王都決戦編

第14話 王都到着

 王都から、少し離れた平地。王都ができるずっと前から、そこには穴が開いていた。その穴の存在は、誰でも知っている。でも、底に何があるのか、どうしてあるのか、いつからあるのか、それを知る人はほんの一部。

―――だが近い未来、その正体を大陸中が知ることになる。


「王都ってのは、本当に発展しているなぁ。オリオンもデカかったけど、それ以上だ。」

「そりゃあ大陸最大の都市だもの、当然といえば当然ね。」

オリオンを出てから一週間、ようやく大陸の中心、王都アラエルに到着した。なんでも〈大穴〉の周辺に、最近強い魔物が多くあらわれるらしい。その調査と討伐のためにやってきたのだ。何でも女王直々の任務だそうで、調査の前に謁見をしなければならないらしい。

城は王都の中心にあり、町のどこからでも見ることができる。「王都で迷ったら城を目指せ。」という言葉があるほどだ。

城に到着し、門番に要件を伝えると、すぐに玉座の間まで通された。

大きな扉の前で案内役の兵士が立ち止まり、中に声を掛ける。

「騎士団のものを連れて参りました。」

「通してください。」

凛々しい声が返ってきた。

扉の奥には、まさに王にふさわしい玉座が中央に鎮座し、そこには上品な雰囲気を纏う女性が腰掛けていた。年齢はオレとさほど変わらないだろうか。間違いなくこの方が女王だろう。

女王は話し始めた。

「私はアラエル王家の正当なる女王、シャルロット・アラエル。この度の協力、感謝いたします。本日は明日からの任務に備え、英気を養ってください。夕食は食事会を計画しています。」

そういえば王都には王都の騎士団があるはずだ。統合されて協力関係とはいえ、なぜ俺たちなのだろうか。

「女王、質問をよろしいでしょうか。」

「何でしょう。」

「王都には騎士団の本部があるはずです。なぜそちらではなく我々に依頼をされたのですか?」

「Xランクを倒した人の噂が気になったからです。Xランクを倒せる人なんてそうそういませんし、Xランクはみな勝手なので、彼ら並の実力を持つ人間に依頼するというのはとても難しいんです!それに、あのアリスがここまで信用している男性というのも気になりますからね!」

「シャ、シャルロット様!?」

「アリス、前にもあったことあるのか?」

「なにを隠そう、アリスはもともと王家近衛騎士団の所属だったのです!私と3歳しか違わないのに、私よりとっても強いんですよー!」

たしかアリスはオレの一個上、19歳だ。この世界では16歳が成人なので、3年で近衛騎士団に所属、そしてオリオン騎士団の副騎士長まで上り詰めたということだ。旅の途中の戦闘でも感じたが、とんでもない天才剣士だ。女王はアリスと3歳違う、そして外見から推測するにおそらく3歳下。つまり16歳だ。

―――オレより年下じゃん!

関係ないが、女王の話し方からいつの間にか威厳が消え失せている。アリスとはそこそこ仲が良かったのだろう。

「じゃあまたパーティで会いましょう!」

最後にそう言われて、謁見――というか雑談は幕を閉じた。

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