今日のウノフは何か変だ」


「ジェフ、解体するぞ」

「いや、ビッグボアはギルドで解体して貰わんと、毛皮の価値が下がる!ウノフ収納してくれ」

「収納?」

「俺の収納袋はウッドウルフ6頭入ってるから余裕が無い、ウノフの収納袋なら入るだろう」

「・・・どうやれば良い?」

「さっき長剣を取り出しただろ?その逆入れれば良い!」


 剣を取り出した?そう言われると、この長剣はどこに有った?

「腰の収納袋貸してみろ」

 腰に?あぁ革袋をぶら下げてた。

 ジェフは私から受け取った革袋を、ビッグボアに被せた。


「へっ?ビッグボアが消えた?」

 ジェフは離れた場所に転がった、ビッグボアの頭にも革袋を被せ消した。

「ウノフ?本当に大丈夫か?収納袋に収納しただけだぞ」


 不思議道具、こんな凄い物が有るはずが無い、有ってたまるか!

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