第4話

十月三十一日……。

それは雨の日で、その日に事件が発生した。それは何者かが、吸血鬼に噛まれたっていう事件があって捜査したが、結局捕まらず噛まれた人は吸血鬼になってしまった。

「今日のニュースです。午後十時頃、屋敷の近くで歩いてた女の子が人らしきものに噛まれたって言う事件がありました。目撃によると、その噛まれた人は突然変異して、吸血鬼のような似た目になってしまったそうです」

まいがテレビのチャンネルを変えた。

窓を見てみると、そういえばもう朝になってた。三時ぐらいだからまだ明るくなってない、青い明かりをまだかと言わんばかりに俺は、座りながら眺めていた。

それにしても、彼女のテレビは酔いやすいからズット見ると気分が悪くなるくらいだ。

「勝手にテレビ変えないで、見たいテレビがあるから」

「あ、あぁ……」

少し、気になってたあの吸血鬼のニュースまだ忘れてない。

そういえばまだ五人は残ってた。泊まってたのを忘れてた。しかもテレビ見ながら。

洋二は、リーザの家に帰らないか質問した。

「リーザさん、いつ帰るんですか?」

「俺か?」

「そうですよ、そろそろ帰らないと親に心配されますよ」

「いや、俺は一人暮らしだ。食事の金は貰えるけど金もぇからここで泊まってんだよ」

「僕はまだ残ります、秀明は?」

「ん〜帰っても暇だよな」

「どうするのですか?」

「どうしよう……あ?!」

何か事故でもあったのかな?

「今日神社で修行することがあるんだたった!」

そっちかよって俺も含めてみんな思った。

てか、道化師もちゃんと家はあるんだ。

リーザは、暇つぶしにギャンブルしていくようだ。

「んじゃ、俺は少しギャンブルで稼いでくる」

「それは帰るとは言わないですよ」

「大尉も行くか? 面白いぜ!」

誘ってきた。周りを見ると、なんかみんな何故か首を小さく振って、どうやら金が無くなるから俺は、行ってはダメだって。

まぁ、俺はギャンブルに興味ないので断った。

行ってもつまらないし、どんなルールか分からないからだ。

「俺はいい」

「んだよノリ悪いなー、俺一人で行こ」

リーザが一人でギャンブルの為に金儲けてカジノに出かけてしまった。

「行ってくる」

道化師も修行に行ってしまった。修行って言っても多分帰って来るの遅そうだと思う。

俺は、適当な嘘を言って吸血鬼の場所に行こっかな。

「洋二、ちょっと行ってくる」

「どこにですか?」

「奇怪を狩る」

「それでしたら僕も行きます」

「あたしも行く!」

「はぁ……しょうがない……」

本当は一人で行きたかったけど、しょうがないので三人とも家を出た。

てか、窓見ると水滴が付いてる。しかも曇ってきたってことは雨降ってるのかよ。しょうがない……。


数分歩いて山の方に着いたけど、ザーザー降りだ。地面がぬかるんでるから歩きにくい。

「うゎ……雨降ってる」

「そうです、どうします?」

「あたしにも傘!……」

雨降って来たから傘はあるけど洋二は傘持ってるかな?

「傘は一様あった。やはり、今日天気予報で雨だったから、小さい傘だけど洋二は持ってきた?」

「僕は持ってきてませんけど。フードがあるので水を弾いてくれますし、濡れません」

「便利だな」

だけど……

「あ……あ……もう! 知らない!」

まいが怒って一人で先に行った。雨降ってる状態なのに。傘を持たずに行くなんて……。

それもそうだ。

俺は素知らぬ表情で、洋二に聞いた。

「あいつなんで怒ってるんだ?」

「さあ、なんででしょう?」



数時間歩いて雨は止み、少し、山を登ったのはいいが、なかなか山が霧がかってて何も見えない。

「本当になんも見えないな」

「ですね、レーダーでは近くに反応してるのですが……」

「もう少し歩こう」

霧でなんも見えないし、本当に迷子になりそうだ。

持ってる電子レーダーで何とか奇怪を探すのだが、霧がうっとおしくて奇怪の居場所が分からない。

まいが、もうゾンビ見たいなフラフラしながら歩行してた。

「もう……みんな早すぎて疲れた……。ぇ、休もうよ……」

「あともう少しだから頑張れー」

「もう無理よ……足が千切れそうだよ……イテッ!」

つまづいた足にあったのは頭蓋骨だった。

「キャ!? 何よこれ!?」

まいがビックリして、まいがつい前を見たら屋敷みたいな所が見えた。

「何があった!?」

「どうしたのです!?」

「……ぇ、あれなに!?」

屋敷の方に指さした。息が合うように二人は屋敷を見た。

そこは屋敷が、あまりにも奇妙で大きく、まさにここが吸血鬼の屋敷か。

「これが現場の……」

「とりあえず行ってみましょう」

洋二の言われるまま俺達は、歩いて中に入った。

中は少し暗くて、正面の向こうには左右に螺旋階段があった。

そして入って見たら、思ったより広い。

上にはシャンデリアが複数並んでた。

辺りを見渡す三人。

「ぇ……ここどこ?」

するとバタン!っと勝手にドアがしまった。

「うそっ!?」

「くそっ! 開かえ!」

俺は、慌てて急いでドアをこじ開けるが開かない。

「閉じ込められたみたいです」

洋二は辺りの状況を把握してた。すると玉座に座ってる人がその光に差した。

かっこいい登場しながら……。

「ようこそ、吸血鬼の屋敷へ」

俺が、吸血鬼に質問した。にしてもラスボス感が凄い。

「お前がここの主人か!?」

「まぁ、私の世話人もいますよ」

吸血鬼の背後に6人も出てきた。

「紹介しよう、こいつはメイド『ラグメル・ミシュタ』

隣は俺の妹【ノース・メアリー】だ。

その隣は魔術師【ホワッツー・アシュエル】左は警備をしている【ポース・ミオケル】だ。

隣は妹の執事【テリ・マリュス】隣はここの庭師【ノエル・ギャラガー】だ。私の仲間だから仲良くしてくれ」

「聞いたぞ、吸血鬼で女を殺したのは!」

「はぁ? 俺がか? この吸血鬼……おっと忘れてた。名前は【パネモフィー・ゼア】神秘的な名前だろ」

「そんなことはどうでもいい、お前のやったことは殺人鬼に過ぎない!」

「殺人鬼だって?私はこの敷地内に入られたんだ。それを殺人鬼呼ばわりだなんて、全く勘違いも程々にしろよ」

「……っつ……!」

「でもこの場所に入ってきたのは褒めてあげよう、なあ、北条爓」

「……!? なぜ名前を!?」

「分かるだろ? みんな分かってるんだお前のことぐらい、知らないと思うか?」

「……みんな……倒すぞ」

「本当にやるのか?」

「待て待て、言っとくけど吸血鬼では一番強いんだぞ? この奇怪の中で【絶怪】に入るんだぞ? 相手しないほうがいい。早く帰って母さんと寝るんだな」

「この……吸血鬼が!!」

俺は怒りの限界で、刀を出し吸血鬼に向かって攻撃してきた。

「はぁ……怒んなって……」

振ってきた刀を、予知してるのか全て見事にかわした。

「キレるなってもうー わがままだな〜 おい、お前ら、殺ってていいぞ」

一斉に攻撃してきた。

「大変です。僕達も援護しましょう!」

「出番が来たわ!」

銃を取り出し、手下に倒し向かう。

皆戦ってる中俺は、このボスと対決してる。本気出してるが、遊ばれてるのか全てよ蹴られてる。

「当たれよ! この!」

「遅い遅い、そんなもんこうだ!」

俺の刀を掴み、腹を蹴られた。

「ウッ!……」

「これでどうかな?」

俺の顔を横に蹴られるけど、俺は間一髪で片腕でガードする。

「クッ!」

腕でガード止めたのはいいが、手がしびれてきて、痛い。片腕を見ると腫れてる。

「さすが、二度ではもう把握してるんだ、おっ、いい提案をしよう、あの『猫』を連れて行っていいかな? そしたら闘いを終わらす」

「……!?」

「いやいや、そんなに驚くな、何も噛もうとはしない。ただ、少し遊んでやろうとするだけだ」

「……この、やろう!!」

「おいミシュタ!この女を連れてこい!」

メイドのミシュタは、まいを連れていった 。猫っていうのは女を連れていく意味だと分かった。

「そうはさせるか! 中級効果!【三日月切り】!!」

ミシュタはガードされた。

「連れてきました……」

「よくやった。おい! そこの二人! 死にたくなけりゃあ外に帰れ!」

「僕はそうしません!」

「同じく、そうする!」

洋二もまだ諦めてない。俺と考えてる事同じだった。けどこの戦いで俺は右腕が腫れてて、これは治るまで時間が掛かるな。

「はーもうー知らぇぞ」

吸血鬼の、手の平からなにかを吸収して黒い玉が出来始めてる。とても危険な能力を初めて見た。

これが吸血鬼の……いや、最強の吸血鬼だ。

「私の能力を舐めんじゃぇぞこのネズミが! 死にたくなけりゃあさっさと伏せろ!」

「……クッ!」

俺は悔しかった。怒りで歯を立てて今すぐ反撃したいけど、洋二が肩を叩いて止められた。

「行きましょう……爓さん……。やっぱ相手が強すぎました……」

「洋二……」

「フッ、やっと分かったか。大人しく行けばいいのに。次は白神町で会おう」

「行きましょう……」

危険だと気付いて、俺と洋二はこの屋敷から出てった。

雨はもう止んでるけど、まだ、地面が泥だらけだった。

俺はまだ納得いかなかった。生きてる心地がしないし、まだ倒せる。洋二に質問する。

「なあ、なぜ従ったんだ」

洋二は気付いた。あの吸血鬼の能力の強さを分かった。

「えーと、見ました? あれは妖怪でも出来ない技なのです」

「あの技か? あれは見たことない、でもあれは倒さなきゃ分からないではないか?」

俺が、何も解ってないのでため息をつけた。

「はぁ……本当に何も分かりません。あの能力は見たことない能力ですよ?」

「え? あぁ……」

「その能力は代々吸血鬼に刻まれたいわゆる、死の能力なのです。それを倒そうとして、もし発動したら妖怪なんて粉々、しかもその範囲の自然も破壊する技なのです。僕はその辞典で調べたのですから確かです。確か、【究極効果】に部類される能力の下から7番目です。だから、もう相手にしないでください」

「いや、俺は……」

「俺は?」

「俺は戦うことではない、大切なものを奪われたんだ、確かにそれは危険な能力だな。だがその能力は関係ないし、今大事なのはなのは奪われた大切なものなんだ」

「そう、ですか……勝手にしてください爓さん。勝手です、危ないのに……」

俺を置いて洋二が先に行った。去ろうとする時に立ち止まった。

「本当に気を付けてください……死んでも私は助けません……そんな勝手だったら」

進んでだんだん離れていった。霧の中に入り、洋二の姿が見えなくなった。

暗くて人が見えないくらいくらいだ、なんだろう。俺の心はまだ思いがあるけど聞いてくれない……。

なんだろう、なぜ帰れない?

頭の中が離れない、またあの屋敷でまいが待ってる……。

「これが思いなのか? まだ戦えるはず」

さっきの屋敷に行った場所に戻ると、そこには屋敷の跡形もなく消えてた。もしかして移動したのか?

俺は逃げられた事に悔しかった。

「なぜない!? 夢だったのか?」

確かにここのはずだけど、ここの前は墓しかなかった「くそ!! くそ!! なんでだ!! なぜ屋敷ごと消えてるんだ!!まだ大切なものが……」

怒りで地面を何度も踏んで、俺が涙を流しながら地面に座り込んだ。

「そこの君、何をしておる?」

白い長髭の髪の毛が長い老人に声をかけられた「君はなぜ泣いてるんだ?」

「……俺は……」

「これを飲みなさい」

試験管みたいなグラスに青いドリンクが入ってた。

「これを飲めば忘れて、少し元気になる。ほら、これを飲め」

少し怪しんだけど、仕方なくドリンクを飲んだでも少しきつい匂いだけど美味しくて甘かった…。「この味……」

「思い出したか?」

俺は、過去のことを思い出した。

ある父さんと剣道の練習をしてた時、少しきつい匂いがしたそれは酒だった。

父さんの飲んでた酒が俺の鼻に来て少しきつい匂いがしたんだ。

「あぁぁ……酒の匂いがする」

「何を言っておる?酒など入っておらんのじゃ」

「いや、これは思いが詰まってる酒だ」

「お主、頭おかしくなったのか? とりあえず、元気になったならそれでよい。わしは帰るぞ、では」

老人は帰っていった。

俺はその父のあることを言われた。あの言葉が浮かび上がる。

【爓、お前は立派になった、だがまだ修行が足りんところがある、それを改善したらお前は素晴らしい剣士になる。そして、その悪い『奴ら』を倒し、自由になれ……】

俺の頭をポンッと撫でた。こう言われた、懐かしかった。

「これは、本当に元気出た、ありがとう、じいさんのおかげで、その、他の思いも思い出した」

少し懐かしい感じがした……。



まいの家に着いた。

「ただいま……」

あたりは真っ暗でリーザと洋二はまだ帰って来てない今は午前5時だ。もう朝なのに……。

「とりあえず、食材があるかな」

電気をつけて、冷蔵庫開けると食材があるがなにを作ればいいのか分からない少ない野菜と肉がある。

「この食材でか……よし!」

冷蔵庫から食材を出し、台所に置いた。

まず野菜を切り、炒めて水に入れた鍋に野菜を入れる。

残ったカレールーを入れ、アクを取る。

出来たら盛り付ける、あとはお好みで追加していい、俺は残った漢方を入れた。

漢方はいろんなものがあって、外の物や妖魔界の物もある。香りが強い物と苦い物もある。上手く調整しないと、食えたもんじゃない料理になる。

別の異界では『漢方臭い』と、言われられる事も少なくない。食べた後は、口の中を洗浄しなきゃな。

ていうことで完成。

「出来た、いただきます」

味は悪くないな、普通のカレーだ。

少し、漢方がスパイスを消してくれる。

選んで正解だった。

「美味かった……」

リーザと洋二が、帰って来るまでまだ残ってるので蓋をした。

テレビを付けたけど天気予報しかない。

なんか番組とかニュースやってないかな……。

本当にまいのテレビは最新すぎてかなりぬるぬる動くので酔いそうだ。

「シャワー浴びるか」

まいのシャワーを借りた。

服を脱ぎ、風呂用のタオルを巻き、鏡を見た。

俺の身体は、対奇怪で訓練されたのかそこそこ肉付きがよかった。

自分の背中の傷をを鏡で見たらかなりひどかったけどそう思わない。

むしろ相当な努力をしたなと思った。

てか、まいのシャンプーの種類が多すぎてどれがシャンプーなのか分からし、とりあえずそれっぽい物を使う。手を出すとセンサーでジャンプーの泡が出てくる便利機能が付いてる。

なかなか泡立ちがよかった。

ただ、女子の香りいは余計だ。なんかきつい匂いがするからあまり好まない。

「強い香りがするな……エックショイ!!」

っと匂いの反応でくしゃみしながら文句を言う爓だった。

こんなの使ったのは7年振りで、久しぶりにジャンプーを使った。

そんなはシャンプーは無かったけど……。

でも昔、俺の実家に【石けんクリーム】っていうのはあった。

石鹸を擦るとクリームの泡が出てくるけどこのシャンプーは初めて見た。

「ふぅーさっぱりした……」

タオルを体を拭き、服を着た。

リビングに行き、ベットに座った。

「やることない……どうしよう……」

ベットに座ったまま何か無いかなと、探したら、まいのアルバムブックと言う本を見つけた。めくると、家族の写真があった。一枚目は小屋の近くの森で、狐を矢で倒して、まいが狐を持ち上げる写真だった。

写真の横には名前が書かれていて、それをじっと見つめる。

【坂道楊泰】と【坂道奈由】って言うのか。

この写真の小屋によると、家族は妖魔界ではないし、別の世界の化響界に住んでいる。

化響界には妖魔界と違って少し発展が遅れていて、屋台はテント式でそこに果物とかが置かれてる状態の中世風の都会だった。

んで、俺が見てたのは小さい頃のまいを見てた。

大体三百年前ぐらいだろう。

俺はふと、俺が小さい頃の時の記憶を思い出した。

それは、奇怪の軍勢と謎の空飛ぶ戦艦が妖魔界を一度崩壊しかけたことだ。

あたりは火の海で家まで燃えてた。

そこに俺が火のところをくぐり抜けて、家まで着いたけど手遅れだった。

家が燃えてた。

俺は必死に母さんを探して、とても危ないけど絶対に見つけ家の庭とか部屋を探す。

外の家に母さんが居た!……でも母さんは木に下敷きにされてる。

まだ息はあるから、すぐ助けないと行けないからいくが、母さんが。

【……近ずかないで……】

って死にそうな声をした。

そして、火に飲み込まれた。

危なかった。

あの時、行ってたら死んでたかもしれない。

ただ、一人失ってしまった。

それが今でも忘れなかった。



二百五十年前、父は銃で撃たれた。

それは、あの喧嘩自慢のせいでこうなった。

黒い服装で分かった、でもそいつは知らないってとぼけた口で言ったので吐くまで殴った。

最後の一発で……。

【待って!】ってまいに止められた。

先生もいたから結局暴行で、退学させられた。

ベンチに座って落ち込んでるところを信がいきなり

【対奇怪隊にならんか?】

と言われた思い出があった……。

思い出すと多くなるくらいある。

玄関のノックが聞こえてきて、慣れてきたのか音でリーザっていうことが分かった。

「はい」

ドアを開けた。嬉しげな表情で「おっす! 少し金浮いたぜ!」って言ってきた。

いつも、リーザは対奇怪隊の頃も訓練終わった後寮でリーザと他の対奇怪隊の人達で大富豪をやってて、リーザが勝ちまくってた記憶があった。

またどうせ、勝ったんだろうけどどうなったかリーザに聞く。

「また勝ったのか?」

「勝った勝った! とりあえず腹減った。なにか無いか?」

「ちょうどカレーが出来たけど」

「よし!それ食べよう! 俺、腹減ったから」

台所に向かい、カレーを皿に盛り、机に置いた。

「おお!! 美味そう!」

「少し漢方を入れたから合うと思う」

「いただきます!」

リーザ、そんなに腹減ったのかぐらい急いで食べてたら喉に詰まらせるぞ。

「急ぎすぎだ」

「だって腹減ったから。美味い!」

カレーをすぐ平らげた。

「美味かったー! ごちそうさま!」

口周りについてるカレーを、口元でティッシュで吹いた。

「さて、奇怪を狩るか!」

「もう?」

「お前? 知らないのか?」

「何が?」

「奇怪を倒すと報酬が貰えるって」

「それは知らない」

「おいおい、それは知っとけよ、奇怪にはなぁ、たくさんの種類がいるんだ。それが高ければ高いほどたくさん貰えるんだ。分かったか?」

「あ、あぁ……」

「そんじゃあ!やりますか!ほら支度しろよ」

「分かった分かった……」

解らなかったけど、とりあえず倒せばお金が貰えるのは解った。

家から出り、草が生い茂ってる所に着いた。

「さぁ! 出てこーい!! 奇怪!!」

「……」

「……」

叫んでも風の音や、鳥のさえずりしか聞こえない。

リーザ、どこに叫んでるんだ?

「出てこないな」

「おかしいな、おーい! ……!?」

どこか分からないけど遠くから攻撃された。

「うぉ!」

「危ぇ!」

何とか避けれた! 飛んで来た感じ、遠くからの攻撃を受けた。

さっきの攻撃で、一本の木がへし折れてたから威力が凄まじい。

「やばいぞ! 絶対居る! 警戒しろ!」

「うん……おい!?」

攻撃が来たけど、今度は無数のレーザーが来た。

「なに!?」

「【円壁】!!」

何とか、俺のバリアで防いだけどバリアにヒビが入る。

俺とリーザも不審に思ってて、どこに撃たれたのか分からない。

「なあ、おかしくえか?」

「確かにどこ撃たれてるのか分からないな」

「これは、苦戦するな」

どこから来るのか周りを見渡して、警戒してる時、俺が上を見た時、人っぽいのが浮いてた。

「おい! 上見て!」

俺が指さしてリーザが上を見た。

「なんだあれ!?」

突然、空中から声を掛けてきた。

「おい……この半霊が……何しに来た……」

少し暗い声をしていた青年、服が暖かいダウンコートを着てて青色の服と目に光がなく暗い表情をしていた、剣は虹色がかっててカラフルに持ってた、髪の毛は整ってなく、ボサボサだった。

「何しにって、奇怪を倒しに……」

「それは僕が倒す奴だよ……君たちは倒さなくていいの……」

「いや、それは俺が見つけたんだよ!早くガキは寝てろ!」

リーザがまた調子乗ってる。

俺が今言った発言で流石にマズイっと思った。

「ちょ!」

「なに?……僕を馬鹿にするとは……消したいようだ……」

「ふっ、やってみろよ!どうせ見た目だけだろ!」「極悪効果光の氷柱パガーキフォトース

極悪効果は、妖魔界では最強の能力だった。

謎の光線が無数に光速で、リーザに降って来てリーザが被弾した。

「グハッ!!」

「リーザ!……どうやってその能力を!」

「ただ簡単に手に入れた……」

「こんな最強の能力を手に入れるのは五百年はかかるんだぞ! しかもそれは厳しい戦いを乗り越えただけなんだ!」

「そんなに羨ましかったのか?……」

「へ?」

「……いいよ、僕が君に与える……」

「もしかして!?」

「極悪効果 覆う鈴カーテンベル!!」

「クッ!」

青年が放った攻撃をガードした。

「なんてやつだ! お前は誰なんだ!?」

「僕か?……僕は『リー・ヨゥンセイ』だ……」

「面白い名前だ」

「そうか?……僕はそうでも無いけど……」

「なぁ、その能力をどこで手に入れた?」

「君に教える権利はあるのか?……」

「あ、いや……」

「……この能力はずっと知らされずに装備したから教えないよ……」

「それを相手に傷つける能力とは……」

「何?……僕が使って悪いのか?」

「いや、別にそうでは無いけど……」

何か言いたかったけどやっぱやめた。

ヨゥンセイは納得したのか

「ふーん……稲妻アストラフィ……」

また攻撃してきた今度は1000万ボルトの電気がこっちに当たって来た。

「こいつ……! 何もしてないのに能力を発動してるとはどういうことだ?」

「いい質問だ……これは見たものだけ発動出来るんだ……唱えるだけで使えるのだから……他にも、目の模様で発動できる」

「……手強すぎる、なら……」

体が麻痺して動けない。

勝てないとわかった俺はその隙を見てリーザと瞬間移動する。

「逃げられたか……」

ヨゥンセイは、諦めた顔をしていた。



何とか遠くに瞬間移動した、これでも体力は消費してしまうからあまり使わない能力だけど、使うしかなかったけど、もう二度と使わないようにする。

場所は戦った場所の約10kmぐらい移動して、あたりは街が並んでいる、どうやらここは街が並んでる所に来てしまったようだ。

あぁ、そうだ起こさないと!とりあえず脈もあるし、息してるのでリーザを起こした。

「おーい、起きて」

うつ伏せ状態で寝てたからリーザの背中を叩いた。

起こされたせいで、少し、キレ気味だそうだ。

「ん〜もうちょっと寝かせろよ……」

ここで寝てると、誰か倒れてると思われるからとりあえず肩を乗せた。

「重っ!」

リーザが倒れて体が抜けてるので重くなってるけど、これでもこれくらいは訓練してるから慣れてる。

「……とりあえず、ここの宿に泊まろう……」

古風で、綺麗な木造の宿の家だが、なんか、家の周りから嫌なオーラが放っていた。

でも、こういうのは綺麗な家ほど、優しい主人が住んでるかもしれないという俺の勘から、ここしか泊まる場所がない。

ドアをノックして居るか呼んだ。

「すいませーん!誰かいますか!」

居ないのか? なら、お邪魔する。

少し廊下が広くて先にドアがあるから、そこの襖の扉に多分寝室があるかもしれない。

靴を脱ぎ勝手に上がっていく。

「にしても暗いな……。本当に居ないのか?」

鍵は空いてたからいると思うけど、少し、歩いてみた。



だいぶ経ったのかかなり歩いたと思うけど、なかなか寝室にたどり着かない。

「おかしいな?……こんなに遠かったけ?」

かなり歩いたけど、なかなか寝室に近ずかない。

すると、周りに、どこからか女の声がした。

「何をしてるの? 勝手に家入って……」

勝手に入って怒られてる。この女は、小綺麗な声をしていた。

「ど、どこだ!? どこにいる!?」

何処に居るか分からないし、何処から攻撃されるか分からないので焦ってる俺だった。

周りを探しても女らしき人が、居ない。

「あなたはどこから来たのですか? 今すぐ出てきいなさい」

「ここに来て出るわけには行かない!」

「そう……なら無理矢理でも追い出しす」

景色が変わって、寝室に着いていた。少し広かったどれくらいか分からないけど八メートルぐらいはあって、家具とテーブルが置いてあって掛け軸も掛けてあって、襖を開けると布団も敷いてる。

けど、何故ここに移動されたのか分からない。

「寝室に着いた?」

すると廊下になにか横切った。

「……!?」

焦ってる俺は刀を抜いて構えて、どこにいるか周りを見ている。

「どこだ!?」

どこからか三味線の音が聞こえた時、襖が空き、妖怪が現れた。

「出たな!」

妖怪を退治してるのは慣れてるから、これくらいは簡単だと思いきや、どこかで見たことがある。

『金角』と『銀角』のどれも強い『S級妖怪』だった。

「何!?」

さすがにそれは想定していないので勝てるか不安だった。

「でもやるしかない……」

そう胸に刻んだのだ。

「待って! みんなストープ!」

と、さっきの女の声が聞こえたけど俺が行き良いよく飛びつき刀を振る瞬間……。

金角が巻物の絵を見せ、俺が吸い込まれた。



あれ?出れた? 着地が悪くて床に激突した。

「イテッ!……あ! もう出れた!」

「これでよし……!?」

さっきまで倒れてたリーザが、目を覚まし、女に攻撃してきた。

「この野郎!! 奇怪覚悟!!」

「ちょっと待って!」

危機を感じた女は、手で止める仕草をする。

「止めろ!!」

そこで俺が、リーザの命令で止めた。

「爓、こいつは奇怪なんだ、こいつを倒すのが目的なんだよ」

リーザが俺を見て言ってて、またいつもの疑いの事だと分かった。

金角がこういった。

「なんと、悪いやつじゃ! お前ら二度と出られなく……」

「待って! その子は爓だよ」

爓の顔を見て、分かった。

「なぜ名前を?」

「その胸のバッチの称号を見て、すぐ分かりました。金角に吸い込まれた件は……」

「あ、申し遅れました。我は対奇怪隊の少尉【阿国】と申します」

阿国達は、礼をして顔を上げて良い奴じゃないかと思った。

ただ、リーザが、阿国をまだ未熟だと思って自慢した。

「おいおい、俺の方がもっとすげぇぜ、聞いて驚くな、対奇怪の伍長なんだぞ! どうだ! 驚いたか!」

「……」

「おいリーザ……」

阿国が俺の耳に近ずいて聞かれないように話した。

「伍長って兵の少し上だけど、あんまり活躍してない事だよね?」

「え? あぁ、そうだな、リーザの戦果は一番下に近い順位だった気がする」

「なるほど、だからあんなに調子乗ってるの」

「お、お前ら!絶対俺の悪口だろ!」

絶対悪口だと思って、恥ずかしながらその悪口を止めた。

リーザが言ってたからだ。

さっきの勘違いした行為と、この2人の家来の不注意で、阿国達と謝罪した。

「……さっきは申し訳ありません、お詫びにこの宿に泊まってってください」

「申し訳ない……」

「おっしゃー!! 泊まれるぞ!!」

あまりの嬉しさに大声で叫んでしまった。

「リーザ、静かに……。ありがとうございます」

「いえいえ、では、私はやることがあるので失礼します」

阿国達は向こうに行ってしまったけど、銀角がリーザの肩をポンと叩いた。

「運が良かったな」って言って出ていった。

リーザは首を傾げながら「何言ってんだこいつ?」って言った。



泊まれると聞いて、まず俺は先に風呂入った。

「とりあえず、先に風呂入ってくる」

「おう、分かった」

まさか泊まれる以外に風呂入れるとはこれは夢なのか? ぐらい嬉しいのだけど、とりあえず俺とリーザはここに泊まって飯を作り、明日に備えた。



俺は風呂に上がり、部屋に戻った。意外とここの風呂は疲れが取れそうだ。

「おっす、おっ? もう上がってきたのか?」

「結構温泉ぐらいの広さだったし、ちゃんとサウナもあるよ」

最高な温泉と耳に入ったのかリーザが、興奮していた。

「おい、まじか!? 俺もすぐ入ってくる!」

女なんていないのに、そんなにはしゃぐものか?リーザが風呂に入るためすぐ部屋に出た。

「あっ?! あとジャグ……あー」

リーザが、風呂に行ってしまったため言うの遅かった。

「しまったな……。まあ、そのうち使い慣れると思うから大丈夫だろう」

そうすればいいけどリーザだから蛇口のひり方とか分からなさそう。

分からなくて壊さなければいいけど……。

「さて、とりあえず、ご飯ないかな?」

家の主が何処に出かけたのか分からないいため、自分でつくるしかない。

台所に行って、材料を見た。

材料は野菜類と豚肉と鯖、味噌がある。

「これだけか……うーん……」

今日は何の料理作ろうか考えてる……。

そして今日作る料理を決めた。

「よし、あれにするか」

俺は考えた結果、まず野菜と鮭のムニエルと大根と豚肉は生姜焼き代わりにした。後は俺が狩った非常食のタヌキの肉は、しゃぶしゃぶにした。

タヌキの肉と食いたくないけど、妖魔界にはこれが普通だ。動物の肉はほとんどダメだけど、奇怪の肉なんて論外だ。一回誰かが誤って食ったら暴走して、その後二度と帰って来れなくなったこともあるから絶対に食わない。

食っていいのは、タヌキと豚肉と魚と野菜と米。ダメなのは牛と羊と猪などの肉類だ。

スムーズに料理を作り、完成した。

「出来た……」

何かが足りない……。

あ、これを忘れてはいけなかった。あとは前菜を盛りつければ完成。

「よし、あとは食卓に運ぶか」

部屋と、台所は近かったのでテーブルまで運ぶのが楽だった。

そしてリーザが風呂から上がって来た。向こうから俺の方に大声で言ってきた。

「これさ! 鉄の塊が分からなかったから浴槽で洗ったけど鉄の塊どう使うんだ?」

蛇口のあれか。やはり、リーザにはこの蛇口の開け方が分からなかったか。てか、言うの遅かった。

「あれは、捻るだけで水が出るよ!」

「あれがか? 分かんなかったわ!」

本当に分かんなかったかな? てか、壊したか怪しい。でも、これだけ街も発展してきてるからリーザも分からなくはないけどな。

リーザが部屋に戻り、座布団に座り、胡座をかく。俺が作った料理をテーブルに置く。

「とりあえずご飯は出来た。それで食べてくれ」

「おっ!さすが大尉、助かるぜ!」

リーザがすぐ食卓につき食事した。

俺の作ったご飯を褒めた。

「うまっ!やっぱ大尉の作った飯はやべぇ美味い!」

「うん、そうか」

俺はこれが日常茶飯事なのだ。別に他人に料理作るのは普通だけど。

リーザが自信満々に拳を胸に叩き、恩返した。

「おし! 作ってくれたお礼に、俺が特上の料理を作らせてやろう!」

あれだけはやめて欲しい。

リーザの料理はどこから手に入れたのか分からない材料を持ってくるから、臭いがきついし不味い料理ばっかの物を出すので、断った。

「いや、いい……」

「おっ? そうか? 美味しいけどなぁ」

「遠慮する」

間違いなく最悪なプレゼントだと分かる。

でも、気持ちだけは嬉しかった。

そういえば洋二は家に帰ってたけどいないから俺達のこと探してるんだろう。

まぁ、明日はゼアの居場所を探すため【妖魔鉄道】に乗ってそこで洋二と合流すればいいか。

「さて、食ったから俺は先に寝るぞ。明日は妖魔鉄道に乗るから早めに起きろよ」

「おう」

リーザが寝た後、俺は、何を読んでるかというと【妖怪の特徴と能力】を読んでいた。変わってるけど、これを読むと少し倒し方が分かるから読んでいる。

「ふーん……」と俺は読みながら理解したかの様に頷いた。

少し読んでいくうちに少し眠くなってきた。

「ふあ〜〜」

欠伸して、本を持ちながら、そのまま寝てしまった。

今日は大変な一日で、相当疲れた。



そして、朝の十時時過ぎで、かなり寝てしまった感じがする。俺は付けたままだった腕時計の時間を、何時か見て思考が止まる。

「……ふあ?!」

そして目覚めた。遅刻しそうだった。

「急がなきゃ!」

列車来るまで四十分。遅れてしまうギリギリの時間だ。

「リーザ!起きろ!」

肩を揺さぶった。寝ながら返事をするリーザ。

「おいおい……どうした大尉……」

「列車遅れるぞ!」

そういえばその約束の時間があった様にとぼけてたが、やっと思考が回った。

「……おい!? まじか!?」

リーザが目を覚まし、急いで準備した。

「どこ行くんですか?」

既に帰ってきた阿国が、寝ぼけて目を擦りながら質問する。

「妖怪鉄道に行ってきます」

「あ! なら私も行きます」

「おいおい、荷物だからもう1人増やすな」

服を着て、急いで準備してるリーザを見て、閃いた。

「リーザは私の荷物持って、もう済ませたよ」

「はぁ? ふざけんじゃぇ、なんで俺が荷物に……」

「対奇怪隊では力持ちだから」

それだけの理由だった。

阿国は、力がないだけ。そんな事してる間に電車が来たらまた一日待たなきゃあいけないから、困ってるリーザに言った。

「リーザ、時間がないよ!」

俺が準備しながら、リーザに言った。

「分かった分かった。ほい、荷物よこせ」

リーザが阿国の荷物を持って、宿を出た。

宿から駅まで一時間ぐらい。

時間がないのでタクシーに乗った。

荷物はトランクに入れるけど、遅いので皆手伝う。

車の中に入り、運転手が目的地を言った。

「お客さん、どちらまで?」

俺が目的地を言った。

「『差裾駅』まで」

「かしこまりました」

タクシーから駅は三十五分で、料金かかるけど、駅まで行くにはこれしかないのだ。

タクシーが走り、みんなが静かになった時にリーザが願ってきた。

「なぁ、暇すぎじゃね? 歌っていいか?」リーザが皆に質問した結果「馬鹿!」って一斉に答えた。



タクシーは差裾駅出口のターミナルに到着し、料金を運転手が言った。

「料金千妖です」

「ほい、お釣り入らないから」

俺が支払いをし、みんな急いで駅を走って切符を貰い、列車まで走った。洋二がみんなが来たことは知ってたので合流できた。

「爓さん、勝手にどっか行かないでください」

「乗るよ!」

洋二と一緒に列車に、みんな乗った。

そして、駅員が発車の合図を笛でピーーっと知らせ、列車が走った。

1分前でなんとか間に合ったみたいだ。

席を確認するため、その席を探す。

見つけたけど、女が席に座ってるため尋た。

「すいません、ここ僕達の席です」

女は席を離れ、その席を座った。

席は4つの混合なので、窓の景色が横から見れる。俺と洋二は隣ではなく、お互い窓側の方に座った。リーザと阿国は、俺達の縦から一両の七番目の四つ空いた席に座っている。

「……間に合いました……」

「……一様な……」

少し、喋りにくい。あのことで少し言いにくいかも。

リーザがいつ着くのか阿国に言った。

「おい、この終点あとどれくらいなんだ?」

「私にもわかりませんよ、大体早ければ三時間ぐらいじゃないかしら……」

「おいおい、三時間も!? はぁ!? いや、なんで待たなきゃあいけないんだ!」

「別にそのくらいでしょ、あとは分からないから」

リーザが文句を言ってる。

洋二もリーザと同じ質問をした。

「爓さん、ここから終点までいつかかりますか?」

「今昼だから、大体十六時間。長ければ一日かかる」

「……とても長いです」

「普通はそのくらいだ。子どもの頃に母さんと旅行いった時、そのくらいの時間だった」

「にしても、寒いです」

洋二が体冷えないように腕組んだ。

「ここはしょうがない、進むにつれてたまに雪降ることあるんだ」

「それにしては寒いです」

洋二は、この寒さで風邪引かないか心配した。ここは病院も無いし、医者も居ないから風邪は引かないでほしい。

「ヴェクション!!」

リーザが阿国の前で大きいくしゃみをした。

「ちょっと! 移さないでくれない!」

「だってよ、寒いぜ! しかも雪降ってるぞ」

「だからといって口塞いでしなさいよ」

リーザと阿国の席は、聞こえるぐらいうるさかった。

ちょうど、列車のお弁当屋が来た。カートで運びながら元気なお姉さんが売り買いしてきた。

「いらっしゃいませ! 旅の休憩にこの暖かいご飯、なんと! 今なら半額で、千妖からなんと、五百妖まで割引しております!さぁ、お買い得だよ!」

リーザがお姉さんを見て拍手し、感動した。いや、何か嫌な予感が……。

「さすがおばさん! 商売が上手い。から揚げを六個で!」

「おばさんって……」

阿国が言った言葉を止めようとしたが、お姉さんが気付いてないと思うからほっといた。俺もため息をつく。

リーザが買うのを見て、みんなが買い出した。

『俺はのり弁当を一つ!』

『あたしはドラゴンサンドを2つ!』

『こっちはコーヒーをください!』

みんなが大勢、お金出しながらお姉さんの方にみんな集まっていた。

「はいはい! 押さないで、まだありますから!」

一斉に来るから、お姉さんが困ってた。これはリーザのお陰なのかいつもの光景なのか俺は、理解不能だった。

大騒ぎしてる人達を、洋二は気になってた。

「あの騒ぎは?」

「あれは弁当を買い出してるんだ」

「あの騒ぎでですか!?」

洋二が目を見開き、驚く。



やっとみんなの分を買って、次は俺と洋二の所に止まった。

「お弁当などはいかがですか?」

「どうします?」

「……あーどうしよう……」

財布の中身は、お金が少ししかない。さっきのタクシーで使ったからだ。

「僕も少ししかありません。すみません、なにか安価な食べ物あります?」

洋二がお姉さんに言った。

「それなら饅頭が一個、百妖だよ」

「それを二つください、あとサイダーも二つも」

「合計で、六百妖ね」

熱々の饅頭を取り出し、サイダーも受け取った。

「どうぞ」

「ありがとう」

饅頭を俺に、渡して一緒に食べた。熱々の饅頭は俺の体の芯まで暖めてくれた。

「暖かいです」

「昔は対奇怪隊では、この極寒の地で熱々の饅頭を食べてたのを思い出すな……」

「……あの時はカイロ代わりにしてましたね」

「お、ちょっと。それだけは言うな!」

俺、が昔の事を洋二が知ってるので恥ずい。焦る、俺に洋二が微笑んだ。

「まぁまぁ、よくありますよ。半霊も寒がりなのはよく分かります」

「よくそれだけは、覚えてるんだな」

「あんな時代なんて少しは、覚えてますよ。雪降ってる時にテントはないからコートを着たまま寝れましたね」

「あれ少し、暖かったけど顔が寒いから寝心地最悪だったな」

「ほんと、コートの中に潜って寝てましたから」

「本当に足が狭かった。作った人、家狭かったのかな?」

俺の冗談で洋二が、微笑む。

「爓さん。面白いですね、冗談が上手いです」

「え? そうか?」

俺と洋二の会話が、数時間ぐらい続いた。たまに洋二のフォーカルフォンでトランプした。

そして、夜の時いきなり列車の電気が消えた。

いきなり消えるから慌てる洋二。

「爓さん!? 停電が起きましたよ!?」

「慌てるな。これは燃料を節約するために、就寝準備に電気を消してるためだ」

もちろん布団ないと困るので一様、布団と枕を配る人がいる。本来の価格は七百妖なのだけど、金無い人達も居るからその時は負けてくれる。

でも結局支払われるから、余計に詐欺られてる感じがするけどそんな事は、知った事ではない。

俺は残った金で、負けてくれて毛布を手に入れた。

しかし、寝ると段々と寒くなる。この寒さだと氷点下七度ぐらいだろう。窓の外は白く覆われてて燃料節約の為通常より、遅く鉄道が走る。

洋二は、俺の言葉でホット一安心した。

「ビックリしました……」

リーザが、突然の停電に慌てふためく。

「お、おい!? どうなってるんだ!? なぜ電気消えたんだ!?」

「ちょっとリーザ、静かに……」

人々が寝る準備に、はいってるのに1人だけ騒いでるリーザ。

ちょうど車掌が来たので、胸ぐらを掴んで、問い詰めた。

「おい!どいうことだ!? なぜ電気が消えた!?」「も、申し訳ありません。れ、列車の節約のために燃料を節約して、わざと電気を消してるので……」

「本当か!?」

「リーザ、本当のことを言ってるじゃない車掌さんが」

車掌さんが、手で止める仕草をする。

胸ぐらを掴んだまま後のことを把握した。

「ていうことは! ここで寝るのか!?」

「そ、そうですけど……」

強く胸ぐらを掴んだ。

「寒いではないか!!」

「申し訳ありません。そ、そうは言われましても……」

「リーザ、そこまでにして。後で布団配られるから」

「そうです、お客さん落ち着いください」

リーザがやっと落ち着き胸ぐらを離した。みんな何事だって思って、リーザの方に視線を向く。

「お、おう……分かった」

「ほら、来た」

また、あのお姉さんが来た。

「暖かい毛布どうですか?」

「いります二人用ください」

「合計で二百妖です」

リーザが何故か不審に思った。

「高ぇな、ぼったくってるんじゃないか? おばさ、フグッ!」

リーザの口を塞いだ阿国。

この近距離で、もう一度言ったら流石にマズイと思うからは言わせない。

「では、ください!」

「まいど!」

金を払い、毛布をもらった。俺はリーザの方を見て溜息をつき、呆れた。

そして、お姉さんが俺と洋二の所に止まった。

「暖かい毛布はいりますか?」

「毛布ですか?」

「はい、この毛布一つで百妖です」

「……ちょっと待ってください……」

洋二はお金がないし、俺も所持金残り二百妖でそろそろ底をつきそうだ。

しょうがないから毛布を二人と一緒にお金を出して、一枚買うことにした。

「毛布を一つ」

「まいど!」

本当にお金がない。報酬が貰えるのは明日なので、なんとかやり過ごしたけど、必要なものは手に入らなかった。

しかも、とても寒いで列車の隙間から冷たい空気が流れてきた。

窓が雲り、外の景色がはっきり見えない。本当に凍えそう。耐寒性の服は沢山売ってあるから洋二の服も同じ素材だと思うが、流石のの耐寒性でも限界があるので、かなり寒がってた。

寝場所は、布で出来てる椅子しかなかった。

「爓さん、寒いです……」

「そうだな」

俺は平気だ。少々寒いが、この位は慣れてるからな。

息を吐くと、湯気がはっきり見える。

かなり中は冷えきってるようだ。

洋二はこんな寒さは初めてなので、本当に震えてる。俺が心配そうに洋二に返事をする。

「大丈夫か?」

「……寒すぎです……」

洋二は、毛布だけじゃあ足りなかった。

しょうがないから、俺のコートで少し暖かくした。

「何をしてるのですか?」

「かなり寒がってたから……」

「そんなことしなくていいです。僕は大丈夫なので……」

洋二はコートを遠慮したが

「俺はコートなくてもこういう極寒の所では、訓練はされてる。気にするな」

「そうですけど…爓が寒いじゃないですか?」

「もしもの時は、ポケットに小型カイロランタンがあるから大丈夫」

「うーん……」

洋二は布団とコートを全身まくって、横になり、寝た。

俺はシャツと長袖の二枚を着ていて、少し、寒さをしのいだ。

曇ってる窓を拭いて、窓の外の景色のオーロラを見た。

「……綺麗だ……」

列車走る窓の景色は最高だ。

本読んでその景色を見たまま、俺は寝た……。



そして、やっと朝になり、終点、【白神駅】に着いた。駅のターミナル出口に向かい、出る。

まだ疲れが溜まって、欠伸をしながら歩く俺を気遣ってくれてる洋二。

「着いたみたいです」

「ふあ〜眠い……」

「爓さんちゃんと寝れました? ちゃんと寝ないと体に害ですよ」

「心配するな、俺はすぐ朝にはちゃんと起きれるから」

「本当ですか?」

駅から着いて俺はまだ元気そうではないけどリーザは、気持ち的に元気はないみたい。

「お、重い!何が入ってるんだこれ」

「この中身は化粧品と、ドライヤーあと小型ストーブと服などが入ってるよ」

「重たすぎだろ……これ……」

「ほらほら、早く行かないと爓達に置いてかれるよ」

「そんなん分かってる! こっちは全ての荷物を運ばされてる。少しは感謝しやがれよ!」

「グズグズしてないで、早く行くよ」

「くっそー! 後で覚えてろよ!」

阿国はルンルン気分だけどリーザは重りの荷物を引っ張って進んでる。これが俺だったら腕つってるな

ここの都市は【妖魔界中央都市白神町】妖魔界で、一番街が発展しており、交通機関と高い高層ビルとレストランなどがガラスで覆われてて近代化してる。妖魔界の未来都市だった。

人々の服はどこもかしこも、見てもみんな高級そうな服で、途中宙に浮いたりする車も見かける。

歩道には、歩かずに勝手に進んでくれる装置がある。歩道はベルトコンベア式で、歩かなくても進むので、移動が楽だし、上にはヘリだけどタクシーがあるので、渋滞に巻き込む心配もない。

まだ、古い文化遺産は大事に残ってる。

どうやら奇怪で戦った場所の向こうは古い建物だけど、ここに都市が集中してるから発展してるようだ。

これが妖魔界の始まりだった……。

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