第5話
「ねぇ、今日さクレープ屋いかない?」
休み時間に彼女である彩音が話しかけてきた。
「良いよ。てか、彩音が話しかけてくるなんてどうした?」
「思い切ったほうが良いのかな~って」
「理解理解。じゃあまた後で」
「うん!」
俺の中で何かが引っ掛かっていた。心の中で大きなモヤがずっといた。
ホームルームが終わり、一緒にクレープ屋に向かった。
「ここっていつ来ても人気だよな」
「知ってたの?」
「たまに買い物とかで目の前を通ってるからね」
「じゃあちょうどよかったね!」
「じゃ並ぼっか」
「うん!何味にする??」
今日、引っかかっていた何かがわかる気がしていた。だが、嫌な方の予感でしかない。この予感が当たらなければ良いのだがな。
「チョコバナナパフェ1つと抹茶白玉あずきクリーム1つお願いします」
「1,800円になります。……2,000円お預かりします。200円のお釣りになります。左にずれてお待ちください」
「20分くらい並んだね」
「さすが人気店だよな」
「うん!おいしそうだもん!!にしても渋いの選んだね」
「甘すぎるのって苦手だからつい癖で、、」
「そうだったんだね。でもここのは甘すぎないって評判だよ」
「そうだったんだね。さすがに情報は見とくべきだったかな」
「まぁ大丈夫でしょ!」
「だな」
「あっちのベンチで食べよう!」
「ちょうど夕日もあって良いな」
「きれい、、」
「おっ!これ美味い!抹茶が濃くて好きだわ」
「えっ、ほんと?ちょっと頂戴!」
「良いよ~」
パクッ、、
「ん~!たしかにおいしい!!」
「だよな!大人って感じの味」
「それそれ!ずっと食べてられる~……今思ったけどこれ、間接キスだね!」
「あっ、確かに……」
この一瞬の出来事で嫌なことを飛ばしてしまっていた。それほどに強烈な体験だったのだ。
「あれ~顔赤いよ!」
「おかしなこと言うからだろ?それに赤くなってない!仮に赤くなっているなら夕日のせいだ」
「笑笑」
「なんだよ、、」
「いや~、可愛い一面もあるんだな~って」
「悪かったなっ」
「全然大丈夫よ!むしろありがとう!!」
「感謝されることしてない!」
「わかんなくて良いよ~。はやく食べて帰ろ?」
「だな!」
その後は特に何事もなく彩音を送り届けることができた。
「今日もありがとね!やっぱり楽しいや」
「俺も楽しかったよ。また明日ここで良い?」
「うん!じゃあおやすみ!」
「おやすみ」
しばらく歩いていると突然後ろから肩をたたかれた。反射で殴り掛かりそうだったがよく見たら朝子だった。
「なんだ、朝子か」
「驚かしたよね。ごめん」
「大丈夫だけどどうかした?」
「最近、彩音さんと一緒にいるよね?」
「うん、、」
「どういう関係なの?」
急な朝子の変化についていけなくなった。しばらく沈黙が続き、
「彼女なんだ」
と一言だけ言った。
「そっか、、彼女か。お幸せにね!」
何とも言い表せないほどの笑顔で帰って行ってしまった。何とも言えない罪悪感が押し寄せてきて胸が苦しくなった。
《こんな気持ち初めてだ、、なんなんだこの感覚!》
今までにこんな気持ちになったことがないので、家に帰ってすぐに布団の中に入って眠ってしまった。
朝、目覚めたら脱力感で体が動かなかった。スマホを見てみると、まだ時間は5時46分。焦る必要はなかったが、何も整理できてなかったので料理する元気がなくなっていた。
「あっ、おはよう!!」
「ん、おはよ」
「どうしたの?いつもより元気ないよ、顔色も悪いし」
「まぁちょっとな」
「話聞くよ?」
「今はまだ話す気になんない、、」
「わかった!彼女だから頼って良いからね!」
そう言って、すぐにクラスに入っていった。下駄箱に着いたとき、朝子と鉢合わせてしまったが俺がそこに存在しないように友達と話して行った。俺の友達の陽輔に聞くことにした
「陽介!なにか、朝子から聞いてない?」
「いや~特に何も聞いてないな」
「そっか…」
「なんかあったのか?」
「まぁそんなとこ…今はあんま話したくない。ごめん」
「全然かまわないよ、話したくなったら聞かせろよ」
「うん。ありがとう」
陽輔は無理に聞いてこないので一緒にいて楽なのだ。ただ幼馴染の陽輔にも話してないってなるととても不思議だ。抱え込んでいるのか、女子の中でしか話してないのか。
朝のホームルームの時、先生が珍しく遅れてきた。
「ごめんごめん。いないやつだけ言ってって」
「今日全員居まーす!」
みんなの口がそろった。このクラスの一体感は良いものだ。
「全員いるし、このクラスの雰囲気ならすぐに仲良くなれるだろう。」
「えっ、、転校生?」
一気にクラスが騒がしくなった。
「転校生紹介するから静かにな」
ガラガラ…
「こんにちは、大阪から来ました颯吾ですねん。よろしゅう!」
「関西人がきたー!!」
みんな嬉しそうに盛り上がった。
「じゃあ席は、、寿一の前!」
「えっ、は、、はい」
戸惑ってしまった。が関西人と話すのが初めてだったから、良かったのかもなとも思えてくる。
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