ワンルームで僕は人外と楽しく暮らし始めました

城西 雷季/ショウセイライキ

第一章 変な大家族

第1話 我が家に小さな命芽生える

いつぶりだろうか…

"誰か"と共にご飯を食べるのは…


僕の名前は、清宮恵妒(きよみや けいと)。

ごく普通の大学一年であり、今は大学近くのマンションで一人暮らしをしているがここ一週間忙しくて部屋を掃除してなく、足場もないくらい汚かった。

 そんな中、朝食を作る為に卵を割ったら____


コン…パカッ!

(あれ、中身が出てこな…)

チラッ…

「……??」


小さな水龍が産まれました。


 状況が意味不明だ。卵を割ったら小さな龍?が生まれた。全身が青色で角や鉤爪があるが顔は、なんか可愛いかった_____


「変なの買ったかな…」


頭を掻きながら卵と水龍をとりあえずキッチンの机に置いて昨日のレシートを見つめる。しかし、

レシートにはしっかり卵と書いてあった。

溜め息をついてどうするか分からなくなってしまい、混乱していると気付けば龍が目の前から消えていた。


「!!?」


アタフタと周りを見回しても姿がなく、テンパっていたら、今朝コーヒーを入れようとして水しか入れてないカップに龍は入っていた。

ホッとした恵妒は、カップを持ち上げて龍を見つめる。

 その姿はよく見れば綺麗であり、何処か珍しさを感じたのでキッチン前の机を片付けて龍の入ったカップを置いた。


カタッ…

「…どうしたものか」


初めての事なので流石にお手上げになった恵妒は時計を見て、友達に電話する為にスマホを開いた。


プルルルル…!

「どした恵妒?珍しいな。日曜だからてっきり寝てるかと…」

「それがな…」


状況を説明すると友達は笑い転げて、今すぐ行くとだけ伝えて電話を切った。

 少ししてインターホンが鳴り、玄関を開けると

"やる気無い"と書かれた独特のTシャツとジャージの半ズボンを着た、だらしない友達が来ていた。


「おっす!龍が居るってマジか!?」

「ま、上がれよ。ここじゃ丸聞こえだから…」


そして、友人の阿左美玲音(あざみ れお)

が部屋へと来ると「汚い…」と呟きながら机の上に居た龍を見つめては驚きつつ微笑んでいた。


「何だろうな、不思議な気持ちになるな…」

「どしたお前、キモいぞ…」

「そんな顔すんなよ。ほら、こっち見たぞ」


恵妒と玲音の会話に反応したのか、目をパチパチさせて龍が此方に振り向いた。

そして、しばらくスマホを使って色々調べたが何も情報を得る事が出来ず、流石にお手上げだった。


「うっ!肩凝ったかも…」

「お前帰宅部だかんな。今からバスケ部入っても良いんだぞ」

「無理、死ぬ…」


恵妒は昔から運動音痴で、逆に玲音は運動に適した人間だった。

恵妒は、肩慣らしの為にスマホを机に置いて少し体操的なものをしたが、それでも肩は痛いままで仕方なく椅子に腰掛けた。


「どうしたもんかな~何食うかわかんねぇし。あげちゃいけねぇ物もあるだろうし…」

「とりあえず、俺が出前するよ。何か食うか?」

「俺はステーキで!」

「そうか、人の金で食う飯はうめぇってか」

「イエス!」


そして、出前を注文してから恵妒は玲音の力も借りて少し部屋の片付けを行い、出前が届いた頃には部屋はすっかり元通りの広さに戻っていた。


「づがれたァァ!」

「ありがとな、お陰で綺麗になったぜ」

「ったく、お前が掃除してればもっと早く片付いたのによ。あぁ飯届いたし、食べようぜ」

「そうだね」


恵妒は唐揚げ弁当、玲音はステーキ弁当を頼んでいてそれを食べ始めた。弁当でありながら味は濃くしてあり、温かいから更に美味しい。


「あぁ、祝福の一時~」

「お前は人の金だろ…」

「それはそう!」

「全く…」


恵妒は、弁当の味を楽しみつつまだ解決していない問題を必死に考えていた。

そう、龍が何を食べるかだ。

しかし、龍を見てみると目をキラキラと輝かせながら玲音の弁当を見ていた。


(あ、もしかして…)

ツイっ…

「あ、何しやがる!」

「いや、もしかしてだけどコイツ、肉食うのかなって…」

パクっ!

モグモグ……

「「あ、食った」」


ステーキを箸で龍の目の前まで運ぶと喜びながら少しずつ食べていった。全部食べ終わった時にはうとうとしていて、そのまま寝てしまった。


「ありゃま」

「寝ちまったな…」

「可愛い寝顔しやがってよぉ」

「あ、そうだ玲音。こうゆう水槽を買って来てくれないか?金は渡すから」

「めんどくせぇけど、まぁ昼飯奢って貰ったし、行きますぜ~」


龍が寝ている内に、恵妒はスマホでインテリア系の水槽を見せた。嫌がりつつも玲音は承諾して買い物に出掛けて行った。


ー数十分後ー

「ただいま!」

「おぉ、お帰り…何か荷物多くね??」


玲音が帰って来ると明らかに水槽だけじゃなく色々な物を買ってきていた。

袋の中から物を出していく。

恵妒が頼んだ水槽の他に、五色ある砂利や水槽に入れる為の水草、そしてこれは家のオブジェだ。


「こんなに買って来てくれたのか?」

「水槽はお前の金だけど、他全部は俺だ!」

「良いのか?だってお前、金欠だろ…」

「バイトしてるからセーフだよ」

「そうか、じゃあ始めるか」

「応!」

テキパキ……


二人は、すぐに水槽の中身を作っていき、数分後にはもう全て終わり、水を敷いて完成だ。

ぐったりと疲れた二人は部屋の床に転げ寝る。しかし、恵妒は玲音の努力を無駄にしないと力を振り絞って、龍の入ったカップを持ち上げて本棚の上に置いた水槽まで持っていった。


パァァァァ…!

「喜んでいるみたいだな…」

トポン!


そして、喜ぶ龍を水槽にゆっくりと入れるとスイスイを泳ぎ始めて家のオブジェに入って顔だけ出したまま寝てしまった。


「気に入ってくれたか?」

「そうだな。ありがとよ」

「じゃあ、俺はもう帰るわ…」

「おうよ、お疲れさん!」

ガチャ…バタンっ!


玲音が帰って行くのを玄関で見届けてから静かな部屋に戻り時刻を見るともう五時であった。

どうしようかと悩んで恵妒は、冷蔵庫にあったおにぎりを温めて食べた。

そして風呂に入り、パジャマに着替えて、龍に「おやすみ」とだけ伝えて寝室に行こうとしたが、少し寂しかったから水槽を寝室の窓にあるスペースに置いて恵妒はベッドに入って寝ようとした時だった。


ガタッ!

「!?」

(え、何…物音?ベランダか…)

プルプル…


恵妒は、ベッドから出てとりあえず部屋の電気を付けて一人怖がりながら部屋を出てカーテンを開け、勇気を出してリビングの窓を開ける。


「…ゑ?」

「う、ううん…」


窓を開けてベランダを覗くと黒いスカートと赤い線の入ったパーカーを着ていて、黒髪ロングの少女が寝転んでいた。


「え、どうしよ…」

「ち、血ぃ…」

(もしかしてだけど…人じゃない?)


とりあえず、少女を寝室のベッドで寝かせて恵妒はリビングのソファで寝るのだった。











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