第1話 ひょいひょいメット⑤
どちらの攻撃も当たらない、そんな戦いを小一時間続けた結果。
意識が
つまり、――思いっきり
ぐるぐるぐるぐると目が回る。胃から内容物がせり上がり気持ち悪い。吐き気を
大量の
ようやく全てを吐き終わり、すえた匂いが
もろに入った強烈な飛び
その時、とどめを
女は「あっ」と可愛らしい声を上げて、慌てて頭を押さえるが、時すでに遅く、
その時 ―― 風が吹いた。
その風は、全てをかき消す風だった。
汚物の臭気も、激しい痛みも、視界の明滅も、強い疲労も、目的も、思考も、感情も、感覚も、全てが綺麗に吹き飛んだ。
その風の先に、本当のアイツ の姿があった。
恥ずかしさに白い頬を赤く染め、頭を押さえたままの格好で、クリッとした瞳をこちらに向けてくる。
目に映るその姿に心奪われ、ただただ
「返せ……」
弱弱しく
「こんなの
そして、手にあるヘッドフォンを出来るだけ遠ざけようと、自分の後方へ大きく投げ捨てた――その直後。
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