転生したら11番目の勇者だった~先に転生した10人のチート級の悪徳勇者たちに全て奪われたので歴代最強の魔王娘や仲間たちと共に世界を取り戻す~
【10番目の悪徳勇者編<第1章:6/6>■零和充一の視点■】「二刀流の前じゃ最強と名高いあんたも終わりだよ」
【10番目の悪徳勇者編<第1章:6/6>■零和充一の視点■】「二刀流の前じゃ最強と名高いあんたも終わりだよ」
「私が転生させたんだ。死神の力をすでに与えているからな」
満足そうに微笑むフレちゃま。
「いいか? お前は二刀流だが、それぞれの刀には固有のスキルを持っている」
黒刀。別名【
魔力(人間以外の全種族の力)を用いて戦う武器。
白刀。別名【
神力(神の加護を受けた元英雄の力)を用いて戦う武器。
あらゆる自分になれるってことか?
まるでメタバースだな。
いわゆる身体的特徴から解放された新しい自分のことだ。
「それぞれの刀について簡単に補足説明をする。まず白神についてだが、所有者のレベルに応じて能力が増えていく」
「なるほど」
「次に黒魔についてだが、味方だけではなく【敵の能力】をもらうことで能力を発揮する」
「敵の能力?」
「死神の力も本来は敵が持っていた力だ。敵の憎しみが愛に切り替わった時、和解の印として力を与えてくれる」
「敵なのに?」
「そうだが?」
「なんか複雑な能力だな。手っ取り早く敵を倒したいんだけど。炎や氷を使ってド派手にさ」
「世界を救うはずの勇者が快楽主義で敵を殺したら悪徳勇者と変わらないだろ。みんなに認められてこそ真の勇者だ。敵味方問わず愛されなければならない」
「それキツくない?」
「ならば勇者を辞めるか?」
「バカ言うな。俺は世界を救うんだよ」
「だったら敵に憎しみを向けるな。愛の力で敵の憎しみを断ち切れ」
真の勇者が戦う理由がソレか。
後先考えずに敵を倒したほうがスッキリするけど、勇者としてそこはきちんと正義を貫くしかないようだ。
エリシア王女とルナリア王女も言ってたし。
「怯むなテメェら! さっさとやっちまえ!」
山賊たちは雄叫びを上げた。
「技を唱えろ!」
大鎌を斜め下に向けて大きく振りかぶった。
「
技名を唱えると同時に大鎌に異変が起きた。
鎌そのものが巨大化し、30人は超えるであろう山賊たちの首をまとめて切断したのだ。
「なに……?」
斬った首は全て大鎌の影に呑み込まれる。
鎌を振り終える頃には首無し遺体の山ができあがった。
「ど、どうなってんだ……」
「【処刑執行】は敵の首を確実に斬り落とす技だ」
「はあ!?」
ちなみに大鎌の影は三途の川へつながっているらしい。
技を唱え終えると大鎌は元の大きさへ戻る。
これは便利だ。
「痛みを与えずに倒す。あんたらのやっていることはクズだが、せめての情けだ。今すぐ楽にしてやるよ」
「調子に乗ってんじゃねぇぞガキが!」
斧を振り回してきたので俺は華麗に避ける。
「こんなの当たらないって」
「充一さん! 後ろ!」
「え?」
その瞬間、脇腹に激痛が走った。
よく見ると脇腹に斧が突き刺さっていたのだ。
「なに……?」
カシラの手には鎖が握られている。
「おらよ!」
鎖につながった斧は俺の脇腹から引き抜かれた。
「ぐ……」
傷口から大量の血が流れ出す。
体が崩れ落ちるほどの鋭い痛みが続いた。
「なんで……当たったんだ……?」
顔をしかめたまま地面に手を置いて深く呼吸をする。
「テメェは戦い方っていうのを知らねぇみてぇだな」
「な……に……?」
「敵の武器くらい知っておけや」
脇腹を右手で押さえるも真っ赤に染まる。
「
そっか。だからヒルダの肩当てが破壊されたんだ。
「今すぐ死神モードを解け!」
「なんで?」
「死神モードは魔力の消耗が激しい。状況に応じて白神と黒魔を使い分けるんだ」
ふと背後に浮かぶ天秤を見る。
黒い壺の中に入っているはずの金貨が一気に減っていた。
軽くなった分、懐中時計を乗せた秤のほうが下がっており、アンバランスだった。
どうやら魔力=金貨の数のようだ。
「金貨が完全に無くなれば魔力は使えなくなる。覚えておけ」
俺はすぐに死神モードを解いて元の姿へ戻る。
「次は白神を使え」
痛みのせいで気を失いそうになるも、居合い斬りの達人のように白神を構える。
その瞬間、自分の体に何者かが乗り移った感覚があった。
「
白神を素早く抜いて
それと同時に白神は白く輝く。
ジリジリと焼け付く音と共に
「なに……?」
「白神は【斬った相手や武器、能力の時間軸をコントロールすることができる】」
神力=時間量。
天秤に乗る懐中時計を見ると先ほどⅫだったのがⅠへと長針が進む。
これが一周すると神力は無くなるようだ。
「光速で経年劣化した
すぐさまカシラの肺から腹部にめがけて斬り下ろす。
「!?」
カシラの肺から血しぶきが飛んだ。
ただしこれだけではまだ効果は発動しない。
人体のみ条件が追加される。
素早く脇差しに白神を収めたまま「
カシラの体に時計のアイコンのような幾何学模様が刻み込まれる。
斬った対象者の時間軸をコントロールすることが可能だ。
「条件は整った」
俺はカシラに向けて右手をかざす。
「命を回せ」
空を掴んでドアノブを回すような仕草で右手を動かした瞬間だった。
カシラの体に刻まれた時計が真っ白に輝き始める。
時計回りに沿って長針が激しく回り続けた。
「な……んだ……?」
人体の細胞が驚異的な速さで死滅する。
土壁が剥がれかのようにカシラの肌がボロボロに崩れ落ちた。
細胞はおろか服ですら抜け殻のようにスカスカとなる。
「まさかこのおれが……こんなガキに……」
死神とは別な形で痛みを与えずして一撃必殺で終わらせるチート技。
それが白神の力である。
カシラが地面に倒れる頃には肉体は粉々に消散した。
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