第20話 邪竜決戦/エピローグ
目が覚めると、ベッドの中だった。体を起こすと、右腕に激痛が走る。
「気づいたか、ソラト。ここは城の治療室だ。君は邪竜の障壁を中和したときに、神経をズタズタにやられたらしい。しばらくは安静だぞ。」
「ハイ......そうだ、アリスは?」
「彼女はとっくに目覚めて、城中歩き回ってるよ。」
「......オレって何日寝てたの?」
「五日間眠りっぱなしだったよ。アリスさんを呼んでくるから、元気な顔を見せてやれ。彼女、とても心配していたぞ。」
「ソラト!よかった、目が覚めたのね!」
「っ!そんなに抱き着かなくてもいいだろ?」
正直、右腕が死ぬほど痛い。だがこんなに心配してくれていたのに、引き離すのは野暮ってものだ。
「というかアリス、君こそ腹の傷は大丈夫か?」
「ええ、ハイポーションを二日も飲めば治ったわ。私は回復上昇のスキルがあるから。」
「回復かぁ、学園で受講しておけばよかったなぁ。」
「初歩の魔法なら、今度教えてあげるわよ。」
一週間後、退院した俺が見たのは、活気あふれる城下町の光景だった。
邪竜討伐のお祝いで、あちこちに出店が出ている。フランクフルトのような普通のものから、「邪竜クッキー」なる不謹慎な真っ黒クッキーなど、様々だ。
「ソラト。せっかくだし、一緒に出店まわりましょ?」
アリスと街を回っていたら、あっという間に一日が過ぎてしまった。
三日後に女王に合う約束があるそうなので、アリス、アルトと共に大穴付近で、モンスター討伐をし、体を戻していた。アイギスも問題なく発動できるようになったので、完全復活といっていいだろう。
そして三日後、オレとアリスは再び王城に向かった。アルトも呼んだが、「領地で落とし前をつける」と言って、先に帰ってしまった。
「今回は邪竜討伐のご協力、ありがとうございました。褒美と言っては何ですが、何か欲しいものはございませんか?」
オレとアリスは少し相談した後、「古い未攻略ダンジョンの独占権」を所望した。ダンジョンの独占権というのは、貴族などでは良くあることらしく、女王もそれをあっさりと認めてくれた。欲しかったのが「古いダンジョン」なのにも理由があり、オレのアイギスのような古代魔術の類や、強力な魔道具が多く眠っているからだ。
ダンジョンといえば、例のミノタウロスが頭をよぎるが、今のオレ達ならきっと大丈夫だろう。
ダンジョンは王都の周辺にあるようだし、もうしばらくの間王都に滞在することになるだろう。
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