宇宙デカトシヒコ!! ゲルマクー編 12 AIと少女

「隕石が落ちてきます!!」



エリが、頭のおかしいことを言ってきた。



それぞれは、お茶を飲んでいたり、テレビを観たり端末でゲームしたり、ストレッチしていたりした。

そして、それぞれが手を止めて、エリを医療カプセルに担いで行った。



「ちょっとまって、本当、ほんとうなの~~!!」



「隕石が落ちてきます」


同じことを、言った。


皆がまた立ち上がった。


「ちょ、ちょっと、待って、話を聞いて!!」


どうやらのっそり、近づいてきている隕石があるようだ。


しかし、まだ地球の引力圏には、入っていないらしい。


「偶然なのかもしれないけど、ゲルマクーを疎ましく思っている組織の仕業かもしれないわ。

ゲルマクーは、全員はできないかもしれないけど、UFOで逃げられるわね」(エリ)

「地球は、資源も、生物も全滅か.....核兵器も使ってしまったし」(トシヒコ)

「方法ならある」


とシゲさんが、申し訳なさそうに言った。


「核の代わりに、ミノドラの核融合炉を使うんだ。ミノドラ全開とディストーションフィールド全開で隕石に突っ込む。その際に、ディストーションアタックで、ある程度隕石を削りながら隕石の中央へと、近づいていく、そして、ミノドラの核融合炉で自爆、内部から粉々にする。ミノドラと、ディストーションアタックで、隕石の進路を、変えさせられたら、ラッキー、失敗したら内部から破壊する、二段構えだな」


「パルは、パルはどうなるの!??」


と、チエちゃんが絶叫する。


「今回は、お嬢さんを乗せるわけにはいかない。」


とシゲさんが、静かに言う。

しかし、他の人員も静かに下を見て、シゲさんの意見に賛同しているようだ。


「みんな大っ嫌い!!!」


と言って、チエちゃんは、部屋から飛び出していった。

チエちゃんは、リククウのコックピットで泣いていた。


「みんなひどいよ...」(パル)


「しかし、チエさん私は戦闘支援AI、人類の役に立つためにパイロットをサポートするために、生まれた存在です。その最大の目的は、パイロットを生かすこと、チエさんを守ることです。だから。チエさんを大好きな皆さんは、チエさんの生存を選んで私の犠牲を許容したのでしょう。所詮私は、AIですから」


最後の方のパルの口調は、明るかった。

本当にそう思っているのだろう。


「私は、パルがいなくなったら嫌だよ」


泣きじゃくるチエちゃん。


もちろん、パルは、ビデオを回してきた。

自分の最後の思い出のために、

そして、自分の初めての同志のために映像を残すために。


チエちゃんが朝まで泣きつかれて寝た後、カメラの連射に切り替えた最後の自分の思い出のために。

だんだん言い訳っぽくなってきた気がするが気のせいだと思う。


「よ、同志、姫を迎えに来たぜ、成長期だから、ちゃんと布団で寝させねえとな」


トシヒコ同志が、颯爽と現れた。


「私の、最後の思い出です、受け取ってくれますか?」

「ああ、もちろん、ついでに、こちらもチエちゃんと奇跡的に腕枕に成功した時の写真だ、受け取れ」

「嬉しさの前に、殺意が、わきました。人間の感情でいうとこれは何という感情なんですか」

「尊敬、憧れ、羨望かな」


そして、トシヒコは、まじめな顔をする。


「チエちゃんは、この先、絶対俺が守り切る。何があっても。約束する。」

「あなたになら任せられます、チエさんをよろしくお願いします。」


そしてチエを受け取り、ベッドまで運ぶのだった。


すると、チエちゃんは、次の日から、起きなかった。

精神的ストレスと、一晩中、気温が低い場所にいたからか

もしくわ、エコノミークラス症候群である。


ナノスキンスーツがあるから、寒くわないか?


そんなことは、言っていられない、急いで医療カプセルまで運びエリに服を脱がせてもらい、医療カプセルに入れた。


やはり、精神的なショックが重なっているようだ。

チエちゃんは倫理観的に、「やりにくるてきはやっていいという」という考え方だったので、敵を撃墜してきたことには、あまりストレスを感じていなかった。

しかしここ最近の撃墜数で、少しだけ、ストレスを感じてきているようだ。

そして、最初にPTSDになった状況を、寛解までいったものの、その状況を繰り返して行った。

ことへの負荷、そして今回の、相棒「パル」の喪失である。


チエちゃんは、パルがいてくれたことで、前述のストレスを二つに分けてくれ、本当の意味でサポートしてくれた、パルの事が大好きだった。


チエちゃんが眠っている間に準備は進んでいた。


リククウをブラックローズへ換装

ブラックローズにつけられていた、ハズレのミノドラを、V1、V2に取り付けられていたアタリのミノドラに換装した。

そしてミノドラの核融合炉に火を入れた。

準備完了である。


「目標、地球降下までの最短時間は、あと20時間です。」(パル)

「なんとか、まにあったな」(トシヒコ)

「同志、最後にチエさんとあいさつがしたいのですが...」

「すまん、まだおきないんだ。」

「そうですか、それでは、隕石が加速する前に発進して、成功率を上げましょう」

「ちなみに、成功率は?」


「100%です!」


「OK、じゃ、カタパルトへ、後は頼むぞ」


パルは、カタパルトへ移動する、マスターのことを思い出しながら。


「それじゃ、ブラックローズ、発進どーぞ」(エリ)


そしてブラックローズは空高く舞い上がった。


そのときレナさんがV2のブリッジに慌てて、入ってきた。


「たいへん、チエちゃんが、どこにもいないの、医療カプセルから勝手に出て、どこを探しても見つからないの!!」


トシヒコは、焦り、エリ、レナと一緒に施設中を必死に探しまくった。


パルは、加速を続けるうちに、人がうめくような声がしたような気がしてコックピット内をサーチした。


「誰かいるのか!?」


そう問いかけると、満身創痍のチエちゃんの姿が浮かび上がった。

安物量産型ナノスキンスーツより、若干高めのナノスキンスーツを支給されていたので完璧な、ステルス機能がついていた。

誤算だった、ここまで性能の高い、ステルス機能だったとは。


パルは焦った、成功率が大幅に下がったことと、同時にマスターを守らなきゃいけないことに。


「一緒に、連れてって、パル、いつだってふたりで、乗り越えて行こう」

「チエさん、あなたのおかげで、作戦の成功率が、100%から、99.9999999999%まで下がりました。しょうがないマスターですね」


そしてパルは、頭部装甲をパージ、頭と一体化しているコックピットを引き抜き投げ捨てた。


「ちょ、えええええええええぇぇぇぇ!!!?」


と絶叫するチエとは別に、ブラックローズは、人体を気にして、セーブしていたミノドラを全開

光の翼がでない、完璧な完成品のミノドラのあたりのエンジンで6秒で、地球の重力を振り切った。

そしてさらに加速しながら、フィールド全開で、隕石に突っ込む、ちょうど中心アタリにヒットして、そのまま、岩を砕きながら、中心部に達し、ミノドラの核融合炉を暴走させて、核爆発を起こして、隕石をバラバラに吹き飛ばした。


チエはそれを涙を流しながら、コックピットの望遠カメラで、見ていた。

そしてまた、うずくまって泣きそうになった時に、


「マスター、あなたのおかげで、成功率が、0.0000000001%も下がってしまいました。どうしてくれるんですか?」

「え、パルくん?」


「それに私は、もっと早く地球の重力を振り切る予定でした。それを邪魔して。脱出だって、元からするつもりでしたよ。」

「え、脱出ってこれ、パルくん生きてるの!?」

「私のAIは、コックピットと、頭部コンピューターに搭載されています、身体が、失われたってAIは死にません」

「だってそんなの知らなかったし.....」


人差し指同士をつんつんさせて、言い訳を始めるチエちゃん。


それを理論的に説教していると、チエちゃんがコックピットを破壊しだした。


「チエさん、や、や、めてください、せめてIFSだけは、IFSだけはーーーー!!」


そんなことを、やっている、頭とコックピットだけのマシンはパラシュートでゆっくり地上に落ちていく。


「お説教タイム」


「今回は、チエちゃんがわるい」(レナ}


レナさんが珍しく怒っていた。


「確かに今回は、チエちゃんが悪いよ、反省してね」(エリ)

「まぁ今後は、ソフト側だけじゃなく、ハード側での対策で発進準備中の格納庫に、無関係な人間が侵入できないようにしないとなぁ」(シゲさん)

「右に同じですね、個人での問題ではなく、またこの状況が起きないようにするのが

組織側がすることです」(紺色)

「チエちゃんは悪くない!!、しかし、ここが組織である以上、お仕置きは必要だ!!全員カメラ準備!!」(トシヒコ)


そこには、レナさんがアイドル時代に使っていたアイドル衣装をチエちゃんのサイズに直したものが数着、ホシノ〇リ関連の衣装が数着、他のアニメのコスプレも準備されていた。


トシヒコは、一般向けの職業のコスプレなどは、好きではなかったので、今回は用意しなかった。


さてさて、何からはじめようかな?ひひひひ


そんなことを考えていたら


「ぱああああん!!」(手を叩く音)

「もっと堂々と背を伸ばしなさい、遊びじゃないんですよ!!」


と、レナさんに自分の昔のアイドル衣装を着せられたチエちゃんがいた。

恥ずかしくて、もじもじしていたら、先ほどの檄である。


今回レナさんは本気で、怒っていた。普段優しい人が怒ると怖いのは本当の様だ。

まじめなレナさんは皆を本気で心配させたレナちゃんを反省させて、二度と心配をかけないようにしたいのだ。もちろんレナさんも心配したのだから。


そして地獄のレッスンは始まった。


ダンスレッスン、ボーカルレッスン、お客さんへの表情でのサービス、たまに目を合わせてあげて、ファンを釣るテクニックなどを教わっていた。


1番だけ、何とかできるようになったチエちゃんは、若干涙目になりながら最後まで笑顔でダンスと歌をやり切った。

もちろん最前列は、俺が光る棒で、オタク援護をする横で、何かに染められ始めたのか紺色が、隣で同じフォームで援護を送っていた。


レナさんは我が弟子の成長を見て泣いていた。

トシヒコはこの路線いけるんじゃないかと、本気でレナさんと後で話をすることにした。


そして、次は、コスプレタイム


レナさんの、アイドル衣装、ホシノ〇リ、その他アニメコスプレ

チエちゃんはさっきのライブで吹っ切れたのか、恥ずかしがりながらも

こちらのポーズの要求に応えてくれた。


全員思い思いに、カメラでの撮影を楽しんでいた。

さすがに連射していたのはトシヒコだけだった。


ちょっと、エッチなポーズをお願いしそうになった俺は、ぎりぎり良心回路が働いて我慢することにしたのだ。


そう同志と約束したのだ、エッチな写真を撮ったら、お互いを殺すという協定を結んでいるのだ。


その同志には今日特別にリアルタイムで撮影した画像を、共有させてあげた。頭とコックピットだけになってぶら下げられているAIは、


「チエちゃんがアイドル、許容限界を超えます、ぷすぅ....」



限界を向かえ息を引き取るのであった。









まぁ、うそなんですけどね。


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