第12話 昇格審査
試験はギルドの建物裏のバトルフィールドで行われる。魔法で面積が拡張されており、外からはテニスコートほどしかなかったところが、一歩踏み込むとサッカー場ほどの広さまで拡張された。
オレは対人戦に備えて、ミノタウロス戦後からいろいろと研究をしてきた。収納魔法の出入り口はある程度離れたところにも開けること、収納空間内なら生成した銃は消えないこと、そして銃の引き金を遠隔で引けることが分かった。
これを利用すると、収納魔法から銃口のみを出し、複数の銃を掃射することも可能なのだ。事前に銃を収納しておけば、収納魔法の展開と、弾丸生成のみの魔力消費で戦える。これと同時に、オレはもう一つの課題も解決できた。
ドラゴン戦では、硬い鱗に阻まれ、貫通力に特化した実弾では有効なダメージを与えられなかった。しかし、魔力をそのまま弾にすることで、威力調節が可能、表面での爆発力特化な攻撃も可能となったのだ。オレはそれを《魔弾》と名付けた。今日は実戦での試運転も兼ねているのである。
あちらの武装は見たところ剣一本だ。おそらく魔法も使えるだろうが、正味のところ、戦わなければわからない。
「おや、あなたは構えないのですか?」
リュウヤが剣を正面に構えながら聞いてくる。
返事代わりに収納の〈門〉を五つほど開く。魔弾装填、出力50%。様子見だ。
審判の合図がされると同時にリュウヤは正面から斬りかかってきた。すさまじい速度だが、反応できないほどではない。顔の左右から門を開き、スナイパーライフルのバレルを交差させて斬り下ろしを受け止め...
―――ようとしたその時、ヤツの剣が赤い光を帯び、バレルをいとも簡単に切断した。本来の使い方ではないとはいえ、魔力で強化したバレル二本を切り裂くなど、異常な切断力だ。思い切り後ろに飛び、距離をとる。
「驚きましたか?私の魔剣の能力は〈硬度無視の切断〉。鉄棒二本などわけありませんよ。」
この野郎。魔弾装填、出力100%。門をさらに3つ追加して撃ちまくる。が、スナイパーライフルから放たれる魔弾はすべて剣で弾かれ、それ以外の弾丸はそもそも当たりすらしない。こうなれば、一回ごとに銃身をぶっ壊すことになるが、出力をさらに上げる。魔弾装填、300%。速度も威力も段違いだ。さすがにヤツも予想外だったのか、黄金のアーマーが傷つきはじめ、魔弾が頬の薄皮一枚を切る。
先ほどまでは油断していたのだろうが、今は本気の目だ。
「セアアアッ!!!」
大きな気合とともに剣を大きく振りかぶる。本当に硬度を無視した攻撃なら、オレは防御手段がないし、今からでは避けられない。アルトに禁止されていたが、一番可能性の高い方法を試すしかない。
心の中で唱える。
光の盾が剣とオレとの間に生まれ、魔剣は盾に阻まれた。
「なにぃっ!!!」
「
魔弾をガラ空きの腹に連続で打ち込み、黄金のアーマーを粉々に砕く。判定は当然俺の合格だ。ついさっきまで転がっていたリュウヤはいつの間にか立ち去っていた。
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