第25話 話題性のないプロテスト編
今、僕、
ストマジ………スト◇ートマジックの受け渡し交渉を『私の彼氏の誕生日だから……』と嘘をついてまでやってくれた
彼女の好意は痛いほど理解出来たけど、その訳までは結局教えて貰えていない。
その
両親に反対されるかと思いきや『どうせなら
それにしても『ちゃんとした』とはどういう事だろう。颯希の
その答えは教習所で直ぐに知ることとなる。
妹・
第一夫人……。
───それは………まだ、言えてない。僕は口を
それにしても入校初日に400ccの倒れたバイクを『これ、自分1人で起こして下さい』と言われた時には、『………此奴、頭湧いてんのか?』と思わずにはいられなかった。
貧弱………ではない、文系の僕にそんな重たい物を起こせる訳がなかろうと面食らったものである。
因みに言うと颯希の免許も同じ中型免許なのだそうだ。これはパワハラじゃないのか? まさか教習所に入団テストがあるのか!?
そう思いはしたが、女の子の颯希ですら、やってのけたことを考えると………バイク道とは奥が深い。
それにしてもこれで
バイクに全く詳しくない僕ですら、その位のことは感じた。加えてさらに一回り大きい大型バイクの教習車(排気量750cc~)。
これに至ってはもう、エンジンの上に直接人間が乗ってる程の存在感が半端ない。
母が言っていた『どうせなら
それでも意外な程、持て余す事はなかった。颯希に言われた通り、自転車での
本当にあった一本橋にクランクと呼称される直角コーナーの組合せやら………こんなの路上で必要なのか?
初めは大層理不尽に感じたものだが、いざ腹を
一番苦労したのは、
『右手のブレーキと右脚のブレーキで減速し、クラッチレバーを
こればかりは、ちょっと何言ってんだ
あとコレも颯希から事前に言われていたこと『ヘルメットだけは持参した方が良いよ』の一言。
───いや、まだバイクを所有するって決めた訳じゃないのだが………。
そう感じたものだが、母から
フルフェイスのヘルメットってこんなに高いの? そう感じずにはいられなかったが確かに正解だった。
何せ何処の誰とも判らぬ
一度だけ
マスクとヘルメットは他人の使用した物を被りたいとは思えない。
───あっ………。あの颯希と
………何て言うかその………
運動神経ゼロ(補正値なし)の僕が、
───何せ僕は風の国の皇女『フィルニア・ウィルゲスタ』の
かくして小説のネタにもならない程、アッサリと終了した修行編と試験編である。
どっかのお話ではプロハンター合格までが、とても良い見せ場であったが………。まあ現実の試験にてそんなドラマがあっては逆に困りものだ。
然し僕はこの時知らなかった…………。これはあくまで前座。プロに合格してからが本当の
~~~
無事中型自動二輪免許を取得し、家に帰り着いた僕。ふと
───黙っててもいつかはバレる……。別に悪いことをしていないのに、痛くもない腹を突かれるのは面白くない。
部活はもう終わっただろうか? 取り合えずのNELNを送ってみる。
「えぇと………『部活お疲れ様。大したことじゃないけれど都合が良くなったら連絡が欲しい。伝えたいことがある』………送信」
───油断してた。メッセージでなく、いきなり通話の着信音が部屋中に響き、思わずスマホを落としそうになった。
「お、おぅ………もう今日の部活は良いのか?」
「あ……うんっ、実を言うとね。疲れちゃって今日は休んじゃった」
何だろう、何やら歯切れの悪い返事だ。体調でも悪いのだろうか………。
「な、何だ? 風邪でもひいたか?」
「ち、違う違う! そんなんじゃ………ない……の。ちょっと、頑張り過ぎた………だけ」
───そうだろう。今日も学校では顔を合わせたのだから。身体の不調ではないらしい。学校で交わした『おはよっ』の元気がスマホの向こう側から消え失せている。
「………あ、あのさ疾斗。今から………会える?」
「え…………今からか? 僕は構わないけど、もう陽が暮れるぞ」
何やら電話口の向こうから息を飲む音が聞こえた気がした。窓の外に映る夕陽をチラ見する僕。
逢沢家の周囲は旧い町内会だ。暗い場所が多く、これから弘美が独りで出歩くのは少し感心出来ない。
しかし何やら
「判った、自転車で迎えに行く。20分後、お前ん家の近くにある児童公園でどうだ?」
「20分後………判った、ありがとう」
逢沢家の近所で僕と会う………。僕を嫌っているお父さんに見られるのは余り良くない。
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