第6話

1日の授業が終わりホームルームが終わった直後、颯吾が話しかけてきた。


「一緒に帰ってもええかな?」


「良いよ~」


まさか初日から転校生と帰ることになるとは思わなかった。転校初日から誰かと関わっていく勇気に凄いと思いながら帰っていた。


「授業の時から思 てたけど、めっちゃええ奴やんな!話しやすいし、こっちの方じゃ珍しくおもろいからずっと話せるわ。」


「そ、そうかな?俺自身じゃ気づかないわ」


今まで言われたことのないことだったので少し驚いた。颯吾と一緒にいるとどうもいつもの調子を崩される。が嫌ではなかった。


「そうそう!なんか雰囲気からちがうのかな~?」


「いやな感じじゃないなら良いんだけど」


戸惑いを隠せないまま別れの時。


「ほな俺こっちやさかい、また明日。」


「うん。じゃあね」


不思議な感覚で帰ろうとしたとき、後ろから声をかけられた


「今の、颯吾くんだよね?もう仲良くなったの?」


朝子が話しかけてきた。にしてもちょっとだけ元気な感じだ。


「そそ。仲良くなったというか、一方的に話しかけられてるだけ」


「あ~ね」


最近の元気の無さを見ていたから今のテンションが追い付けていないが、明るくいつもの朝子に戻ったので安心した。


「なんでそんなに元気なの?最近テンション低かったのに」


「良く気づいたね」


「一番話してたし」


「そうだよね、、陽輔よりも気づくのがうまいよ」


「幼馴染じゃなかったっけ?」


「そうなんだけど、勘が悪すぎてアイツ。」


「まぁまぁ、それは俺も思ってたよ。勘は悪いけど周りが見えてるから何とも言えない」


「そうだよね~」


やっぱり朝子と話してると自然体でいられるような感じになる。彼女にも出せてないような感じの気持ちがわいてくる。


「話戻すとね、寿一くんが携帯買ったっていうから繋がりたいな~って」


「あぁ、彼女との連絡ツールがないって良くないねって話してたから」


「なるほどね!繋がってもいい感じ?」


「良いよ。」


初めてのスマホで使い方もわかっていなかったが、朝子が親切に1から教えてくれた。


「あのさ言いづらいんだけど、、」


「どうしたの?俺なんかやっちゃった?」


「違うの。でも今の彼女とは別れたほうが良いかもしれないよ」


「えっ、、」


驚いてしまった。まさか朝子からこんな言葉が出るなんてと思ってしまった。


「詳しいことは夜グループで話そ」


「なんで?今ここでも良いと思うんだけど、、」


「私だけじゃない情報もあるから」


「わかった。」


「ごめんね。辛いかもだけど聞いてくれると嬉しいかな」


「大丈夫だよ。」


しばらく黙ったまま朝子の家まで帰っていった。


「ありがとね。ここまで」


「ううん。良いんだ。また夜に」


「そうだね。じゃあね」


そう言って朝子は家に入っていった。自分の家に着いたとき、一通の手紙が入っていた。差出人も何も書かれていない謎の封筒。早速部屋に入り、何をするよりも先に開封した。


≪招待状 大桜中夏祭り開催 卒業生参加求む!≫


とだけ書いてあった。消そうとしていた記憶が蘇ってきて、過呼吸になりかけていた。落ち着こうとしても全然効果なくて、すべてが敵に感じてしまうほどに敏感に反応してしまっていた。1時間くらい経っただろうか。気が付いたときには布団の上にうずくまっていた。


ヴヴッ


一件の通知が来た。


『通話これそうか?』


陽輔からだ。身構えてしまったがグループ通話に誘われたらしい。


「あっ、ど、どうも。聞こえてる?」


「入れたんだな。聞こえてるぞ~」


「よかった~。初めてだからわけわかんなくて焦ったわ」


「なるほどね。」


「やっほ~」


2人の女子の声がした。朝子の友達の紅葉くれはと香菜かなだ。2人はいつも朝子と一緒にいて、頭も良いほうで学年からも人気の人物である。


「寿一君と話すのって初めてかも。よろしくね~」


「よろしく、、」


「あぁ主催の朝子がいないと始めらんないね~」


「なんかあったの?」


「親に呼ばれたらしいで」


「理解」


「ここにいるメンバーって結構狙われてるよね~」


「それな~」


香菜と紅葉が言ってたことに陽輔と俺は戸惑った。


「だれから?」


「まじか?!」


「寿一君そっちじゃない!好きって思われてるってこと!!」


「そういうことね。安心したわ」


笑いが起こった。でも実際狙われてるって聞くと、臨戦態勢に入りそうになる。まだ中学の頃の癖が治っていない。しかもさっきあんな手紙が入っていたら余計に警戒してしまう。


「ごめんごめん。遅くなった」


「やっと来たー!!」


「大丈夫だった?」


「うん!お父さんが事故にあったっていうから心配したのに、軽くねん挫しただけだったの」


「不幸中の幸いってやつだね」


「まぁね」


皆が話してる中俺は一言も話せなかった。全身に入っていた力がどうにも抜けなくて話してる場合ではなかった。


「寿一くんいる?」


「いまーす」


「良かった。ちゃんと入れたみたいだね」


「じゃあみんなが持ってる彩音ちゃんの情報交換始めますか」


「了解」


さっきまでの楽しかった雰囲気とは大きく違い、みんな真剣な感じで話そうとしていた。そんな時だった。彩音から一通のメッセージが届いた。


『今外出れる?星綺麗だから一緒に見たいな~』


よりによって最悪のタイミングで一緒に見たいなどと言われてしまった。

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