第8話 タイヤを流すかのように唐突に動き始めた
慌てて喫茶店を飛び出し残暑の夕暮れ空を確認してみる。確かに
僕らは急ぎで
早る気持ちはあれど、やっぱり連なる車達に行く手を
少しづつ小雨がメットのバイザーに当たり始める。同時に涼しさすら越えた寒気を感じ始めた。勿論ガタガタ震える程、
───これまで自分が経験してきた移動手段、車や自転車は勿論のこと。徒歩であるならこれでも暑いと言いながら自分の胸を
僕の家まで多分残り2kmとちょっと………そこまで近づいた処で遂に空が大泣きを始め出した。
背中越しに
この雨は夏の残り、多分
対向車が多くて中々タイミングが
「ふぅ………ごめんねぇぇ。もう暗くなるし、しかも雨だなんて」
コンビニの軒下で溜息を一つ。そして両手を合わせ
「何も謝ることないよ。雨なんて仕方がないし、早く帰った処でやることなんてそんなにないんだ」
これは正直な話、後半は嘘混じりだ。早く帰ってカクヨムの大切なフォロワー、@ADV1290R様に読んで貰う
───そんなことより、正直
「あ、あのさ。朝も暑いって言ってる割にちゃんとブレザーを着てるよね。うちの学校、今の時期なら
「え、それを言うなら
───そう、そうなのだ。ただ僕の場合はエアコンの風が苦手なのと、何となくひ弱な身体を晒すのが嫌なだけだ。
首を
だけど今はどうしても、雨で
「ぼ、僕はさ、そ、そんなに酷い訳じゃないけど寒暖差に弱いんだ。この季節、エアコンが効き過ぎた建物に入るのが苦手でね」
少し
濡れた女子の何とも言えない
そうかと言って雨
同じような
「えっと、私バイクに乗る時は絶対
───スカートの下にジャージっ! はいっ! 僕も断固反対派でござるっ! ………って僕の熱苦しい視線、流石に気付かれた!?
「バイクってさあ、やっぱどうしても危険な乗り物なんだ。だからなるべく肌を露出しない。軽く転んだだけでも擦り傷増えちゃうし………」
自分の濡れた袖口などを触りながら応えてくれた。
ただ「私のバイト代で揃えるのには……ちょっと……」って苦笑い。確かにこのお値段、かなりお辛い強気の価格設定であった。
「だからまあ、せめてもの安全のために暑くても
「あ、うんっ。ありがとう良く判ったよ」
納得も何も大したことない質問だった。だけど意外なほど、しっかりした理由が返ってきて少し驚いた。
「……………処でさ。わ、私確かに出戻りだけど同年代の友達、もう殆ど居ないんだよね」
少々
───えっ…………ええっ!? これってNELNのQRコードじゃないか?
「え、いや、これって………その………良いの?」
「だ~か~ら~、
顔を朱に染め周囲には聴こえなくても、僕の耳にはキチンと届ける声を出す
───嬉しい、当然嬉しい。飛び上がりたい程に嬉しくて仕方がない。但しその申し出だけでテンパり過ぎて「
「う、うんっ。も、勿論良いよ。ただ、僕
それから自宅が近い場所というのをただの安心感でしか
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