図書館棟三階

 前話の文末に書きましたように、入学して最初の夏合宿で先輩に聞かされた話を、書きたいと思います。


 前々話の通り、三階は廊下を挟んで宿泊可能な畳部屋が4つ有ります。

 廊下に面した壁は昔の小学校と同様に、桟の入ったガラス窓が有り、開閉することが出来ます。

 

 夕食を摂り入浴や洗濯も済ませ、就寝までの自由時間に我々一年生は集められました。

 車座の中心に胡坐を掻いた先輩が、徐に軽い口調で語り出します。


『ある年の夏、合同練習するために来校した他校の生徒達が三階に宿泊することになった。

 冷房の扇風機も無いので窓を開き、風を通すために部屋と廊下を仕切る窓も開いて眠ることにした。

 練習で疲れ切り眠りについた深夜、1人の生徒が何故か目覚めた。

「クタクタに疲れているのに、何で目覚めたんだろう?」

 そう思いながら、彼は何気なく廊下の方向に目をむけると・・・・・・


 廊下と部屋を仕切る胸壁の上に、丸刈りにした男の頭がズラッと並んでいたそうだ。

 俺が直接聞いた話だから、間違いない』


 語り終えた先輩は「そういった事が起こった場所だから」と言い残して部屋から出て行き、無言の我々が残されるばかりでした。


追記

 その建物は鉄筋コンクリート建築なんですが、階段の踏み板が全て斜め下向きなんですね。

 一階から三階に至る全ての踏み板に角度がついていて、駆け下りると踊り場の壁に衝突してしまうほどの勢いがつくのです。

 普通なら施工不良で修正工事をしてもいいのに、そのまま利用されていました。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 D高校の校長室に隣接してトイレが設けられているのですが、そこに幽霊が出るという噂があったそうです。

 誰か目撃したなら、学校中に話が広がりますよね・・・・・・

 在校時には知らなかったのですが、職場のお客だった同期生から聞きました。



 


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る