第9話 便りの応酬に耐え切れない弱虫な僕
あれから
───確かに………。学校を出る時は何にも考えてなかったけど、もし
お陰でどうにか一人分の雨具を着て、私も何事もなかったかのように帰ることが出来た。
濡れた装備をガレージに干していると、NELNの通知音が鳴った。私は思わず片付けそっちのけで画面をチェックする。
『@HAYATO1013 ランちゃん、今日はありがとう。思っていたより全然楽しかった。雨、結局止まなかったけどちゃんと帰れた? じゃあまた学校で』
「……何よ、ちゃんと送ってくれるじゃない。『うん大丈夫、もちろんちゃんと帰れたよ。いきなり付き合わせてホントにごめんね』………と」
───初めての返信………。たったこれだけなのにちょっとだけドキドキした。
「それにしても
自分の早過ぎるヤキモキぶりに驚きながら、次に気になるアプリの通知もチェックする。
「うーん……今日も
───仕方がないか、随分濡れちゃったし、ご飯より先にシャワー浴びよっ。
私は濡れた身体をロクに拭きもしないまま、フロアにペタペタ足跡を付けて浴室に向かった。後でママに怒られたのは言うまでもない。
~~~
(………通知音っ?)
僕は
改めて聴くと味も素っ気もない初期設定の通知音だ。
しかもあろうことか数歩離れたソファの上で、ボーッと放課後から始まった
慌てて転げる様にスマホを取りにゆこうするが、一番見られたくない人間に取り上げられてしまう。
「お
「か、返せよソレっ!」
腹を立てつつ必死に手を伸ばすのだが、軽やかなステップで椅子の上に逃走された。
「うん? 何て読むの
「か・え・せっ!」
僕も隣りの椅子に駆け上がり、ようやく
大変
───増してや女子から……後は腐れ縁の逢沢しか在り得ない。
「だってさお兄、
「だから言ってんだろうが………
早速
大体だ。僕が何時帰ろうが
「えっ?」
「ま、また通知ぃ?」
ま、まさか
『@
「…………ッ!?」
「おっ、次は
───違う、本命じゃなかった。……それにしても何故逢沢まで僕の寄り道を気に掛ける?
処で我が妹よ。普通そういうのは、
この辺りで
「本当に一体何なんだ? ……………『友達と遊んでたから帰ったぞ』と」
『ふぅん………珍しいのね、あの風祭
───うわっ、今日やけに
「……『モールの本屋と、あと
ふぅ………普段の僕が
「何ィッ!?」
「ま、またあっ!?」
舌の根が乾かぬうちに、またもけたたましく鳴るNELNの通知。
うんっ? まだスマホの画面は、
『@
───ッ!!
「またキターッ!
何なんだ? このまるで悪事を働いてる様な気分は?
「な、何だその言い草っ………まるで僕が
思わず
「ま、待ってお兄っ!」
しかしカン高い静止の声で胸を
───驚きで声を見失う。何故だか涙を
「お兄……ちゃん、余計なお世話だって判ってるけど
「…………っ!?」
胸が………張り裂けそうとは、こんな
兎に角だ、やっぱり此処へ居場所を求めるのを諦め、唇を噛みながら階段を駆け上がると部屋に引き
───何だよっ! そんなこと
そうだ……………逢沢弘美は昔っからずっとそうだった。鈍感な僕だって流石に知ってる。僕さえ勇気が振り絞れれば、クラス皆のアイドルじゃなく、僕だけの
───でも、無理………なんだよ、僕の後ろじゃなくて、
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