第17話

入ってきたのは会長様(予定)だった、何だか気が立っている気がする…なんでだろう

調理室の中にズカズカ入ってきた会長様(予定)は先輩との間に入り自分を見下ろす、表情はいつもと変わらないはずなのになんだか恐ろしい雰囲気の彼に思わず肩をすぼめる


会長様(予定)「やはりここに居たか、行くぞ」立てと言わんばかりに捕まれた腕に顔をしかめてしまう


副会長(予定)「マオが痛がっているよ、やめなさい」僕と会長様(予定)の間に入り手首をつかむ


そんな先輩を見て舌打ちをした会長様(予定)


会長様(予定)「こいつは俺が連れてく、お前はついてくるな」先輩を押しのけ僕を再び引っ張りだす


マオ「宇留鷲さん?なんで怒っているんですか?」問いかけに耳を貸さず引っ張られる間に第3調理室を出ていく、去り際にせめて先輩に挨拶をしようと振り返りまた明日っと手を振る、すると会長様(予定)の足並みが早くなるのを必死に合わせる


(足がもつれるよぉ汗)


しばらく歩き予鈴もとっくの昔に鳴った頃、僕たちは教室ではなくガーデンに来ていた


どちらとも話は振らずに静かに歩みを進める、会長様(予定)から感じていた怒りの感情は無くなりただゆっくりと


その頃には今まで強く捕まれていた腕も、力を緩めそれでも離さずつかまれたままになっている


(なんであんなに怒っていたのだろうか、あそこまで乱れるような人じゃないと思っていたけれど)


自問自答していてもしっくり回答が出来るはずもなく、意を決して話しかけようと顔を上げたら突然立ち止まった会長様(予定)の背中にぶつかる


マオ「うぅ” 痛いです…急に立ち止まらないでくださいよ」ぶつけてしまった鼻をさする


すると会長様(予定)はパッと掴んでいた腕を放しこちらに振り返る彼の顔は怒りや悲しみが混じった表情をしていた


会長様(予定)「あいつとは楽しく飯食いやがって…ボソ」えっ?と思わず聞き返してしまうぐらい小さな声で話す 彼「お前は俺と共に過ごすのが生きがいなんじゃないのか?!」今度ははっきりと大きな声で言う


マオ「横暴な!そうですけども‼」


会長様(予定)「ならなぜ俺と昼を共に過ごさない?なぜあいつとこれからも飯を食う約束をする!」





目一杯力拳を握る彼はまるで…


マオ「宇留鷲さん…そんなに…」言葉が詰まり喉からうまく声が出せない
















「僕に友達がいて欲しくないんですか?自分がボッチだからって酷いです泣」手を目の下に置き泣きまねをして見せる


会長様(予定)「ちが…


マオ「大丈夫ですよ今までは僕が付きまとってたから他の人も入る隙が無かったんだと思います」これからは大丈夫ですからと口に出していた言葉はだんだん小さくなる

「教室とか席が隣だから物理的な距離は取れないけど心の距離を取るのは得意ですから」


会長様(予定)「なんだその特技は…はぁそんなのあってたまるか」気が抜けたのかスルスルとしゃがみ込む「お前と話すとほんと疲れる」はぁともう一度ため息をつく


マオ「すみません」僕も会長様(予定)の目線に合わせてしゃがみ込むと

彼はジッと上から下と視線を流しそれから僕の瞳を余りにも長く見めるもので恥ずかしくなり視線を逸らしてしまう

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