5人の婚約相手に裏切られたので、5人とも盛大に復讐したいと思います。

背の小さい高2

第1話 5人の新郎、覚えていろよ!!!

彼女は夢を見ていた。はるか昔、まだ幼い頃の夢だ。




「ねぇ、私将来結婚するの!!!」


「そうなの!!!」




 顔は『シュッ』としていて、外見だけでは男の子なのか、女の子なのか見分けがつかない。  




 しかし、彼女は自分が女の子であることを認識している。だから、少年を見て赤面しているのだ。




 好きな人と話しているだから・・・




「私、あなたと結婚したい!!!」


「ぼ、ぼぼくと!!!」




 少年も赤面している。




 相思相愛。彼らからしてみれば、互いが互いを好きになっていることを理解していないが、第三者目線から見れば、彼らは愛し合っていた。




「なんで? 僕なの?」




 少年は、問いかけた。好きなのに理由なんか必要あるのだろうか。


 


 少女は少年の問いに、少し戸惑っていた。自身が少年を好きな理由を口でうまく表現できないからだ。


 


 考えがまとまったのか


 少女は少しでも伝わるように、口を開け話しかけた瞬間、夢が終った。


 


「なんだ夢か・・・」


 


 夢の少年は、今この世にはいない。




 少女が15歳になり、少年も15歳になった時点で、事故に合い、この世を去った。




 現在、少女20歳。立派な女性となった。




 彼女の名前は、アルカ・インスピ。平凡な家庭に生まれた女の子である。




 今日は、彼女にとってとても大切な日だった。




「将来の結婚相手なんて・・・」


 


 彼女は今日初めて、結婚相手を会う。




「入りますぞ」


「あ、はい」


「おはようございます、お嬢様。本日は・・・」


「わかってるよ。結婚式なんでしょ?」


「さようでございます」




 父親が勝手に決めた婚約相手、しかも5人。一夫多妻制ではない。一妻多夫だ。




「新郎の方々の準備が終っていますので、お嬢様も終わりましたら、お願いいたします」


「わかったわ」




 会社を首になった父には、大量の借金がある。その中には、友達に騙されて背負った借金もある。


 


 そんな父は、今、どこか遠い場所で働いている。母も父についていく形で彼女の元から離れた。




 音信不通。一切、音信の無い両親だったが、彼女の婚約相手が決まった瞬間のみ、音信があった。




「結婚か・・・」




 本来結婚は素晴らしく偉大なもののはずだ。しかし、彼女自身好きでもない見ず知らずの男。いや、男たちとの結婚に気分が乗るはずもなかった。




 化粧など身支度が終った。あとは、式場に向かうだけ。




 開始の時間が迫る中、彼女は未だ部屋にこもっている。




「別に、私結婚したいわけじゃないのに・・・」




 彼女の意見など父には一切通じなかった。


 


 一歩的に婚約を決めた父と母を彼女は許してはいなかった。




「何が、血筋を終わらせないためにだ!!! 奴らは、私を何だと思っている!!! 血筋だって!!! 私は、子供を産む機械じゃねーよ!!!」




 彼女の怒りは頂点に足していた。




 それもそのはず、イヤな事は嫌だ。




 『嫌なことは嫌だ』それが、彼女の信念だ。




「私は、絶対に嫌だね! 好きでもない男との結婚だなんて!!!」


「私は、好きな人と結婚する!!!」


「あばよ!!!」




 20歳になって初めて行った両親への反抗。それも、結婚ということに対しての。


 


 彼女は自分の家から急いで離れた。




「ちょっと待つんだ!」


「そうだ、君は今日僕たちと婚約するはずだろ?」




 彼女の目の前に、5人の男が現れた。


 


 1人は、筋骨隆々。その他4人は、勇者のようなの様だった。




「私は、あなた達とは婚約できない!!!」


「あぁ。俺達も少し疑問に思っていたんだ。君のような美しい女性と僕たち5人が一斉に婚約するなんて、少しおかしいと思っていたんだよ・・・」


「ありがとう。話の通じる人たちでよかったよ。君たちも好きな人と婚約できるように頑張って。応援している」


「なんて、言うとでも思ったか?」


「え?」




 彼女は思いを伝えた終わった瞬間、彼女の腹元に5人の内1人が殴りかかった。




「グフェ!!!」




 腹部に穴が開いてしまうのではないだろうか。そう感じるぐらい、拳が刺さっている。




「な、何を!!!」


「俺達だってお前との婚約なんて、はじめからごめんだね! でも、お前と婚約すれば一生働かなくても、住んでいける金がもらえるんだよ」


「だから、お前さんにはこれ以上、余計なことをしてほしく無いんだよ!!!」


「・・・」




 もう一発、殴りかかろうとした時点で、彼女の意識を失った。そして、目が覚めた先は、とても深い地下だった。


  


「こ、ここは!!!」


「ここは、地下さ。今君は、拘束されている」


「離せ!!!」


「おっと! 君は、そこから逃げ出せないよ。両手を鎖でつなぎ、足には重り」




 両手両足に課せられて重り。簡単に逃げ出せないようにしている。




「それ1つ、10Kg以上あるからね。夫の俺達でも取ることは不可能だ」




 5人の男たちは笑っていた。人を小ばかにするように。




 彼らも彼女と婚約するのは嫌だった。彼ら自身にも事情が存在する。そのどれもが金銭的なもので、彼女と結婚すればその金銭的な事情を解消することが出来るのだ。




 父親が無理やり決めたのも、彼女が結婚すれば借金が帳消しにできるからだろう。




「覚えておけよ、お前ら!!! ぜ、絶対に私がお前たちに制裁を与えてやる!!!」




 彼女、アルカ・インスピの目に、復讐の2文字が書かれていた。 




「お前は、裏面は5人の妻。しかし、表面は・・・」


「俺達5人に傷をつけた犯罪者。お前はここから脱獄しても、お前は犯罪者だ!!!」


「貴様ら!!!」




 両手両足を鎖で拘束されている。足元には、大きな鉄球が・・・




「おっと! 君は、そこから逃げ出せないよ。両手を鎖でつなぎ、足には重り」


「それ1つ、10Kg以上あるからね。夫の俺達でも取ることは不可能だ」


「覚えておけよ、お前ら!!! ぜ、絶対に私がお前たちに制裁を与えてやる!!!」




 彼女の目に映る5人の男たち。彼らが彼女を裏切ったのだ。


 


 彼女の目からはすでに5人の男たちは異性ではない。何か違う生命体のように見えていた。




 それも、憎き生命体。復讐したいと思うような物体




「制裁だと? ハァハハハァ!!!」


「今のお前に何が出来る? 両手両足、自由に動けないお前が!!!」




 5人の男たちは余裕そうだった。




 両手両足を拘束され、足元には鉄球。この状況を逆に、余裕に感じない方がおかしい。




「お前の中で一番、生年月日が早いのは誰だ!!!」


「せいねんがっぴ?」


「生まれた年だ!!!」


「俺だ!!!」




 5人の男たちの中から1人手を挙げた。たくましい髭、そして、筋骨隆々の体。




 上肢から下肢まで、筋肉の鎧を着ているようだった。 




「お前か・・・。なら、お前から制裁を与えてやる!!! 覚悟していろ!!!」


「制裁とは、何をするつもりだ?」


「お前の体から大切な物を奪ってやる。例えば・・・金玉とかな!!!」


「俺の金玉を奪うだって?」


「あぁ、お前自慰行為が好きなんだてな?」


「自慰行為だって? なんだそれは?」


「お前のたまたまの中は空っぽなんだろ? 一体1日何回やってるのか知らないが、とりあえず、私はお前の金玉を奪ってやる!!!」




 自慰行為、その言葉を知らないふりをしている。本当は、5人の中で1番好きなのに・・・




 しかし、内心少し動揺していた。自分の大切な物を取られたら、2度と自慰行為が出来なくなるからだ。




 でも、安心。なぜなら、彼女は檻の中。


 


「アルカ・インスピ、君はあと5時間後君は、強制的に結婚式が行われる。結婚式が行われれば君は、2度と我々に手出しできない。私たちに復讐したいのであれば、まずはここから出ることだな」


「制裁を加えると決めた以上、私がここから抜け出す手を考えていないとでも思っていたのか?」




 彼女はこうなることを予想していた。自分が、捕まることを・・・




「フゥン!!!」




 アルカは、両手にはめられていた手錠を両手逆方向にまげた。すると、いとも簡単にその手錠を外すことが出来た。


 


「なに!!!」


「これでわかっただろ? お前たちが相手にした女の力を!!!」


「ば、バカな!!! その鎖は像でも割れないぐらいなんだぞ!!!」




 彼らにとっては、難しい動作かもしれない。しかし、復讐に燃えるアルカにとっては簡単な動作だ。




 だた、鉄でできた手錠を外せばいいだけなのだから。 




「お前らが単に、筋肉量が無いだけだ」


「くぅぅぅぅ・・・」


「言ったよな、お前たちに制裁を与えるって。今すぐではないから、安心しろ。時間をかけてゆっくりと調理してやる!!!」


 


 両足を曲げ力いっぱい地面を蹴った。




「さよなら、ゴミども(5人の男)」




 そう書かれた紙をその場に残し、アルカは地下室から消えたのだ。




 地下室から出た上空にアルカがいた。




 手錠のせいか両手と両足に少々あざが残っていた。しかし、アルカは痛みを感じておらず、それどころか笑っていた。


 


 ”復讐”




 それが、実行できるからだ。




「1人目の元新郎、ロック・バズドからだ。彼には、とても痛い制裁を加えてやる!!!」




 アルカ・インスピの1人目の復讐が今、始まろうとしていた。


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5人の婚約相手に裏切られたので、5人とも盛大に復讐したいと思います。 背の小さい高2 @hetanokiwami

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