Ep-6 雨上がりの退屈
鳥類魔物のさえずりと大きな滝の激しい音が聞こえる。そして木の葉についた雨粒が落下し顔にあたった。
「冷たッ」
目を開けて見ると昨日と同じ風景が映る。雨はもう止んでいるようだ。今は……昼過ぎくらいかな?この森は光が通りづらいから本当にわかりにくい。とりあえず起きてみようと体に力を入れる。……が思うように体が起きれない。だがそれも当然である。昨夜の死闘の後だ、傷も治りきっていない……針も3本刺さったまんまだ。ただ止血はしているようだ。良かった……失血死にはならなかったようだ。でも頭はクラクラしたままなので血は足りてないみたいだ。今すぐ針でも抜いたら今度そ心臓が止まることになる。
「ウッ!!」
そんな風に身体のことを思っていたからか急に激痛が体を走った。昨日痛みを我慢してきたツケが今になって来たようだ、でも我慢しなければ死んでいたかもしれない。こればかりはしょうがないと受け入れるしかなかった。右肩の針が仰向けの邪魔にならない位置に刺さっていたのは不幸中の幸いか。いやこの痛みは全部あのディパイロのせいだ。
「次会ったら絶対に負けるもんか」
そんなふうに新しい目標ができた。それにしても暇だな〜目に映るのは水のように澄んだ青色の空を囲む木の葉っぱ。体は動かないし、痛みを忘れるような何かをしたい……そうだ!そういえば昨日の戦闘で得た情報を確認したかったんだ。まず一つはあの謎の記憶だ。おそらく記憶を失う前に聞いた何かだというのは推測できるが何もわからない。途切れ途切れでしか聞こえなかったからね。切羽詰まった状況だったから何言ってたかも忘れちゃった。でも聞いててなんか勇気出てきた!っていうか生きようって思えたんだよね。実際あれのおかげで崖から落ちずに済んだしスキルの覚醒にも繋がったんだよね。じゃあ次にスキルのことだけど「
「あ!万能ならきっとこの状況だって」
スキルを使いステータスを上げてボロボロの体を起こせばいいじゃん。やっぱり僕!冴えてる……。なんて自分を褒めていたのだが高すぎる壁が僕の前に立ち上がる。なんとスキルの使い方がわからなかった……。これでは自分が作った作戦が台無しで早いか。もしかしてスキルを使えないじゃなくて無くした!?心臓をバクバクさせながら動く左手でステータステーブルを起動させる。
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リゲロン(Lv3) 17歳
種族 : 人族 筋力・・・2
職業 : 混技戦士 器用・・・1 グ
□ スキル 反応・・・1 ラ
□ 状態異常 魔力・・・1 フ
MP ・・・44/55 魔防・・・2
タイプ・・・接近格闘 知力・・・1
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真っ先にスキル欄を開く。ふぅーースキルを見たが「|集める夢」はしっかり存在していた……あっでも……
「
あったはずもう一つのスキル「紫薬族第四魔法★」が無くなっていた。あんな体験して取ったスキルだよ!?そんなすぐにお別れなんて寂しいじゃん!それから数分間仰向けになりながら念仏のように「紫薬族第四魔法★」君との(存在しない)思い出の数々を呟いていた。数分後、やっと冷静になった僕は理由を探るべく「集める夢」の詳細を見ることにした。
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◯「
···このスキルには3つの効果を発動することができる。
①「覚える」···このスキルの所有者には「
②「変換する」···特殊系統を除くスキル、魔法を纏うことができ、纏ったスキル、魔法の効果を消す代わりにスキルの所有者の全ステータスへ等しく変換される。
③「繋げる」···このスキルの所有者が魔法、技、スキルが生物に当たるたびにコンボカウンターをカウントしていく。「攻撃+前攻撃時のダメージ×0.1(小数点切り捨て)」の計算で加算されていく。ただし3秒以内にヒットしなければコンボカウンターはリセットされる。コンボカウンターが2以降で特殊技が開放される。特殊技はコンボカウンターの回数によって変化するし②の効果の一部を消しスキル、魔法の効果を放つ事ができる。
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なるほど…意味がわからない。頭がショートして煙が出るのがわかる。まぁようするに①はスキルがもらえて②は強くなって③も強くなるってことよね!加算って書いてあるし……。だとすると①で覚えたスキルだからなくなっちゃったってことだよね?戦闘時はもっと理解できたのに今は全然頭が回ってくれないーー!
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