第2話転生したら乞食だった件
剣豪将軍足利義輝の死後12年の歳月が過ぎていた。
そんなある日の中国地方 広島にて物語は始まる。
☆☆☆☆
「おい、いつまで寝とんじゃ!?伊織!」
突然の怒鳴り声で目を覚ましたその男、伊織と呼ばれる小年は、胸元に響く痛みに驚いて目を見開く。
「痛っ…これは何事じゃ、、、?」まだ状況を把握できないまま、周囲の乞食たちに囲まれていることに気づく。
「伊織、貴様恵んで貰った食事は持って帰ってみんなで食べるルールじゃろうが。貴様つまみ食いしたな?」
鋭い目つきで胸元を掴まれた義輝は混乱していた。「??何を言ってるんじゃ、余の胸元を掴むとは乞食の癖に良い度胸じゃな?」
その言葉に怒りを抑えられなかった乞食の長介がさらに声を荒げて殴る。「良い度胸は貴様の方じゃ。何様のつもりじゃワレ?」
「何様じゃと??余は武士の長である将軍、足利義輝じゃ。控えろ下郎が。」
どういうことじゃ??抵抗しようにも、身体が全然動かない。それに気力も巡らないぞ??
この発言に周囲の乞食たちは一瞬静まり返ったが、長介は大笑いした。「がははは!ワレが天下の将軍様ならワシは大和皇国を造った神君、大和武尊じゃわい。それに乞食はワレも同じじゃろうが!!」
長介の手が再び伊織の顔面に向かって振り下ろされようとしたその瞬間、低く威厳ある声が響いた。
「おい、長介もうその辺にしろ。」
「あんっ?誰じゃい?…!?これは小早川様!!」
長介が振り返ると、そこには巨大な男が立っていた。長介は驚きに目を見開いた。
「小早川は店の名前だ。ワシは弁慶じゃ。そんな童子の顔が腫れ上がるまで殴るのはやりすぎじゃ、その辺にしろ。」
弁慶という名の大男は、伊織の前に立ちはだかり、長介を一瞥した。その眼光の鋭さに、長介は恐れを抱きながらも一歩引き下がった。
義輝は朦朧とする意識の中で、自分が乞食伊織として生まれ育った記憶を追体験していた。「何故こんなことに…余が、よりにもよって乞食に成り下がるとは…それに足利が滅んだじゃと。」
弁慶は伊織を見つめる。「半蔵が言っておった青白い光 大陸に伝わる八門と転生か…… 見極める必要があるな。」
そんな弁慶の言葉は届かないまま伊織は意識を落とした。
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