Ep4-生きるための戦い

「お前の運命は決まってんだよ!くたばりな!」

男が最後の一撃だと言わんばかりの速さで1本の針が飛ぶ。ただ僕を捕らえることは出来なかった。

キンッ!

「この感覚……懐かしい……」

甲高い金属音がなった後、地面に1本の針が転がっていた。そう、僕の左腕が飛んできた針薙ぎ払ったのだ。

「さっきまで逃げることしかできてなかったろ!? まぐれじゃねぇ!見えてたな!」

心臓の鼓動がより聞こえる。心臓から何か熱いものが左腕へ直に流れてるのを感じた。僕にも分からない。でも昔もこんなことをやった気がする。左腕から何かが迸ってるのが分かるんだ。紫色の何かを。

「Lv1!オール1だったはずのステータスが全て50も上がってるやがる!状態異常が盛り盛りにも関わらずよぉ?チッ……何度打っても無駄か……接近型を相手にするのはリスキーだが俺も急いでんだ!なら……短期決戦としゃれこもうぜ!」

突如スタートを切った男が見せたのは風ではないかと言える程のスピード。僕の状態は右肩は使えず踏み込みも出来る足じゃない。それでも僕は…「生きたい!」、だから叫ぶ!

「はあああああああああああああ! 」

針と拳が交わった。男が針の両手持ちに対して僕は拳で1本だ。攻撃の手数が段違いで違う。僕の体からは血飛沫が舞っていく。だからって負けていい口実にはなったりしない。1本、1本の打突で相手を削り落とすために針に向かって力いっぱい叩き込む。

パキッ!

「チッーー」

飛ばした拳が針に衝突し僕の拳を貫通する前に針が折れた。そう、あの憎き針を折ったんだ。針自体の攻撃力は高くても耐久性は低い!ならば続けて!

「はぁぁぁぁぁ! 」

もう片方はさっきよりも更に簡単に折れた。なら武器を持っていない今戦いを終わらせる拳を飛ばすのみ……のハズだった。もう使い物にならない針しかを持っていなかったはずの男は針を手から離すと同時、手から出た紫が棒状になり針の形を作っていく。折った後の隙だらけの体勢から直すよりも先に針で腹を刺されてしまった。

ゲハッ!

口から赤い何かが出たと思えば鉄臭く血の味が口の中に広がった。あまりにも深く臓器を攻撃され血が逆流し吐血していたのだ。吐いている間にも死へと誘う攻撃が続く。このままでは不利だ。1度大きく距離をとるため命を懸けたバックステップをする。だがそれすらも見越していた男の元から投げられた針。当然避けることもできず必死に体を全力で曲げてみるも命を狩りにきた二本目が刺していたのは既に動かすことのできない右肩だった。

「ーーーーーーー!」

あまりの痛さに言葉も出ない。傷だらけの体に熱した水をかけられるかのような地獄を経験する。だが刺されながらも距離を取る。10メートル程離れただろうか。何故針を折ったのにノータイムで針を手に持っていたのか。男の服から取り出すのにももう少し時間を必要とするはずだ。何かある。そう疑いの眼差しで男を見つめていた。そして満身創痍である僕に目掛けて男はこう話してきた。

「結局……ステータスも劣り……スキルも劣り……接近戦でも劣る……どうやって勝つんだ?このザマでよぉ! あぁぁせっかくだしお前の一番の疑問に答えてやるよ……何で針が手から出たかって?俺は紫薬族オーベルジーヌだから自分で針を作れんだよ……Q&Aも終わり……さぁこれでとうとう長い夜も終わりだな…………このディパイロが人族に引導を渡す!」

あの男ディパイロという名前なのか。ディパイロの言う通り。今のままでは僕は殺されるのは明確だ。蓄積したダメージが大きすぎて意識が朦朧としてきた。もう目を開けてるのもやっとだ。でも諦めたりはしない。あの記憶が生きるということを教えてくれたから。

「まだ……何かあるはずだ!」

僕は今までの記憶を思い出す。自分が目覚めてからここに至るまで。そうして思い出す。目覚めて直後に見たあれを……

「ステータステーブル起動!」

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リゲロン(Lv1) 17歳 

種族 : 人族       筋力・・・50

職業 : 混技戦士     器用・・・50    グ

□ スキル        反応・・・50    ラ

□ 状態異常       魔力・・・50    フ

MP ・・・29/55      魔防・・・50

タイプ・・・接近格闘   知力・・・50

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もう既にディパイロがまた突撃を開始している。この短い数秒でステータステーブルから勝利への答えを探さなければ!まず1番目に入ってきたのは職業混技戦士……技を混ぜることができる職業なのか?次に状態異常を押すと見たことのない状態異常がたくさんあったのだ。「錯乱」「衰弱」「貧血」「迷い」「内臓損傷」「アガラバ神経毒」「セタサミ神経毒」「テラテヌ麻痺毒」「学習癖」いつの間にこんな毒を持っていたのか。いや、持たされた?それにこの名前には覚えがある。これらの名前はよくそこらに咲いている毒の植物の名前だ。でも見たことないのにそこらに咲いてるを何故知っている?そんな植物はこの森で見たことない。まぁそれを考えるのはあとだ。この3種の毒……そしてディパイロが貫通させた針の数は3本。ということは……ディパイロの針には毒系統の何かが?あと「学習癖」って何?他を見てみよう。元々1だったはずのステータスが今は50前後になっている。低かったステータスにこれほどの強化はありがたいの一言では済まなせられないくらい感動を隠せないがそれでもディパイロはステータスで劣っているといっていた。じゃあもっとステータスが高い?そしてスキルを見てみると知らないスキルが増えていた。「紫薬族第四魔法ベルポイズン」「|集める夢《レーヴェロンテモース」…………。

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