七灯

ドゴッ(鈍い音

「---------、----------!」

(痛てぇ....何が.......)

ガラガラガラ...........

店主「らっしゃい!お客さんそんなとこで寝そべってねぇでお好きな席に座ってくれや。」

男性客「痛ってぇ.....んだここは.......」

店主「ここかい?」

店主「ここは食堂や。はよ座ってくれやお客さん。」

男性客「すまねぇが店主さんいまそれどころじゃ.........」

店主「どうしたんだい。お客さん、そがいな顔して。」

男性客「親父......なんで......」

男性客「そんな....それじゃぁ俺は。」

店主「あーあー、お客さんはまだじゃけん安心しちくれや。」

店主「それより積もる話もあるじゃろけん、おりゃぁ裏方の方おる。飯食うときゃ読んどくれや。」

男性客「親父.......俺は、死んじまったのか?」

客「いや、おめぇはまだ死んじゃいねぇよ。」

男性客「それじゃぁ....ここは。」

客「さっきも言っただろ?飯屋だ、飯屋。」

男性客「飯屋?ハハ.....飯屋か。」

客「そんでお前なんでここに来た。」

男性客「それが、後ろから殴られたみてぇで、気が付いたらここに.....。」

客「そうか。」

男性客「..............。」

男性客「親父、やっぱ俺わ。親父みたいには上手くいかねぇ。」

男性客「親父みたいに、強かねぇし、人望もねぇ。」

客「そうか。」

客「じゃぁ辞めちまえ。」

男性客「...............。」

男性客「でも。」

客「でもも糞もねぇ。やりたくねぇなら辞めちまえ。」

男性客「................。」

客「俺は、お前に組を託したが、別にお前がやりたくねぇなら辞めりゃいいんだ。」

客「てめぇの人生だ。てめぇで決めやがれってんだ。」

男性客「俺は........組を続けてぇ。」

客「だったらやりゃいいんだ。上手かなかったって良い。俺はおめぇなら最後までやれると思って託したんだ。」

男性客「親父.......。」

客「だが、これだけは忘れるなよ。どれだけ苦しくても、組は.....家族は裏切るな。」

客「それさえできてれば、上等だ。」

男性客「..........。」

男性客「親父、俺、頑張って親父みたいに立派になりてぇ。」

客「俺みたいじゃなくてえぇ。俺みたいになっちまったら早死にしちまうだろうが。」

客「てめぇの人生なんだから。てめぇの好きなように組を引っ張ってさえいてくれれば俺はそれで満足だ。」

客「おい、店主!親子丼2や。」

店主「わかったで、親子丼2やなぁ。」

店主「もうちょいで、持ってくわ。ちょい待っとってくれや。」

客「おう。」

男性客「親父、あいつぁ何者ですかい?」

客「俺もよく知らねぇ。」

客「ただ、おめぇもそのうち分かるようになるさ。」

店主「へいお待ち!親子丼や。」

客「んじゃ、久々にお前と食うか。」

男性客「......いただきます。」




ガラガラガラ.....

男性客「ここ戻ればええんですか?」

店主「そうやで。そこ戻ればええんや。」

客「おい!」

男性客「はい.....。」

客「もうここには来んなよ。次来るときは、おめぇがじじいになってからや。分かったな?」

男性客「おう.....。またな、親父。」

客「おう、元気でやれや。」


ガラガラガラ.......

客「そんじゃぁ。案内人よろしくや。」

店主「もうよろしいのですか?」

客「おう、もう心配事も無くなったしな。」

客「あいつなら、上手くやってくれるって俺ぁ信じてる。」

客「まぁ上手くやれなくても、あいつなりに頑張ってれば俺ぁそれで満足や。」

店主「そうですか。それでは、ご案内いたします。」

店主「それにしても、来るのを分かってて長い間待ち続けたんですか?」

客「いんやぁ、知らんかったわ。でもなんか心配でな。」

客「あいつの顔も久々に見れたし、結果的には良かったわ。」

店主「危険な橋を渡りましたね.....。」

店主「まぁそれも一つの選択です。それでは、ご案内しますね。」

客「おう。よろしく頼むわ。」







ガラガラ......

「兄貴!気が付いたんですか!?」

「ここは.....病院か?」

「はい、昨日兄貴が倒れてるとこ発見してすぐ病院に運んだんです。」

「そうか心配かけたな。」

「俺ぁ大丈夫や。ちょっと親父に会ってきただけや。」

「それ、大丈夫なんすか?もしかして寝ぼけてます?」

「まぁそんなとこや。」








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