第4話 [ 東 京 ] かなしい坂

 東京・府中市に『かなしい坂』という坂があるという情報があり、行ってみた。多磨霊園駅から徒歩5分という情報を頼りに行ってみると、地図が出鱈目で坂が見つからなかった。


地図だと

「この道が坂のハズなのに坂じゃない!」

「案内板があるハズなのに無い」

「おかしい!」と思って、ネット検索してみると正しい情報があったので、そちらの地図を確認しながら歩く。


『かなしい坂』見つかりました。

 一方通行の標識と通学路と書かれた幟旗のある住宅街にある曲線を描く坂道。


 道の隅っこに『かなしい坂』を示す木の標識と説明文の書いてある銀色のプレートがあり、木の標識は古く、説明プレートはキズだらけ。



 この坂の由来は、玉川上水の工事と係わりあるといわれています。玉川上水は、はじめ府中の八幡下やはたしたから掘り起こし、滝神社の上から東方へ向かい多磨霊園駅の所を経て神代あたりまで掘削して導水しましたが、この坂あたりで地中に浸透してしまったといわれます。責任を問われて処刑された役人が「かなしい」と嘆いたことからこの名があるといわれます。

 この時の堀は、今も「むだ堀」「新堀」「空堀」の名で残っています。



 みたいな説明文であった。



 玉川上水の工事に成功した玉川兄弟は銅像になって業績は称えられているが、失敗した責任者の言葉は坂道の名前として残る。他人事としては面白いなと思った。



 坂道の下り坂の突き当りに、東郷寺というお寺がある。このお寺を目印に歩いてくれば道に迷わなかったのにな。


 現場を見て写真も撮ったので駅まで戻った。


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