宇宙デカトシヒコ!! 足りない男性要素編

足りない男性要素---------------------


女性要素が多い気がする。そんなことを思う。

僕の周りに3人もの女性がいる。僕のヘタレセンサーがピクピクしている。

男性の友達も作ろう。一人もできたことないけど。

とりあえず、地元の美人女将が名物の居酒屋にやってきた


「あら、はじめてのお客さんちゃう、うちはここで女将をやらしてもらってます梅ともうします」

「僕は、トシヒコ、1年前ぐらいにこちらに引っ越してきたんです。今日はたまには背伸びして居酒屋に入ろうと思いまして訪れた際です。」

「それはそれはこれからもよろしゅう頼みますね、若い子が来てくれるとうれしいわねぇ」


周りから、梅さん狙いのおじさんから、きれいに旋律のように舌打ちが殺到した。

どうやらこのおやじ達は、梅さんの客ということになる。

背中に冷汗を感じて、店を出ようとも思ったが、梅さんに止められた


「せっかくきたんやさかい、ゆっくりしていってください。とっておきの席を用意

しますね。」


女将さんの真ん前のカウンター席だった。


「いいなぁ、若いもん、そこは10年は通わないと座れない席だぜ」

「夜道は明るいところを通るんだぜ若いの」


居酒屋に来れば男の友達ができるかもしれないと考えた友達童貞だが、ただ男性客に敵を作っただけだ。


「あんさん注文はどうしやす」

「居酒屋童貞なので、童貞向けの注文をお願いします」

「わかりました」


どこか艶のある声で、注文を通した梅さん。

大好きな声優に似ていたので、耳の童貞が奪われていた。


「おにいさんなんの仕事してはりますの?」


いきなりデッドワードが出てきた。

ここで馬鹿正直に無職という必要はない。


「毎日、地球を守っています」

「ふふふっ、面白い人、これはサービスね」


最初、大盛りのごはんとその上に梅干しがのったものだと思った。


「今日いいマグロが入ったの」


ものすごい量のツマの上にちょこんと、マグロが載っている。

きっとこれが居酒屋の平均料で、見た目を大事にしているのだろうと思った。


「おいしいマグロですね」


この大根もったいなくない。

その後、梅さんは自分の身の上や、お客さんたちの紹介と、やたら、僕のいいところを褒めてくれた。

すでに、僕は梅さんにメロメロだった。

しかし、時折梅さんは、僕を獲物を見つけたような目で見ていた気がする。


「チュンチュンチュン」

「う、うんん」


起きたら朝だった。どうやらカウンターにつっぷしてそのまま眠ってしまったらしい。

ふと、机の上に請求書が置かれていた。


「25万円税抜き」


ふ、これも勉強代だ、それに25万円で梅さんに会えるなら安いもんだ。

この前の戦いのボーナスで懐は潤っているし、友達作成計画は、見事に失敗で終わったが、お気に入りの居酒屋ができた

そもそも友達ってどう作ればいいんだろう、とごろごろしながら地球のSNS、Yをみていた。

しばらく観察するうちに、共通することとして、同じ趣味を持ち関係を持つパターンが多いようだ。

僕が持っている、カードは、アニメ1択どうすればいい、


「あ、聞いてるラジオパーソナリティのアシスタントがアイドルだったような、あ、今度新宿のタワーレコードで無料ライブをやるのか、ちょっと見に行こうかな」


友達というか同志をつくろう編-------------------------------


東京に行くと言ったら、チエちゃんがついてくると言い出した。

おねえちゃんも遠慮しておきなさいといっていたが、チエちゃんは、この世で最後であるだろう必殺技をつかった。


「いきたぁぁいぃぃ!いきたぃぃぃぃ!!」


ベッドに仰向けにになり、腕をバタバタさせて喚き叫んだ。

チエちゃんは現在11歳後半、これがこの技を放てる人生最後の瞬間かもしれない。

これに答えないわけにはいけない、その覚悟に答えないわけにはいかない。


「よっしゃーいくぞー!!チエちゃん!!!」

「おうよ相棒!!」


こうして我々の東京ジャングルツアーが開始された。


「あれー、電車で行くんじゃないの?」

「チエちゃんいいかい?電車の乗り換えは難しい、そして脳のリソースをかなり持っていかれるし、ひとがぎゅうぎゅうストレスもたまる、いいことがない」


本当は、人混みが嫌なのと、チエちゃんを豚に触らせたくなかったからである。


「今日はジヌニーでお出かけしよう」

「はーい」


このジヌニー完全自動運転が可能である、東京都という魔境でも目的地に一番近い有料駐車場まで、運転してくれる。

もちろん、無料、料金上限つきを、優先までしてくれる。

ちなみにスマホ型端末で、連携できるので、どこえでも呼べば来てくれる

3次元的に。

装甲も小型宇宙艇「v1」に搭載されているレールガンすら耐えきることができる。

リパルサーリフトと、ミノフスキードライブが搭載されているので、3次元戦能力もかなり高い。しかしどちらにせよミノフスキドライブが推進力と使われているので、だれが運転できんねん、と予想がつくため、リパルサーリフトとナノマシンスーツの2次元スラスターでふよふよ進むことしかできない。


話は逸れたが、全自動運転により、チキンな俺でも東京に車で突入できるのだ。


「わぁーここが新宿ー!?建物がくそ高ーい」


もう少し女の子らしいリアクションをしてほしかったが、喜んでくれてよかった


「今日はここで、prediiiaというアイドルが、CD販促のための無料ライブをやるそうだ。しかもCDを買うと握手券もついてくるらしいぞ。prediiiaの特徴は平均年齢30歳の大人アイドルというジャンルの10人組アイドルグループだそうだ。熟練のダンス技術とアイドル離れした2人のボーカルの歌のうまさが特徴らしい」


大人アイドルグループを選んだ理由はふたつあった。

ひとつは大好きなラジオ番組に絡んでいること。

もう一つは、ろにーさん疑惑をはらすため。

チエちゃんに出会って初日にロリ確されてしまった。

自分がロリコンであるのは自覚しているが、職業の都合上外に漏れるわけにはいかない。

なので、アイドルはアイドルでも、prediiiaを選んだのだ。


「私、アイドルのイベント初めて、ドキドキするー!」

「はは、そうだね僕もはじめてだからどきどきするよ」


はっきりいって、prediiiaのパフォーマンスは圧倒的だった。

口からCD音源、明らかに狭いイベント会場に10人もいるのにまったくぶつかるらずに、激しくて精度の高いダンス、全てに圧倒された。近頃のアイドルたちはこうなのか?いやこれは、この人たちの練習量と経験値が、まだ若いチームより高い分、高いフォーマンスにつながっているのだろう。

僕とチエちゃんは、CDが割れそうなほど握りしめ手汗をびっしょびっしょにしていた。

ライブ終了後、チエちゃんは


「すごかったねー、人ってあんなに踊りながら歌えるんだ。しかもみんな奇麗」

「そうだね、すごかったなぁ、すごい長い間練習したんだろうな、なんか泣けてきた」


ちょっと前の自分を少し思い出してしまった。


「握手会のチケットだれに並ぼうかかなぁ?やっぱりボーカルがカッコよかった湊さんにしようかな」

「僕もそうしようかな、それにしてもさすがボーカル、人気があるや、列が長いね」


どうしようか、二人で悩んでいると、右側に、何か暗いオーラを感じた。

まったく人が並んでいない列があった。

あの人は確か、松沢レナさん、声がハスキーで僕の好みの歌声だった人だ。

僕とチエちゃんは、目を合わせ、そっと右側に足を進めた。


「あ、きてくれてありがとう、どうだった?うちのボーカルすごいやろ、また来てくれな名前覚えたで~」

「きてくれてありがとう、うち人気なくてな~、どうしたらえんやろ?名前覚えたで~いつでも列空いてるから、またきてな~」


自分に人気がないことを知りつつも明るくお客さんにふるまうプロの仕事。

しかしどこか、陰のある笑顔。

僕とチエちゃんは、また静かに目を合わせた。

ダッシュで追加のCDを買い、握手券を手に入れ、焦燥感にあおられながら何度も、列に並ぶのだった。

これが推しということなのだろうか?


それから、今までのCDを全て手に入れジヌニーでCDを聞きながら我々は、トリップしながら夜通しドライブを続けるのだった。

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