第46話 おしまい
オレの魔力で編まれていた周囲の銃は全てが消え失せ、剣をもとにしている漆黒の狙撃銃―――
しかしオレの援護射撃が無くなった剣士二人は劣勢に追い込まれ、ケンジが相手の目を浅く斬って間合いから離脱した。その瞬間、魂が枷から外れたような感覚を味わった。掌にイメージを集中させると、次の瞬間にはオレは鈍色のハンドガンを握っていた。
神が目を再生させると、オレが握っていたハンドガンが魔力となって四散する。しかしカラクリが分かった。あの神権とやらも魔眼のようなもので、見ている相手のスキルを封じる。アルビオンの飛行スキルすらも停止させるのだから、さすが神のスキルといったところか。
「銃とかいう武器。飛び道具使いということは、貴様、剣は苦手だな?」
げ、バレた。
クロムメッキのような緑色の剣が超スピードで迫ってくる。辛うじて
なんとか
無理矢理二本目を
「
聖剣を使い捨て爆弾にして―――アルビオン戦あたりからやっているが―――何とかそこそこの隙を作ることに成功する。オレの剣技ではコイツに決定打は与えられないし、聖剣爆弾でも致命傷は見込めない。しかし、相棒とのかつての会話を思い出す。
―――天叢雲は、確かに必殺技のポジションだけど、魔力さえあれば無理矢理再現できるんだよ。もっとも、やろうと思ったらそれこそ魔力炉が欲しくなるほどだけどね。
王都で少し話した、なんてことの無い記憶。だが、今のオレにとっては、最高の助言だ。
「
主の魂に応じたかのように、炎の勢いが一層増していく。神の横っ腹にクリーンヒットし、レーザーで焼き切ったかのように腹から真っ二つ。下半身はそのまま燃え尽き、転がった頭にソラトは剣を突き立てた。
「オレの勝ちだ。」
スキル封印が解除され、収納魔法の中で、
「お前の死因は、人間を侮ったこと。それだけだ。」
「私は.........負けてなど......いな......い...」
「最初で最後の敗北、嚙み締めろ。」
「......本当に...それができるか?...」
「なんだと?」
「...ここで私を殺しても......神界に帰るだけだ.........無駄なんだよ、この肉体にとどめをさしても...」
「オレが殺すのは体じゃない。その魂を殺す。地獄になんて行けると思うな。世界を壊しかけた代償だ。」
収納魔法から、準備万端の狙撃銃を取り出す。
「引導を渡してやる。
ドカンという銃声と共に、世界が消えた。エルラントの体だったものは灰となって消滅。次に、固有結界が宇宙空間のような世界もろとも消え去り、王城の真上に放逐される。周囲を見わたすが、妖精国はもうどこにもない。
落下中の風切り音が耳を突く。本当はこのまま寝てしまいたかったが、気を抜くのは無事に生還してからだ。
「みんな、寄れ!
謎の光の膜に覆われた人間四人が、玉座を取り戻したシャルロットの眼前に不時着した。
ようやく、終わった。
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