転生したら11番目の勇者だった~先に転生した10人のチート級の悪徳勇者たちに全て奪われたので歴代最強の魔王娘や仲間たちと共に世界を取り戻す~
【10番目の悪徳勇者編<第2章:5/7>■零和充一の視点■】「なんだこの能力は……?」剡弐ではない何かが充一を襲い、ピンチに……!
【10番目の悪徳勇者編<第2章:5/7>■零和充一の視点■】「なんだこの能力は……?」剡弐ではない何かが充一を襲い、ピンチに……!
ミコナの赤い瞳からかすかにオーラが漏れ出していた。
バチバチと赤紫色の稲妻が彼女の周囲を取り囲む。
「ちょ、どうするの?」
「俺様はともかくお前ら二人でどこまでいける?」
「3人で戦ってもまず勝ち目はない。俺を犠牲にすれば隙ができるはずだ」
「死んだら駄目でしょ」
「だがそうでもしないと魔王娘を倒すことはできない。これでも歴代最強クラスと称される」
「フン。だからこそやりがいがあんだよ」
「それもそうねぇ。あら? 充一くんがずっと剡弐を見つめているわよ」
「あ? なんかしようとしたのか?」
俺が動けないと気づいたのか、ヒルダとミコナが剡弐の左右を挟み撃ちするような形で剣と槍を向けている。
ミコナの武器は槍なのか?
「
「歴代の魔王に受け継がれたんですよね」
高級感のある柄から伸びる赤紫色をした
穂の中央部に赤色の月型の魔石らしきモノがはめられており、雷の形状を模したカッコイイ先端をしていた。
俺と同様、非戦闘時は持たないことからいつでも召喚できるようだ。
「さすがに魔王娘なだけはあるな。俺様よりも強い武器を使ってる時点で不利か」
俺の肩から剡弐の手が離れた。
え? 動ける?
「噂じゃ小国一つ余裕で滅ぼせるらしいな。そんな化け物が脅しだけで済ませるつもりか?」
「何度も言わせないで。人間の皆様と友好関係を築き上げたいの。みんなで助け合えば世界はきっと良くなるはず」
剡弐は鋭い目つきになり、「仲良しごっこで世界は成り立ってねぇんだよ。社会を舐めんなコラ」とドスの利いた声で言い放った。
「社会を舐めてるのはあなたでしょ。私のほうがマシだと思ってるけど」
「その考えが甘いって言ってんだよ。世の中は残酷だ。だから他人を蹴落として生きるのが正しい」
「クズね」
「何とでもいえ。東区最大都市『イーストマルシェタウン』は俺様が占拠する。生きたければ俺様の奴隷になれ! そして俺様のために尽くせ! そうすれば高い報酬と少しの自由を与えてやるよ!」
周りは無言だった。
誰も逆らおうとしない。
冒険者なのだからそれなりに実力がある人もいるはず。
「闘技場が原因なんですよ」
「闘技場?」
「十塚剡弐は闘技場で頂点に君臨しました。勇者であるはずの人間がギャンブルや人殺しを楽しむようになったんです」
「勇者失格だろ!」
「当然
俺は剡弐を睨み付ける。
「山賊たちを使ってイーストマルシェタウン周辺を襲わせようとしたのは?」
「俺様の拠点をさらに拡大するためだ。闘技場だけ支配しても金にならねぇからな」
「そんなこと俺が許すと思っているのか?」
「ザコが何言ってんだ? お前が守れるわけねぇだろ」
「なに!」
「世界を支配するのは悪徳勇者だ。お前らのやってることは無駄なんだよ」
今だ!
俺は死神モードになった。
「あ? なんだそりゃ」
一度その姿になると詠唱破棄で変身や技を発動することができる。
すぐに「
「おせぇよお前の動き」
ドガッ!!!!!
「!?」
突然、視界が真っ暗になる。
「充一くん!」
「先輩!」
後頭部に鋭い痛みが走り、そのまま床に叩きつけられてしまった。
勢いが強すぎたため床が破損する。
「く……」
顔面を強打した。
ツーンとした痛みが鼻に伝わり、鼻の穴から温かい鮮血が溢れ出る。
うつ伏せのまま身動きが取れなくなった。
「なにが……起きてる……?」
別な何かが俺を殴った?
「その技、見た感じ即死技だろ? いくらチート能力があってもそれより速く攻撃すればいいだけの話だ」
どうやら強烈なダメージのせいで死神モードが解けてしまったようだ。
「おかげでコイツも楽しくて玩具みたいに遊んでいるぜ。ったく人の命をなんだと思ってんだよ」
コイツ……?
剡弐の能力か?
一時的に相手の動きを封じ込めるのか?
「また動ける……」
俺はゆっくりと立ち上がる。
鼻血を手の甲で拭い取った。
「そうだったのね」
よく見るとミコナの目の色に変化があった。
ミコナの目には何かが見えてるのか?
だったら俺もすぐに攻撃を再開するしかない!
「充一くん気をつけて! 十塚剡弐の能力は……」
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