第23話 決闘その後



伊織はいつもの布団で目を覚ました。



「起きられましたか。伊織様。」

伊織は目覚めを鬼一と弁慶に迎えられる



「鬼一殿、弁慶殿か。気絶してどのくらいたった?」

伊織が2人に問う。



「今は15時といったとこです。すでに巴も目を覚ましています。」

弁慶は伊織に答える。



「そうか。」

伊織は弁慶の言葉を聞き窓から外を見る。




伊織と巴の決闘は伊織の勝利で終わった。巴の最強の攻撃を伊織が打ち破り勝利した形だ。その後伊織は反転の秘薬の副作用、巴は呪力の使いすぎにより両名ともに気絶し今に至る。



「伊織様。長介との決闘そして今回の決闘で呪力による技を使っているように思うのですが、武士の長将軍だった貴方が何故呪力の技を使えるのでしょうか?」

鬼一は伊織に訪ねる



「ふむ。…………まあもう良いか。あの技は足利家に伝わる秘伝なんじゃ。」



「足利家の秘伝?。初代の足利尊氏様が陰陽師を潰し呪力による書物なども処分させたと聞いておりますが。」



「あぁ初代様が亡くなられた後に二代目様は将軍しか入れない秘密の書庫を作り、そこに隠して持っていた呪力に関する書物を保管したんじゃ。」



「なるほど、それが石川五右衛門の話しに出てくる足利秘密の書庫ですか。」



「どうやらそのようじゃ。秘密の書庫には巨大な石板があり二代目様が直接刻んだ言葉がある。『未来の将軍に送る。 父足利尊氏の考えと反するが、足利が今陰陽師や呪力の力を排除したとしても人間の心臓に呪力があるかぎり呪力を使う遣い手は必ず復活すると考えている。もしくは海の向こうからの勢力かもしれん。その未来武士が対応できない未来にならぬように将軍として呪力の使い方を理解せよ。しかし今の時代は父足利尊氏が築いた時代。印を使った呪力を将軍が使う事は家臣に動揺を与える。その為に印を使わない呪力の技を足利流としてここに残す。』そんな言葉が書かれた石板があるんじゃ。」



「そんな石板が。しかしでは何故足利義尚様は石川五右衛門に足利流の技を教えず隠してた印の力を与えたのでしょうか?」



「それは、秘密の書庫の作りが入り口に本や書物が大量にある部屋になっており、奥に将軍の書斎があるからじゃろうな。石板は将軍の書斎にある。手前の書物から印や呪力操作を盗み見たなら石板は読んでない可能性が高いじゃろう。余は刀に可能性を感じておったし、気力が圧倒的に多いとわかっておったから石板に記してあった足利流の技を覚えて辞めてしまったがな。」




「なるほど。しかし聞いていてなんですが、将軍家の秘密を私に話してもよろしかったのですか?」

鬼一は伊織に訪ねる。




「足利家が滅びたならこの秘密も意味をなさんじゃろう。それに二代目様の考え通り外の国から魔道具という呪力を用いた道具がこの国を変えてしまった。それに忍者という呪力のスペシャリストもいるしな。」



「伊織様!!忍者が天下を目指すことはありません!!」

弁慶は伊織に反論する



「別にお主らを責めてるわけではないんじゃ。お主らが民の為に動いているのはわかっておる。じゃが力があることには変わり無い。そして力があるということはそれを利用しようと考える人間も出てくる事はわかっておるじゃろ?実際にお主らの抜け忍によって余は死ぬことになった。そしてそやつを裏で操っていた陰陽師の流れを組み者達は未だに活動しておるのじゃろ?」



「それは………」

弁慶は言葉に詰まる。



「余は忍者になることに決めた。忍術を極めて呪力の使い方をマスターする。」




「伊織殿、力を求めるためだけに忍者になる事はできません。」

弁慶は伊織を止める



「わかっておる。力だけを求めて満足する人間なら八門を開けた前世で塚原卜伝に並んだことに満足してそのまま死んでおる。こうやって後悔して生まれ変わったということは力だけじゃなく生き方の問題じゃ。だから民の為に魔物と戦う忍者の生き方を選んでみたいと思ったんじゃ。」




「………どうやら本気のようですな?」

鬼一が伊織に訪ねる。



「あぁ本気じゃ。」

伊織は鬼一と弁慶を真っ直ぐ見る。



「弁慶。わしはいいと思うぞ。」

鬼一は弁慶に伝える



「先生。……わかりました。では、里で開かれる下忍試験に牛若丸、龍馬と一緒に参加してください。中国地方からの推薦として試験を受けてもらいます。」



「試験か。それに受かれば忍者の仲間入りということじゃな?」



「はい。牛若丸や龍馬みたいに見習いとして忍術の基礎を教える事も考えましたが足利流呪力の操作は完璧だと思いました。なので早く下忍になり本格的に里で習う方がいいでしょう。」




「かたじけない。では当面の目標は忍者の里に行き下忍になるのことじゃな。」

伊織は新たな人生を忍者として生きていく事を決意するのだった。

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