漆黒の闇に包まれて周囲の景色も行先も見えない場所を、俯いて唯一人歩く。

 交互に前に出る両足を、視覚ではなくイメージとして認識していた。

 どれだけ歩いただろうか?

「バタン!」

 突然、大きな音を立てて足下が絞首台の様に左右に開き、私は落下を始める。

 風切り音を耳にしながら、真っ暗な四角い穴の中を永遠に落ちていく。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 押し入れに足を向けて布団で眠っているのだが、突然押し入れへと脚を引っ張られる。

 押し入れの襖は閉じており、引っ張る者の姿は見えないのだが、身体は敷布団の上を少しづつ移動していく。


 この夢を見た時に限って、枕と頭部は敷布団の上端を越えて畳の上に出ている。


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