【10番目の悪徳勇者編<第1章:1/1>♡魔王娘ミコナの視点♡】「あ、あなたが……【魔王娘は君とイチャイチャしたい】の作者様!?」

 ソルネール王国東区に到着した。

 東門に警備兵がいるので事情を説明。

 すると不審そうな顔で彼は私を見つめてきた。


「ヒルダ副団長のお知り合いなのですか?」

「はい」


 魔王であることは伏せている。

 大事おおごとにしたくなかったからだ。


「入国するためには本人からの推薦状が必要なんです」

「推薦状?」

「ソルネール王国の住民ではないからです。それに先日、山賊の襲撃がありまして……」

「襲撃?」

「ですがご安心を。ヒルダ副団長と11番目の勇者と名乗る青年、あと魔族の少女が山賊を殲滅させました」


 私はその言葉を聞き逃さなかった。


「会わせてもらえませんか!」

「え?」


 11番目の勇者様に会いたい。

 どんな人なのかこの目で確かめないと……。


「落ち着いてください。身分を証明するものを提示していただかないと――あれ?」


 フェイは「眠ってください」と告げていた。

 大妖精が得意な催眠魔術。

 翠色すいしょくに輝く瞳を見つめるだけで眠りへといざなう。


「あなたたちは……一体……?」


 門番は壁に背中をつけたままゆっくりと地面に尻餅をついた。

 当分の間は眠りから覚めることはないだろう。


「ごめんなさい。このままだとらちかないと思ったので」


 本当は話し合いで解決したかったのだが仕方ないか。


「冒険者協会に行ってヒルダに来てもらうしかないわ。ソルネール騎士団東支部だとさすがに厳しいだろうし」


 しばらく大通りを進んでいくと、大きな建物が視界に飛び込んだ。


「ここね」


 冒険者協会。

 壮麗そうれいで重厚感がある外観。

 1階は受付だが、酒場と武器屋、道具屋、洋服屋、レストラン、銀行が併設へいせつしているようだ。

 時刻は10時。

 多くの冒険者たちであふれかえっていた。


「変な目で見られてはいないね」

「冒険者たちは多様性を重んじるので助かります」


 緑色の髪は大妖精やエルフが多い。

 特にフェイは尖った耳をしているので一目見ただけで亜人だと判断できる。

 さらに緑をベースにした戦闘ドレスなので目立つ。


「ヒルダ? フレちゃま?」


 隣接するレストランに3人の男女がいた。

 あの男性は……まさか!


「すみません! ちょっとイイですか?」

「え?」


 突然、背後から少女らしいあどげなさが残る声が聞こえてきた。

 振り向くとツインテールをした魔法使いらしき女の子がいる。


「ミコナ様ですか?」

「そ、そうですけど……」

「やはり私の目には狂いが無かった! ソルネール王国一の神絵師として……いえ、ファン一号にして推しのあなたに会いたかった!」

「推し?」

「そうです! あ、申し遅れました! 私はブリジット・ローレンスと言います! ペンネームは【B.Lビリィ】です」

「ビリィ先生!?」


 まさかこの子が【魔王娘は君とイチャイチャしたい】を描いた作者様!?

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