第8話 ソラトの事件簿/エピローグ
「何だったんだ、今の武器は!?」
そういえば副騎士長アリスに銃スキルの説明をするのを忘れていた。
「なるほど、その飛び道具はジュウっていうのねー!」
あまり人を詮索しないアルトと違い、アリスは銃に興味深々だった。
「ひとまず騎士団の建物に戻りましょう。ここでは落ち着いて話もできない。」
いい助け舟だ。ありがとう、アルト。
「君たちは、学園卒業後は何をするか決まっているの?」
アリスは不意にそんなことを聞いてきた。
「僕はロレーヌ家の長男として家を継ぐつもりです。」
即答したのはアルトだ。オレは彼が家を継ぐことをすでに知っていたので、驚くことはない。
「オレは未定ですけど、どうしてそんなことを聞くんです?」
「今回の功績をたたえて、卒業後の二人を騎士団に迎え入れたかったのだけれど、アルトは難しそうね。ソラトはどう?」
これは願ってもいない提案だ。もはや就職が決定してしまった。騎士らしい振舞いなんか何一つとしてできないが、それは正式に任命されてから覚えればいいさ。
「もちろんです!」
「うん!決まりね。じゃあ卒業したら、この建物に来てね。待っているよ。」
そうしてアリスとは別れ、学園の寮へと戻った。
「明日からまた普通の学園生活だな、アルト」
「ああ、ちょうど明日提出の課題もあるからな。」
………しまった。
「やべえ、まだ終わってなかった!」
入学から半年経ち、中間試験がやってきた。
科目は「魔術史」「魔法陣基礎」「魔術基礎」「魔術創作」「ルーン文字」の5つだ。他は難なくパスし、最後の「魔術創作」の試験だ。他は紙なのだが、これだけは実技科目である。
最初はアルトの名が呼ばれ、「剣に光魔法を付与して高熱でたたき切る」という魔法剣を披露してくれた。
そのあとも、派手なものや、地味だが実用的なものなど、たくさんの魔法が出されていった。そしてオレの番だ。残念ながらオレは創作というのが苦手なので、銃スキルでリボルバーを作り、撃つというインチキをして合格した。
「やっぱり主席はアルトかー」
「お前も嘆いていた割にはいい点数じゃないか。特別実習のダンジョンはいける順位だぞ。」
学園では、成績優秀者のみ、特別実習でダンジョン攻略に参加することができる。
100人の学年だが、トップ10にギリギリ滑り込めたのだ。
「ダンジョンは希少なアイテムがあったりするから行きたかったんだよなー」
「今年は自由行動らしいから収集が捗るんじゃないか?」
楽しいキャンパスライフはまだまだ続きそうだ。
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