転生したら11番目の勇者だった~先に転生した10人のチート級の悪徳勇者たちに全て奪われたので歴代最強の魔王娘や仲間たちと共に世界を取り戻す~
【10番目の悪徳勇者編<第3章:1/2>♡大妖精フェイの視点♡】「この大妖精……ただ者じゃない……」キレるフェイ。これが史上最強の大妖精の実力だ!
【10番目の悪徳勇者編<第3章:1/2>♡大妖精フェイの視点♡】「この大妖精……ただ者じゃない……」キレるフェイ。これが史上最強の大妖精の実力だ!
魔族連盟に所属する妖精族。
自然と共存し、調和を重んじる。
妖精たちは魔族が求める生活資源の一部を提供することで加盟入りを果たした。
中でもグリムイバラは妖精族の中心地として多くの妖精たちが住む森だ。
そんな妖精たちの住処に近づく者たちがいた。
「あなたは?」
「十塚剡弐だ。10番目の勇者と言えばわかるだろ? ソルネール王国から保護を任されてな」
悪徳勇者との対立からもうすぐ11年が経とうとしている。
彼らは別世界から来た住人たちだ。
異世界があること自体信じられなかった。
しかし彼らの持ち込んだ文化や技術のおかげで人間たちの住む国々では産業革命が起きていると聞く。
噂では魔法は存在せず、科学が支配する世界なのだとか。
世界政府と同盟関係になったとはいえ、妖精たちの大半は人間たちと上手く付き合えるかどうか不安だった。
「女王に会わせてもらおうか?」
「私が対応いたします」
「……お前は?」
「フェイです」
「どこかで聞いたことがあると思ったら、魔王軍の」
「ご存じでしたか」
「そりゃアイツが……いや、何でもねぇ」
「?」
「世間知らずの魔王娘から命令されて故郷へ戻ってきたのか?」
「帰郷ですよ。しばらく羽を休めようと思いまして」
「魔王軍のところで働くのはキツそうだな」
「昔はそうでしたが、ミコナ様の代から働き改革を徹底しました。ミコナ様の寛大なお心とお気遣いにより長期休暇を取らせていただいたのです。それにミコナ様は世間知らずではありません。偉大なる魔王族の末裔です。侮辱するのは止めていただきたい」
「こりゃ失礼したぜ。それで、女王に会わせてくれないのは何か理由があるのか?」
「まだあなたたちのことが信頼できないからです」
先代の女王が暗殺に遭い、死亡。
それ以来、女王の身の安全が最優先になった。
「ソルネール王国からそのような話はありませんでしたが」
「……伝達が遅かったんだろ。俺様と共に世界を平和にしようぜ」
剡弐の後ろにいるのは山賊のようだ。
しかもあの巨体は知っている。
山賊最強の男……カシラ。
人間のみならず、魔族相手にも容赦しない犯罪集団のリーダー。
なぜ勇者と山賊が一緒にいるのだろう?
とりあえず様子を見ることにした。
「え?」
フェイは衝撃的な光景を目の当たりにする。
「何を……してるんですか?」
「決まってんだろ。森林伐採だ」
グリムイバラは資源だけではなく魔力が豊富に眠っており、相当な価値がある。
そのことを知っていたのか、剡弐は山賊たちを率いて次々と木を
「先祖の誇りを……」
フェイは剡弐を睨み付ける。
「やはり悪徳勇者だったか!」
「つい最近までは世界を救うはずの勇者様だったんだぜ」
「なんだと?」
「だが現実は残酷だ。勇者なんてマジで金にならねぇ。やりがい搾取にもほどがあんだろ」
「だからと言って……なぜ1番目に従う必要があるんだ!」
「ダークパワー」
「え?」
「あーもうどうでもいい。お前マジでしつけぇな。勇者の事情ってんのがあんだよ。おとなしく言うことを聞け」
妖精たちは抗った。
いくら魔族連盟の中で最弱の種族と揶揄されようとも、自分たちの故郷を支配されてはならない。
命を賭けて森の保護へ努めた。
しかし剡弐たちの前で妖精たちは歯が立たなかった。
その中でも山賊たちは厄介だった。
奴らは剡弐の指示に従いつつも、罪のない妖精たちを皆殺しにする。
泣き叫ぶ女子どもたちでさえ容赦しない。
まさに極悪非道。
女王は安全な場所へ避難させることに成功したが、14日も続く戦いに妖精たちは疲弊しきっていた。
これ以上、家族や仲間を傷つけるわけにはいかない。
「フェイ様、駄目です! あなた一人で戦わせるわけには」
「女王にお伝えください。『グリムイバラは勇者ではなく私が守ります』と」
グリムイバラは壊滅寸前にまで追い込まれるも、フェイは山賊たちを次から次へと返り討ちにしていく。
「な、なんだこの大妖精……つ、つえぇ」
「早くカシラを……ギャアアアア」
緑色の戦闘ドレスは赤く染まる。
山賊たちが逃げているところを追う。
すると剡弐の仲間であるカルラとエリクと衝突した。
「逃がさないわよぉ」
「捕虜させてもらう」
「……やれるものならやってみろ!」
逆鱗に触れたフェイの周りを緑色のオーラが囲む。
自身を中心に強大な魔力が発生し、その影響で地面が大きく揺れ始める。
「じ、地震!?」
「マズい……カルラ、すぐによけ……」
「
地面から巨大な草が無数に生える。
その棘はとても鋭く、触れただけで皮膚を切り裂く。
足場が無いため避けるのは不可能。
「あのエリクという男……ただの魔術師ではなさそうね」
彼らの周囲を囲む黒いドーム。
アレが棘の侵入を拒んでいるらしい。
茅千里を防ぐとは中々の実力者だ。
「仕方ない」
追撃をするため、フェイは右手を挙げて「吹き飛べ」ともう一つの呪文を唱える。
「何この子……本当に妖精?」
「ただの大妖精ではない。この力……まさか!」
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