第3話

動物園からの帰りにクラスの女子から告白された日から数日がたったが、朝起きてご飯を食べ、準備して学校に行き勉強する。放課後に商店街で八百屋によっておっちゃんにサービスしてもらい、精肉店で鶏肉や豚肉を買って帰る。そんないつもと変わらない1日を過ごしたのが数日たった。そんなある日、学校で1人でお昼を食べて帰ってきたときに、机の上に1枚の紙があった。それは前にも同じように机に置いてあったものと似ている。字の感じやシチュエーションがよく似ている。開いてみると


《放課後、話したいことがある》


とだけ書いてあった。だが今回は誰が出したかは見当がつくが、場所の指定がされていない。まだお昼休みの時間はあるから直接聞いてみた。


「今良い?」


「…なに?」


「この紙置いたの君だろ?」


「だとしたらなに?」


動物園からの帰りとは違って、高圧的だ。あんまり気にせず話を進める。


「どこに行けば良いの?場所がわからないんだよね」


「ごめん、忘れてた。教室で待ってて」


予鈴が鳴った。


みんな一斉に席についた。しばらくして先生が入ってきた。




残り2時間終わればと思ってた。




5時間目は何事も無くいつも通り楽しい授業だったが、6時間目の始まる直前、クラス内で喧嘩が起きたそうだ。俺は先生にみんなのノートを集めてもって来るように呼ばれたので、何がどうなったのかはわからない。


「なぁ、陽輔。何があったの?」


「俺も直接は見てないんだけど聞いた話によると、壁に立てかけてあったバドミントンのラケットにつまづいて、折ってしまったんだと」


「まぁキレてる理由もわかんなくはないって感じか、、」


「だよな~、折った本人いわく不注意だったんだと。」


「でもあのバド部の人、有名人だったよね?」


「あぁ、全国優勝2連覇してる。今それに対峙してるのが、柔道部全国大会個人で優勝3度もやってる。この喧嘩は恐ろしいことになるな。」


こんなに派手にやってる喧嘩だ。やじ馬が多くなってきている。クラスのやつ、うわさを聞きつけてきた他クラスのやつ。お互い熱くなりすぎて取っ組み合いになっているし、周りが見えてない。まるで漫画とかに出てくる地下闘技場にいるみたいな気分になっている。


「あっ!いたいた、、はぁはぁ、あの喧嘩止めてよ。寿一くんしか止められないって」


「朝子それはないって、こいつはもう足洗ったって言ってんだぞ!!」


「でも、どうするのよこれ!今先生呼びに行ってるらしいけど、、」


「なら、先生たちに任せようよ。」


「えっ、、」


「もし仮に俺が入っていったとして、事が大きくなるのは間違いないだろう。そこで先生が来たらもっと最悪だ。俺まで反省しなくちゃいけない。」


「そうだけど、、このまま見てるだけって…」


「正義感があるのは良いことだが、その正義感が誰かもしくは自分が危険な目にあうことも忘れないで!今回のように関係のない人が割って入ったらより荒れるだろうね」


「わかった、、」


「今まで俺は朝子の正義感に助けられたけどな笑」


「幼馴染でお母さんたちから任されてたの!」


「そうだったな、感謝してる。けどこれからはそれが仇になることがあるってことだよな寿一」


「そういうことだ」


6時間目の予鈴がなった。誰も聞こえておらず、おかしいと思ったほかのクラスの担当の先生が来た、周りにいた女子が事情を説明する。先生は1人の生徒に対して2くらいで連行していった。俺たちのクラスの最後の授業が担任の授業だったので、先生は対応に追われ6時間目は自習となった。そんな感じで1日の授業が終わり、帰りのホームルームが始まった。先生は何とか来ていたって感じで、すぐに解散できた。俺は呼び出されているため、教室の掃除を手伝い時間をつぶしていた。




掃除が終わり10分くらいで彩音がクラスに戻ってきた。


「本当に待っててくれたんだ」


「そりゃぁな、気になるし」


「、、あの時の答えが聞きたかった」


「あの時?」


「動物園の帰りに言ったこと」


「あぁ、あれね。考えてもわかんなかったから、付き合っても良いよ」


「本当に?!」


「うん。初めてだからどうしたら良いかわからないけど、よろしくな」


「こちらこそ、無理言って受理してくれてありがとう。よろしく」


まさか俺が誰かと付き合うとか思ってもいなかったから、不思議な感覚だ。


「帰る方面どっち?」


「駅のほう」


「方向的には同じだから一緒に帰るか?」


「うん!」




「お昼の時とかごめんね、、」


「何のこと?」


「冷たい態度だったと思うから、、」


「別に気にしてないよ。緊張でもしてたの?」


「うん。でも今こうやって話してみると、楽しくて、知識あるから話してて楽しい!」


「そっか。でも女子との話題ってまだ何話せばよいかわからないんだよな」


「、、自慢話じゃなければ良いと思うよ。」


「自慢することないと思ってるから大丈夫かな?笑」




「もう家についちゃった。」


「ここなのか、俺の家とあんまり離れてないな」


「でも、すぐそこの隣町はある学校のせいで治安が悪いらしくて、怖いんだよね、、」


「なんかあったら呼んでな!助けに行くから」


「うん!でも家族との時間も大切にね」


「、、そうだな。また明日。迎えに来ようか?」


「良いの?なら一緒に登校したい!」


「じゃあ、7時40分くらいに来るわ」


「わかった!今日はありがとうね。楽しかった」


「俺も楽しかった。また明日」


そう言って別れたが、ずっと引っかかってることがある。

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